TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


6月の下旬。私たちの高校では球技大会が実施されます。

スポーツが好きな子や得意な子、運動部の子達はそりゃあもう張り切って競技をするし、派手な子たちは手の凝ったヘアアレンジをして写真を撮って、ノリで円陣を組んだりしてテンションが上がってる。

私はというと、スポーツはそれなりにという感じ。苦手って程じゃないけど運動神経がめちゃくちゃ良いわけではない。どちらかといえば自分がスポーツをやるよりも運動神経の良い友達の競技を応援するのが好き。

そんな私は中学の頃に部活に所属していたバスケットボール競技に参加したけど、現役バスケ部が3人もいるクラスに当たり2回戦敗退に終わった。

バレーボールに参加してるみずきちの2回戦を応援し終えて、次はどこに行こうかと悩みながら対戦表に目を向けたら1-Bの男子バスケの試合が5分後にあることを知り、ますみんの応援に行くことにした。

瀬南くんの応援にも行きたいんだけど、どの競技に出るのか聞けずに当日を迎えちゃったんだよな…1-A男子の競技を何個か覗いてみたけど瀬南くんの姿は見つけられず今に至る。


「人多いな…」

コートの横は試合を間近で見ようとする女の子だらけで観覧出来る気がしなかった。上にあるキャットウォークなら空いていそうだったので上へ上がることにした。

バスケの試合が見れそうな位置まで歩いて移動していると見覚えのある横顔を見つけた。


「あっ!瀬南くん!」

「うわ、五十嵐…」

思いがけぬタイミングで探してた人を見つけてテンションが上がる私と目が合った途端すごく渋い顔をする瀬南くんは対照的だった。

「え、何でそんな嫌そうなの」

「嫌そうじゃない、嫌なの」

「何で?!」

「君の声が無駄にデカくて悪目立ちしそうだから」

「えー!」

「だからその声」

「うっ…じゃあ、静かにするから隣で見てもいい?」

無理に隣にいられるのは嫌だろうなと思って、彼の近くまで寄って聞いてみる。


「あんだけ言われたのにそれでも僕の隣で見ようと思うって頭大丈夫?」

「私が気楽に素でいられるの瀬南くんだけだもん。嫌だったら言って、どっか行くから」


声のボリュームは抑えめにしながら瀬南くんに声をかけると彼はジッとこちらを見つめてから、はぁ…と息をついて視線をバスケットコートに向けた。


「…好きにすれば」

「やった!」


小さくガッツポーズをして、少しだけスペースを作ってくれた瀬南くんの隣に立った。


「ますみん、2試合目?」

「そう。この試合勝ったら次もここで試合だよ」

「連戦きつ」

コートに視線を向けるとチームメイトと話しながら軽いストレッチをしてる真住がいた。


「真住くーん!」

「頑張ってー!」

コートの周りにいる女の子達が可愛らしい声を出して応援している。

「すご、人気だね」

「五十嵐は応援しなくていいの?」

「大きい声禁止って言われたから…」

「バカデカい声じゃなかったら良いんじゃない?五十嵐が見に来てるって知ったら慶も嬉しいだろうし」


そう言ってもらえたから、大きく息を吸ったら肩を掴まれた。

「ちょっと待って」

「何」

「そんなに息吸わなくていい」

「え?でも下にいるから聞こえないかもしれないし」

「声がよく通るって自覚ないの?慶との距離がもう半分くらい近いつもりで声出してみなよ」


難しい事言うなぁ…半分…このくらいの近さにいるつもりで声を出す…何となくの距離感を掴んで声を出してみる


「ますみんっ」

私が呼んだら、呼ばれた彼はパッと上を見上げてくれた。


「嘘…声届いた」

「名前呼んで終わってどうするの」

「あっ…試合頑張ってねー!ここで見てる!」

「慶、頑張ってね」

手を振りながら声をかける五十嵐と瀬南の組み合わせにちょっとびっくりした顔をしていた真住は柔らかく笑ってくれた。


「ありがと、ふたりとも」


微糖な貴方に惹かれる私

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

29

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚