テラーノベル
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◇
「にゃーっ!お祭り、とっても楽しかったにゃ!」
屋敷に帰ってきた一行。
ラテはソファに寝転がったまま、足をぱたぱたと動かした。
まだ祭りの余韻が抜けきらないのか、頬はほんのり上気している。
「そうだね……屋台もそうだし、灯篭流しも見れてよかったよ。」
フローが穏やかに相槌を打つ。
その表情には、賑やかな一日を無事に終えられた安堵がにじんでいた。
「……また祭り行ける?」
ルカがぽつりと呟く。
「絶対行けるよ!」
ニアが即座に、力強く言い切る。
「どこからその自信が湧いてるアル。」
鈴凛が呆れたように片眉を上げた。
「なんとなくだけど……。」
ニアは悪びれもせず笑う。
「まぁ、我も行ける気がするアル。」
鈴凛もどこか納得したように頷いた。
「だよね〜!」
「…なら嬉しい。」
ルカの声が、わずかに柔らかくなる。
「……あ、そうだ!」
ソフィアが何かを思い出したように声を弾ませた。
「見て、これテルさんが撮ってくれた写真。」
差し出された紙面を、皆が一斉に覗き込む。
「えっ、すご!めっちゃ上手に撮れてるじゃん!」
ニアが目を輝かせた。
「……テル、写真撮るの上手。」
ルカも感心したように呟く。
「いやあたしの目が半目にゃ!!」
自分の写った一枚を見つけたラテが、悲鳴じみた声を上げた。
「タイミングが悪かったアルね。」
鈴凛が淡々と評する。
「ふふっ、ロビーにでも飾っておこうか。」
◇
夜も更け、屋敷の中はすっかり寝静まっていた。
窓の外には、祭りの余韻もすでに消えた静かな村の景色が広がっている。
「……テルさんたち早く帰ってこないかな〜……。」
ニアは自室のベッドの上で、膝を抱えたまま呟いた。
祭りの後片付けに出たままのテルたちのことが、なんとなく気にかかっていた。
「あれ、ニアちゃん寝ないの?」
部屋を覗いたソフィアが、首を傾げる。
「えへへ……なんか寝れなくて……。」
ニアは照れくさそうに笑ってから、ふと視線を落とした。
「……はぁ、もうお祭り終わっちゃったんだなぁ……。」
その声には、楽しかった一日が過ぎ去っていく寂しさが、ほんの少し滲んでいた。
「うん…なんか寂しいよね〜。」
ソフィアもベッドの端に腰掛け、同じ気持ちを分かち合うように頷いた。
「……そういえば、ニアちゃんはお祭り自体初めてだったっけ?」
「うんっ、多分屋敷のみんな、お祭りに行ったことがある人の方が少ないんじゃないかな……。」
ニアは指折り数えるように、屋敷のメンバーを思い浮かべた。
「へぇ〜……でもニアちゃんは結構詳しそうだったけど。」
「わたしは本とか噂で色々知ってたんだ〜!」
得意げに胸を張るニアに、ソフィアはくすりと笑った。
「さっすがぁ、物知り!」
――その時だった。
「にゃぁーーっ!!!??」
庭の方から、けたたましい悲鳴が響き渡った。
ニアはびくりと肩を震わせ、思わずソフィアの方を見た。
「……な、なんの悲鳴……?」
「ラテちゃん……庭からだよね。」
「んー……植木鉢でも割ったんじゃないかな?」
ソフィアは案外落ち着いた様子で立ち上がる。
「私ちょっと見に行ってくるね〜。」
「あっ、ソフィアちゃん待ってわたしも!」
ニアも慌ててベッドから飛び降り、その後を追った。
◇
庭に駆けつけると、すでに何人かが集まってきていた。
「ラテくんどうしたんだい……!?」
フローが心配そうに声をかける。
「……はぁ、みんな集まってきたアル……。」
既に現場にいた鈴凛が呆れたように腕を組んだ。
「ラテがデカい声出すからアルよ。」
「ご、ごめんにゃ……。」
ラテはしゅんと肩を落とし、尻尾を力なく垂らしていた。先ほどの威勢はどこにもない。
「な、何かあったの?」
ニアが恐る恐る尋ねる。
「ニアちゃん…あ、あたし……見ちゃったにゃ……。」
ラテの声は、まだ小刻みに震えていた。
「…なにを?」
ルカが静かに問い返す。
ラテは口を開きかけては閉じ、を何度か繰り返した。
言葉にすることで、それが本当になってしまうとでもいうように。
「……。」
その沈黙が、かえって皆の緊張を煽った。誰も何も言わず、ただラテの次の言葉を待つ。
夜風が庭木を揺らす音だけが、やけに大きく耳に届いた。
ラテはごくりと喉を鳴らし、震える声を絞り出すように口を開く。
「……ゆ、幽霊にゃ……!!」
その一言に、その場の空気がわずかにざわついた。
「ゆ…幽霊……?また?」
ソフィアが少し呆れたように呟く。
「ここお化け屋敷じゃないよぉ……。」
ニアも苦笑気味に肩をすくめる。
「……幽霊って、ほんとに見たの?」
ルカだけは真剣な顔でラテに問いかけた。
「見たにゃ……!黒いモヤみたいなのが見えて……。」
ラテは両手で自分の体を抱きしめるようにして震える。
「あたし呪い殺されちゃうかもにゃ……。」
「幽霊か……ラテくんはどこら辺で見たのかい?」
フローが冷静に、しかし優しく尋ねた。
「た、確か……あそこの草むらだったにゃ……。」
ラテが震える指で、庭の隅を指し示す。
「……特に邪悪な気配も感じないアル。」
鈴凛はその方向をじっと見据え、淡々と告げた。
「念の為に確認するアルよ。」
「にゃ!?い、命知らずすぎにゃ!」
ラテが悲鳴に近い声で引き止める。
「ちょっと待ってリンちゃん!もし悪霊とかだったら……。」
ニアも不安げに口を挟んだ。
「ソフィアがあんなのだから大丈夫アル。」
「急な飛び火やめて…!?」
ソフィアが慌てて抗議する。
「じゃあ、我が確認するアル。」
鈴凛は構わず、草むらの方へと一歩踏み出した。
「わかった。念の為、みんな離れて。」
フローがすかさず皆を後ろに下がらせる。
「う、うん……。」
ニアは緊張した面持ちで頷き、じりじりと後退った。
草むらの奥で、何かが小さく動いた気配がした。
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羽海汐遠
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コメント
2件
作者コメント┊︎ デジャブってやつですな
ああっ、読んだ読んだ!!😭💕 第三十七話『ゴースト?』、めっちゃ良かった〜!! 祭りの後のほのぼのした雰囲気から一転、ラテちゃんの悲鳴で一気に緊張が走るところがもう…!「ゆ、幽霊にゃ…!!」って震えるラテちゃん、可愛いすぎて抱きしめたくなったよ…!😭✨ でも鈴凛の「あんなのだから大丈夫アル」でソフィアちゃんがツッコむとこ、連載の空気感がちゃんとあるな〜って思った! 最後の「草むらの奥で何かが動いた」で終わるの、ずるすぎる!!続き気になる〜!!次回もめっちゃ楽しみにしてるよ!!🌸