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戦争賛美 及び 政治的意図はございません。
⚠︎旧国注意
夏の夕暮れ
少し熱を帯びた風が街を撫でる。
「ねぇ君、ひとり?ちょっとだけお茶でもどう?」
街角で声をかけてきたのは見知らぬ男。
軽く笑いながら日本の行く手を遮る。
「…すみません。用事がありますので。」
丁寧に、そしてはっきりと断った。
その場は穏やかに終わったかに見えた。
けれど─
数日後から、日本のまわりに妙な気配がつきまとうようになった。
「…あれ?」
夜道、背後に誰かの気配がしたとき日本の心臓が跳ねた。 振り返ると誰もいない─
でも、何かが狂い始めていた。
ある日
静かに書類を片付けていた日本に、 陸が眉をしかめて問いかけた。
「…日本、お前、最近誰かに付きまとわれてないか?」
「…どうして、そう思ったのですか」
「妙に怯えているような気がしてな。 」
それを聞いて、日本はぎゅっと唇を噛みしめた。
「…一週間ほど前、知らない人から声をかけられて…きっぱり断ったんです。
なのに…それから、視線や気配が絶えなくて…」
海が静かに目を伏せた。
「悪質な逆恨みか…まったく、なんて陰湿な」
空が拳を握りしめて立ち上がる。
「大丈夫、僕らがついてるから」
にゃぽんはそっと日本の髪を撫でた。
「怖かったね。でも、もう大丈夫よ。 …日本は悪くないわ」
それから
日本はひとりでの外出を控え、信頼できる誰かが必ずそばにいるようになった。
しばらくして
逆恨みの主は特定され、穏便に対処された。
でも、日本の中に残った不安は簡単には消えなかった。
それでも
「…ありがとうございます。私、ちゃんと断ってよかった。あのまま流されてたら…もっと怖いことになってたかもしれませんから」
「うん、それでいいんだよ。日本」
「よく頑張ったな。」
「断るのは悪いことじゃない。悪いのは、相手の勝手な期待と執着だ」
「ちゃんと“NO”が言える日本はすごく素敵よ」
みんなの言葉に日本は、ほんの少し笑顔を浮かべることができた。