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静寂が、やけに重く感じられた。
時計の針が進む音すら、耳に付く。
gsoさんはしばらく通路の方を見つめたまま、ゆっくりと口を開く。
gso「……完全に去った、とは言い切れませんね。
彼らは“痕跡”を残さない代わりに、空気だけは置いていく」
そう言って、指先でこめかみを軽く叩く。
gso「違和感が消えるまで、数分はかかるでしょう」
「なるほど……」
確かに、もう姿は見えないのに、
“見られている感覚”だけが、まだ薄く残っている。
iemnさんは腕を組み、静かに息を吐いた。
iemn「想像以上に、向こうは近い位置まで来てますね」
普段通りの落ち着いた声。
けれど、視線は鋭く、警戒を解いていない。
iemn「……正直、資料室まで来られるとは思っていませんでした」
gso「ええ。
結界を破らず、すり抜けもせず、“気付かれない場所”を選んで現れる。Srimrは、相当慎重です」
一瞬、間を置いてから、gsoさんは俺を見る。
gso「そして……彼があなたに興味を示した理由。それだけが、少し想定外でした。
確かに狩人リーダーのrkさんであるのは事実なんですが 。」
「……俺、ですか」
言葉にした瞬間、ようやく実感が追いつく。
あの影の視線は、確かに――俺を捉えていた。
iemn「hnnk、何か心当たりは?」
「いえ……特別なことは」
そう答えながらも、胸の奥がざわつく。
“情報を持ちすぎた”――その言葉が、頭から離れない。
gso「本人に自覚がない、というのが一番厄介なんですよ」
苦笑しつつも、冗談めかした感じではない。
gso「ですが、今日のところは一つ収穫があります」
gsoさんは、机の上にあった書類の束を軽く整えた。
gso「Srimrは“様子見”と言いました。
それはつまり、今すぐ排除する段階ではない、ということ」
iemn「……裏を返せば」
gso「ええ。“今後も観察対象”という意味でもあります」
その言葉に、部屋の空気が再び引き締まる。
iemn「……はぁ」
短く息を吐いて、苦笑する。
iemn「やれやれですね。静かに過ごすつもりやったんですけど」
一瞬だけ、地が出た。
俺は思わず小さく笑ってしまう。
「確かに……今日は情報を取りに来ただけだったんですけどね」
gso「情報というものは、取りに行くと向こうからも寄ってくるものですから」
そう言って、肩をすくめる。
gso「今日はここまでにしておいた方が良さそうですね。
これ以上滞在すると、“次”を呼び寄せかねません」
iemn「賛成です。hnnk、帰りましょう」
立ち上がりながら、俺の方を見る。
iemn「これからは、少し行動を早めた方がいい。
……向こうに主導権を渡すのは、面白くないですから」
「ですね」
椅子から立ち上がり、最後にもう一度、資料室を見回す。
整然と並ぶ本棚。
何事もなかったかのような静けさ。
けれど、確かにここには“影”が来た。
そして――
その影は、俺たちを認識した。
資料室の扉を閉めた瞬間、
静寂の意味が、さっきまでとは変わっていることを、はっきりと感じていた。