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こはる
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第24話
そんな時、引き取ってくれる人が現れた。
でも、直ぐに捨てられて、また引き取ってくれる人が現れる。また捨てられて……それを何回か繰り返していた時、もう野良犬と同じ扱いになった。たったの一ヶ月。そんな短い期間だった。
冷たい雨が俺の体温を奪っていっても入れてくれる温かい家は無い。勿論、ご飯は自分で狩ってから自分で焼いて食べる。
途中で、親切な人が服を渡してくれたりする人が稀に現れた。とっても、感謝した。
でも、そんな時間は束の間、誰かに連れ去られたり……そんなのも日常茶飯時……
連れ去られた後は、食べる物は与えられずに、労働や、案内の勉強地獄。別に使わなかったけどまだいい方だった。
被検体としても使っていた人もいる。掃除要員はまだマシな方。死体の廃棄や、ごみ処理もあった。全部、一週間も続かない。
沢山の事をやっていた。
良く言えば転職のエキスパート。悪く言えば、捨て駒。
全ての職で共通していたのは、怒鳴りつけと、鞭で叩かれる日々が数日だけ続くという事だった。
痛いし、怖いし、何が起こってるのか分からなかった。
❂
「……っは!」
うなされて起きてみるやいなや汗だくで、息は荒くて、体中が震えていた。月はまだ明るく輝いている。深夜を回った時くらいだと思う。
隣の部屋にいるセリーナさんは多分、起きた。眠そうに魔力が動いている。
俺は目を瞑ってもう一度寝ようとしたけど、目を瞑ったら、またあの地獄のような景色が瞼の裏に広がって寝付けなかった。
『明日、捨てられたらどうしよう』『誰かに連れ去られたらどうしよう』『また、あの日々が戻ってくる日があるかも』
そんな心配をしてしばらく、布団の中で震えていると扉が二回鳴った。
「入るよ」
セリーナさんの声だった。自然と涙が溢れてきた。
「ノア。どうしたの?」
その声は理想の母親そのものだった。
……完全に年下だけど、この人は、前前前世まであるんだよな。心は俺より強いんだろうから……
……俺の事、分かってくれるのかな……?
「しばらく、ここにいるね……私の武勇伝聞く?」
セリーナさんの武勇伝……何があったんだろうか……
「……凄く気になります」
「ふふっ。私の最古の記憶だけど、先ず、八歳頃に親に捨てられたの」
俺と同い年……
「それで、鬼畜武術学校に引き取られ、毎日練習」
引き取り……めっちゃ外れか。
「とんでもない強者になっちゃった私は、星霊の剣に選ばれたんだ」
あ、何百年も前の話か……
「そんなこんなで、注目されるでしょ? それが嫌で表にでてなかった……」
俺はそこまで聞いたのを覚えている。
何だったんだろう? 表に出なかったから……う〜ん……
そんな日々が続いたある吹雪の日。
ここでは吹雪になるのは珍しく、朝早くから雪かきをしていても、全然進まない。
町から機械が来ても、こっちまで回らず大変だった。
「ニルスさんも、ノアも風邪ひくよ」
セリーナさんがそう言って後ろから不意打ちをしてきた。
「セリーナもだ」「セリーナさんこそ」
「ふふっ。仲良しタッグ。一緒に休憩しよ」
「あぁ」「はい」
そう言って俺たちはゆったり紅茶を嗜む事にした。
マリーさんとカールさんは、魔道具修理の依頼が沢山舞い込んできたから、出張している。
セリーナさんもちょっとしたものまでは直せるけど、危ないから、駄目だって。それに、まだ七歳。
俺もそんな事でお留守番。
……あれから、色々と鍛えられてるから、武術はそこそこに伸びてきている。
お腹を抱えながら「あははっ。そんなのが道端で演奏していたんですか?」とセリーナさんが目尻の涙をすくった。
今は、ニルスさんが下手なトランペットの演奏をしている、見た目だけプロの人の話で盛り上がっていた。
「流石に度胸あるよね」
「俺も会った事ある気がしますね……今はもっとマシなのかな……?」
「え? そうなの? 聞かせてよ」
「その時は、伸ばしの音でも、ずっと揺れたり……」
そこまで俺が言うと、『ゴゴゴッ』というとても低い音が聞こえた。
何かが詰まったような、そんな音。
「見に行ってきます」
セリーナさんは躊躇無く紅茶の入ったカップとソーサーを机の上に置いて、外に向かった。
……俺でも分かる。魔力と何かが詰まっているという事。
セリーナさんは炎魔法は使えるのかな?
俺も、そのまま付いていくと、そこには想像を絶するような巨大な機械が隣近所に止まっていた。
コメント
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こはるさん、第25話読了しました。 ノアの過去がここまで壮絶だったとは……「捨て駒」という言葉の重みがずっしり来ました。特に、鞭で叩かれる日々が「数日だけ続く」という一文に、もうそれが日常になってしまった無力感が滲んでいて苦しかったです。 そんな中で、夜中に震えるノアに「入るよ」と声をかけるセリーナさんの優しさが、まるで温かい毛布のように感じられました。年下なのに「心は俺より強い」と認め合う二人の距離感が、本当に素敵です。 そしてラストの巨大な機械……また新たな波乱の予感ですね。続きが気になります!