テラーノベル
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定時を過ぎ、私は逃げるように会社を後にした。
正面玄関を避け、地下駐車場から駅へと急ぐ。
背後から誰かに追われているような錯覚に陥り、何度も振り返りながらボロアパートに帰り着いた。
「……っ」
階段を駆け上がり、自室の鍵を開けようとした時。
「お帰り。えらい形相やな、お姉さん」
ひょいと隣のドアから顔を出したのは、昨夜の男、光だった。
今日はジャージではなく、少し小綺麗なシャツを着ている。
「な、何よ……」
「いや、なんか必死な顔して走ってくるから。また変な男に追われてんのかと思って」
光は私の様子を伺うように、壁に寄りかかった。
「……そんな高いヒール履いて、こんなボロい階段走ったら危ないで」
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