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第25話
俺は、我に帰って周りを見ると、隣近所の人たちが出て様子をみている。
複雑な魔法回路に、純度の高い魔法石……俺も見分けられるようになってきた。
就職一時間でなれる俺でも、これは難しかった。
『馬鹿なのかっ! こんな簡単な事もできないなんて、出来損ないっ! 出てけ!』
そう言われて頰を叩かれた……時の記憶が蘇ってきた。
怖いな……またそうなったら……
「大丈夫ですか?」
そう言ってセリーナさんが運転手みたいな人と喋っているのが見えたら、俺は考える前にそっちへ走り出していた。
「……ノア。もうそろそろ爆発するかもしれないから、他の人たちを避難させて。雪が詰まって魔力回路がショートしてる」
ば、爆発……
セリーナさんは、どんなに凄い領域まで行ってるのだりろうか……
「は、はい。分かりました」
「この除雪車は、サントラップの店主の一番弟子が直しますので、ご心配なく。雪が詰まって、動かなくなっているだけです」
俺が言うと、その集まっていた人集りは無くなった。
後はこれを見たニルスさんが上手く避難を促していた。
「ニルスさん。ありがとうございます」
「マズイんだろ? 怪我人はださせないようにしないとな」
それは『二人が帰ってきて、変な話が流れていたら、怒られるだけでは済まない』って遠回しに言われた気がする。
「そうですね」と言ってから俺は「爆発する可能性があると、セリーナさんが言っていました」と耳打ちをした。
それを聞いたニルスさんは血相を変えて、直ぐに走って行った。
俺も付いていこうとしたけど、道具箱を取りに戻った。
少し前に、セリーナさんが買ってもらっていたのを覚えていた。きっと必要になるだろうと、俺の直感は言っている。
「リナ。大丈夫なのか?」
険しい顔をしながら下の方にある除雪車のエンジンを見つめて「……兎に角、雪の詰まりを改善させないといけません」と困ったような声で言った。
「どうすれば直るんだ?」
そう聞いたのは、気が気じゃない除雪車の運転手だった。
「時間をかけていたら、魔力回路の中で爆発が起き、本来は雪を溶かすための炎魔法石が炎渦が上がります。だけど、このまま除雪車の中へ入るのはリスクを伴います。二人は炎魔法は使えませんか?」
炎魔法! それなら……
「俺は使えます。何かできますか?」
俺がそう言うと、セリーナさんの顔色が戻った。
「えぇ。この中にある雪を溶かして欲しいの。蒸発までさせると、魔力回路まで支障が出るから、水にさせるまででいいわ。その間に、魔力回路の修整をするから」
俺が道具箱を差し出しながら「これは、必要ですか?」と言うと「ありがとう。助かった」って微笑んで受け取ってくれた。
寒い吹雪の中、温かい空気が流れた。
俺は、除雪車の中にある詰まりの原因に炎魔法を慎重に重ねがけをしていた。一歩間違えば大怪我。そんな事を任せてくれたから、これまでで一番と言って良い程慎重に魔法を使った。
数十分後。
詰まりと、流れ出てきた除雪が終わった。
セリーナさんの事を見ると、まだまだ作業中だったので、俺のコートをセリーナさんの肩に掛けた。
魔力は思ったより使った。重ね掛けをするのは初めてで、少し舐めていた。
「ふぅ……終わった」
そう言ってセリーナさんが立ち上がろうとすると、ふらついて倒れそうになった。
「セリーナさん!」
俺は、反射的に体を支えた。
運動神経に優れているセリーナさんだけど、流石に足が痺れたのだろう。
「ごめん。コートまで借りちゃって。ふふっ。助かったよ」
そう言ってセリーナさんは俺にコートを返した。
「まだまだ寒いので、羽織っててください。体が冷えてしまいます」
俺がセリーナさんにコートを掛けようとしたら「大丈夫」と断られた。
「貴方が風邪をひいてしまうのは嫌なの。だから着ていて欲しい」
……優しいな。
何度助けられたことやら……
「あ、エンジン付けてみてください。これで直ったはずです」
そう言ってセリーナさんは、運転手の元へ駆け寄った。
俺がまた動いた除雪車を眺めていると、雑音一つ無く、下手したら最初よりも品質が良いのではと思ってしまう程の機能だった。
雪の詰まりや、魔力回路のショートは勿論、魔力伝導率が上がって、ギアの動きまで滑らかになった。
「これ、お礼だ。受け取ってくれ」
その除雪車の運転手からコイン何枚か分の厚さのある札束を差し出された。
「ええっ! こんなに……」
「この機械のメンテナンスはこの倍くらいじゃないとできない」
「それでも、子供の分際で……」
そんなやりとりをしていると、マリーさんが帰ってきた。
コメント
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やばっ、第26話も熱かった……!! 雪のトラブルで一気に緊張感走るシーン、読んでるこっちまで息止めたわ。ノアのトラウマがちらっと蘇るところもうるっときたし、それでも冷静に動ける成長っぷりが沁みる。セリーナさんとの連携も息ピッタリで、コート貸すシーンはほっこりしたね。最後の札束にマリー帰還、続きが気になりすぎる!🔥