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〜あらすじ〜
プリンの山に笑い転げる病室。
だがその笑いの奥で、“役目”の影がじわりと忍び寄る――。
笑いと不穏が同居する、嵐の前の第12話。
第12話 本編 「傍近のプリン」
「……おい、さっきの言葉、もう一回言え」
なろ屋がサングラスを押し上げ、不敵に笑う。
「“役目持ち”は――お前らのすぐ近くや」
その瞬間、病室内が凍りついた。
俺の心臓はドクン、と跳ねる。
(……やっぱ、kamomeか?いや、そらねこも怪しい。
でも、ゼリーの可能性も捨てきれん……)
かもめんが真剣な顔で口を開いた。
「なろ屋さん、誰が“役目持ち”なのか、はっきり言って」
「ふっ、それを明かすわけにはいかん」
「はっきりせんのかい!」
俺が即ツッコミ。
そらねこが不安そうに手を挙げた。
「あ、あの……もしかして、僕……?」
「いやいや、そらねこ、お前は怪しいけど“天然で怪しい”んや!」
「フォローになってないよね!?」
沈黙の中、なろ屋がゴソゴソとバッグを漁り始めた。
「……なんや?武器でも出すんか?」
俺が構えると――
ドン!と机に置かれたのは大量の…… プリン。
ん…?えっ?プ…プリン…?
「俺が命を懸けて守っとる未来は、ここにある!」
「お菓子やないか‼️」
「未来、軽すぎるでしょ!」
三人で一斉にツッコミ。
なろ屋はプリンを配り始める。
「このプリンを食べた者が……運命を背負う」
「急にホラーやん」
俺はおそるおそる一口食べてみる。
……甘い。普通のプリン。
「……普通やな」
「うん、めっちゃ普通」
「普通ですね」
「普通かい‼️」
俺、また一人で叫ぶ。
そのとき。
突然、病室の蛍光灯がチカチカと点滅した。
プリンを手にしたそらねこが小さく震える。
「……僕、本当は……」
「……?」
「僕、ずっと……“見張る役目”を与えられてて……」
病室がシンと静まる。
俺は思わず息を呑んだ。
そらねこは顔を伏せ、絞り出すように続ける。
「でも、怖くて……ちゃんと伝えられなかったんです……」
なろ屋がサングラスを外し、低い声で言う。
「――そう、そらねこも“役目持ち”や」
……
……次の瞬間。
「でもな、役目の内容が“夜の間に病院のWi-Fiをリセットする”ってやつやから大したことないで」
「地味すぎるやろ‼️‼️」
全員ズッコケ。
だが、笑い声の中で、俺の胸だけはざわついていた。
(……ほんまに、それだけなんか?
なろ屋の言葉、そらねこの震え……
“役目”には、まだ別の意味があるんやないか?)
――笑いの裏に潜む、不気味な違和感。
俺はプリンのカップを見つめながら、背筋に冷たいものが走るのを感じた。
つづく
第12話はここまでです!
今回は新キャラ・プリンの登場です!閲覧数代わりのいいね頼みます〜