「ふっ…っ…ッ…」
「アドミ~?立てそう?」
「ったてる…」
「変に意地張って無理すんなって、腰引けてんぞ」
「誰のせいだと…思って、」
「アハハ、俺。だからほら、手ェ貸してやるって」
からからと痴態を笑われる。本来ならチャカを抜いて暴れまわりたいが、力が入らないし取り出す気力もない。なんせ突っ込まれたまま、しかも小峯の策略により数回の悪路かつ遠回りを経ての自宅への到着であるから、彼の内部はすっかり絆されて開発されてしまっていた。粘着質にもほどがあるだろ、こいつ。
「はい、おんぶ」
小峯はくてりとして無気力なアドミゲスの腕をつかんで肩に乗せ、次に足の間に手を通して掴み、強引に体重を背中に乗せさせる。力の入らないアドミゲスは、小峯の背中に完全にもたれかかった。
小峯が移動することによって揺れるたび、腹部に振動が伝わってきゅうきゅうとエネマグラごと締め付ける。そしてその度に良いトコロに当たって感じてしまい、身体が自然とこわばった。
「お前揺れただけでイッてね?こんな敏感になるもんなんだな、今度はじめっからつーかお」
呑気な実況をされて非常に腹立たしいが、現時点でのアドミゲスは、それ以上に下腹部に意識が向いてしまっていた。
そうこうしているうちに、小峯は自宅に入る。そして片手間でスマホをいじると、彼らのボスである菖蒲光樹に電話を繋いだ。
「はいもしもし」
『あ、しゃっちょ~?ちょっと今から仕事抜けていい?緊急以外は連絡入れないでほしくて』
「おー…ええけど。どした?」
『なんかアドミが熱っぽくてさぁ。』
「なにィ?大丈夫かゲスゲス」
『取り敢えず寝かせてから様子見るんで連れてくわー』
「おっけ、ちゃんと看病してやれよ」
『んー、わかったぁ』
じゃね~と最後に付け足して通話を切る小峯。向こうの画面越しでは、電話相手の菖蒲と、メンバーの一人ジョーカーこと直ふぃがいた。ちゃっかりスピーカーにしていたのである。ツーツーという音を聞きながら、二人して目を合わせた。
「…やってんなコリャ」
「一ヶ月前くらいから付き合い始めたよねぇ?二人してバレてないと思ってそう」
「意外とニブいしなァ二人揃って」
二人はわかっているのだった。
「ほい、抜くよ~」
「は、や、今はやめっ」
「なんでぇ?抜いてほしい~っつってたろ」
「言ってね、ぅっ♡」
菖蒲との電話を終えた後。速攻小峯の方からアドミゲスの服を引っぺがし、及び始めていた。アドミゲスが仰向けになり、その股下に小峯がいるというような体勢だ。さらっとスラックスを脱がして下に呑み込んでいるエネマグラに手をかける。
ずる、ずる…とゆっくり、じんわり引き抜く。この異物が体内に存在していることをしっかりわからせるためだ。とっかかりが前立腺に当たるたびにアドミゲスは嬌声を上げる。
「い゛あ、あ゛ぁあッ♡な、んで、ゆっくりすんな…ッ♡♡あッ♡♡」
「一気に引き抜いちゃ気持ち良くなんないでしょって。ほらもうちょっとだから頑張れ~」
「ぐ、うぅっ♡♡は、あ、うッ…!!♡」
ようやく最後まで引き抜かれた頃には、アドミゲスはすでに数回甘イキを繰り返していた。
「ナカの締め付けエグいだろ、確認してやるよ。」
骨ばった、かといって細すぎない男らしい小峯の指が、つぷりとアドミゲスの後孔に沈み込む。
前戯でしっかり解されたソコは、たかが指一本分なんて簡単に呑み込んだ。二本に増やしてもまだまだ余裕そうで、しっかり遠回りしてきたかいがあったナと小峯は内心ほくそ笑んだ。
感じるポイントを探して、あちこちを押し込む。その度にぐちゅりと卑猥な音が鳴って、アドミゲスの鋭い聴覚を刺激した。
「んぅ、ぅッ…♡♡」
「えーと…このあたりだと思うんだけどな」
先程の玩具ですっかり自分の前立腺がどこにあるのかを把握してしまったアドミゲスはもどかしさに耐える。小峯の指が、あと少しでそのあたりに届きそうなのだ。そして。
「っっ!?♡♡」
「お、みっけぇ」
ひと際アドミゲスの反応が大きくなった。ついに見つかった膨らみを、小峯は容赦なく攻め立てていく。ぎゅうっと押し込むとその分アドミゲスの身体も跳ね、喘ぐ声も自然と大きくなる。
蕩けた表情を見られたくないのか、アドミゲスは顔を必死に反らして肩で息をしていた。そういえば行為を始めて以降、アドミゲスは一切顔を小峯の方に向けていない。よがる反応をしても決して顔を向けず、横を向いたりのけぞったり、といった感じだ。
それがなんだか気に食わなかった小峯は、アドミゲスの肩をたたいて声をかける。
「ほら、こっち向けって」
「い、やだッ♡」
「向けよ~」
「やだ…ぅ」
「……はぁ~……」
深く青みがかった髪を使っていない片手でガジガジと頭を掻きむしる。こういう変に頑固なところがアドミゲスの長所であり短所ともいえる。小峯の深い溜息にもアドミゲスは一つも動じず、断固として顔を向けるつもりはないらしい。こうなれば最終手段だ。
「おい、アドミ」
「なん…っむぐ」
小峯はアドミゲスの口元を手のひらでがっと掴み込む。顔の整った、常にギャングとして危険な場所に身を置いているのにも関わらず白くてきれいな肌が、すっぽり収まってしまった。
「俺の目、見ろ」
小峯自身も顔を近づけ、アドミゲスはそのまま顔ごとぐいと引っ張られて、強制的に目を合わせられる。
目はじっとりと細められている。普段つけているサングラスを外しているから、その瞼から覗く、髪色と同じ深い藍色の瞳はまっすぐにアドミゲスを捉えているのが嫌でもわかって、見つめ続けていると吸い込まれてしまいそうな感覚に陥る。
アドミゲスの心臓が、どくりと跳ねた。
「…っひゅ、…ッッ♡」
ぞくぞくぞくと脊髄を電流がほとばしる感覚がして、これはまずいと脳内が警鐘を鳴らす。だが一歩遅かったようで、脳が判断するよりも身体が反射的に反応してしまった。
「よ~し、目ェ合ったなァ?」
「ふっう゛うぅうっ!ぅう゛~~ッ♡」
「うおっ、と…あえ?どした?なんか中イキすごくねぇ?」
アドミゲスの異変に小峯は慌てて手のひらをどける。ぷは、と塞がっていた口から酸素が一気に流れ込んできた。だがそんなもの吸う暇もなく、いきなりなぜかもわからない快感に襲われたアドミゲスは困惑しながら激しい中イキを繰り返す。
「っわ、わかんね、ぇッ♡っふ、こ、こみねッ♡♡なんかっ♡おかし、たすけ♡♡」
「…もしかしてお前—」
小峯がにんまりと笑う。思わぬ収穫だ、と言わんばかりに。
「俺と目ェ合わせんの好きなんかァ?可愛いトコあんじゃ~ん」
「な、んなわけねぇだろッ、ぐ♡」
「だって実際めっちゃ感じてんじゃん。あ、そっか。目反らすの、視線合わせんのが恥ずかしいってことかぁ~」
「ちっ、ちが…!!」
「じゃあなに、お前Mなの?」
小峯から投げかけられた単語に、アドミゲスは固まる。元々昂ぶりによって顔は火照っていたが、わなわなと震えながらさらに赤く染め上げられていく。
目の前の男の明らかな変化を見た小峯も、貪るべく揺すっていた身体を止める。
「…マジ?」
思わず漏れた困惑にぴくりと反応したアドミゲスは、その白銀の色をした目からぼろぼろとこぼし始めてしまった。
いわゆるキャパオーバーというやつだろう。散々玩具で遊ばれ、意地の悪い抱き方をされ、その上自分の性格をMだと揶揄されればこうなる。
「ちげぇし…そんなんじゃ…そんなんじゃねぇもん…」
「あ、いや、ごめ」
「どうせ引いたんだろ、わかってんだよ……」
「…ん?」
引いた、とは?普段の飄々とした態度からはかけ離れたぺしょぺしょ具合に小峯は困惑気味だ。
アドミゲスが言うには、俺とこういう関係になったのは自分がなりたいと言ってしまったからなのだと。お前には、野郎の俺よりももっと似合うやつがいたはずなのにと泣きながら言うアドミゲスを、小峯は茫然と見つめていた。
「…はァ???」
突如発された地を這うような低音にアドミゲスの肩がびくつく。ふーっと二度目となるため息を深くついて、アドミゲスの顔の横あたりに手を置く。壁ドンならぬ床ドン状態だ。すっかり委縮したアドミゲスに不満げな表情で向き合う。
「あのさ、お前を無理やり襲ったの覚えてる?」
「え、あ…はい」
「普通好きでもないヤツ無理やり襲わねぇって、流石の俺でも。今までで気に入ったオンナにもそんなことしたことねぇわ」
「おぉ…」
「だからお前がそんなこと言うな。俺はお前のことガチちゃんと好きだし、何なら今までの誰より真剣なワケ、わかった?」
「わ、わかった」
「よーし。じゃあ抱き潰すわ」
「へ?」
突如手を放してアドミゲスの腰をつかみ、硬さを増したそれをあてがう。これから何が起こるのか瞬時に理解したアドミゲスがさっと顔を青くする。その表情を見た小峯は悪い顔をしてにっこり笑った。そこに優しさはない。
「幸いお前、M体質みてェだしなァ。覚悟しとけよマジで。俺がお前にどんだけ本気かわからせてやっかんな」
「ひっ…!♡や、やめッ」
「やめねェよ。—口開けろ」
すうっと細められた瞳で一瞥される。捕食者の瞳だ。縮こまった目の前の獲物に絶対的な威圧を放っている。
—逃げられねぇ。
浮かんだ諦めの言葉で全身が一瞬弛緩したのを、小峯は見逃さなかった。緩んだ口元に迷わず噛みつくように己の唇を重ねる。
抵抗したアドミゲスだったが、時すでに遅し。小峯はアドミゲスを押さえつけ舌を吸った。ちゅう、ちゅくりと水音が響くと同時に、アドミゲスの口内が蹂躙されていく。
「っ、ん……、ふ……ッ♡」
絶対にこいつとはキスしてやらねぇしやられたら噛んでやる、と意地を張っていたアドミゲスだったが、事前の行為ですっかり脳が蕩けたせいで、キスのみで与えられる小さな快楽だけで、かろうじて残っていたはずの理性は完全に決壊した。
「ふー…挿れんぞ」
「んん!?ん、ううッ♡♡」
刺激を与えながら、カタチを覚えさせるためにゆっくり腰を動かす。侵入されている圧迫感と違和感は、小峯の巧みな口づけによってすぐに快感に変わっていく。歯をなぞったり暫くかき回したりして、漸く口が離れた。戻ってきた酸素を必死に吸おうと息が荒くなっているアドミゲスを逃すまいと、同時に下も攻めを続けているのだから、この男しっかりしている。キスをしている間に結腸とまではいかないが、相当深くまで挿れたのは間違いない。そして内側のポイントを的確に当ててくる小峯のテクに自然と身体がよがった。
「う゛あああ、ぁッ!♡♡は、あ゛っ、ぁ♡」
「ようやっと素直に感じるようになったなアドミ~。気持ちいか?なァ」
「はァ、うっ…♡」
凶暴な腰遣いとは一変して優しい手つきで頭を撫でられ、アドミゲスの銀糸のような髪が少し骨ばった小峯の指に絡まる。その指の先はネイルが美しく施されていて、白銀色の髪に良く映えて美しかった。
「き、きもちいから、!もうっわかったからッ♡♡」
ついに放たれた降参の言葉。感じたままの素直なそれに小峯は目を見開く。そして、口角が自然と上がった。
「…はは、」
—堕ちた。
いつも自由奔放が売りで、心労かけてばっかのコイツが。俺しか見てない、俺の目の前で、俺の手でこうも乱れている。
それが起こっている事実にこちらも脳がパンクしそうだ。高揚感がそのまま行為の荒さに直結する。
「あ゙っ!?♡つよ、あ゙ああぁッ♡♡♡」
「今のはー…流石にお前が悪いからなぁ…」
「なんで、ぇッ!!♡や、もぅ、イ゛ッ…!!♡♡」
「うん、一緒にイこうな」
もう何度目かの絶頂の波が来て、アドミゲスのナカがうねる。
それと同時に、小峯の重く濃い欲望も奥ではじけた。
「は……あっちィ」
汗で濡れた髪をかき上げる。コイツが果てるのは何度目かわからないが、俺自身が最後まで致したのはこれが初めてだ。白濁の溜まったゴムの口を縛って放り投げる。
先ほどまで元気に喘いでいた目の前のコイツも今はだんまりで、すっかり気絶してしまっている。だがイッた余波はあるのか、まだ少しぴくりと体が反応しているし、頬もまだ火照っていた。元々全体的に白いぶん、紅く染まっている姿には何とも言えない美しさがある。
まだ汗ばむ首筋に顔を埋めた。汗とほんのり香る煙草の匂い。そのまま首筋を吸う。短いリップ音とともに、アドミの首に小さな紅い花が咲いた。それを何度か繰り返して、数ヶ所に付けていく。上出来だ。ポケットから煙草を取り出し、火をつけて吸った。別にストレスがたまってるわけではない、むしろ高揚しているし開放的だ。
(いや~、まさかコイツがそういう体質だとは思わんかった)
無自覚のMとはこれまた開発のし甲斐がある。嫌だ嫌だと口ではいいながら身体は素直に反応してしまうので、当の本人は混乱してしまったようだが、こちらとしては問題ナシどころか逆に好都合だ。
—つまりこれからは、俺だけが縛り付けられる、ということなのだから。
(これが他の奴に知られたらー…うん、そん時は殺っちまお)
マ、自慢はすれども手は出させないし、見せるつもりもないけどネ。
そう思ってまた、小峯は煙を吐き出した。
〈おまけ:菖蒲光樹と小峯玲〉
「こみこみ~、ゲスゲスどうなった?」
「んー?なんか寝た」
「あっそぉ……」
「うん」
「お前さぁ、別に自宅連れ込んでヤるんはええけど、時間とか気ィ付けろよ?」
「んえ?あ、バレてる感じ?」
「少なくとも俺とふぃーは気づいとるし、さっきのもわかってっかんな」
「えマジかー…」
「なんなら絶対バレてないって思ってそうって話してたトコだぞ」
「マ、バレてもいいケド…しゃっちょ手ださんといてよ?」
「部下に手ェ出すかて。ふぃーも同じやろ。俺らお前が結構重いのわかってんだよ」
「わはは」
後半である。口調もなかなかとらえず楽試行錯誤しているのだが、何度推敲しても誰かの地雷の上を思いっきしタップダンスしていそうで内心冷や冷やしている。まぁそういうものかと割り切るしかない。
それでもなぜか前半がものの数日で1000以上のいいねをいただいているので、こみハンを愛す同志たちがたくさんいてくれてうれしい限りである。なら後半も早めにお出しさせていただこうと思った所存だ。
ただの一般通過腐女子の妄想作品にいいねやコメントをしてくださった同志たちには深く感謝申し上げる。
さて、今回は前半より長いし相当エッッすぎる作品となった。
前半でも言った通り、私の好きなシチュを集めて煮詰めに煮詰めた作品であるので、癖が駄々洩れとなってしまっている。
小峯はかなり重いタイプダァ…と個人的には思っているが、解釈違い等あったら申し訳ない。私は自由人なアドミゲスを小峯にがっちり縛らせたいので。スルーしていただけると大変助かる。
余談だが、しゃっちょこと菖蒲光樹と、ジョーカーこと半沢直ふぃは二人が付き合い始めヤることヤッてる関係性であることも知っているが、別に言いふらすつもりはないそうな。
ちなみに私は様々なシチュを好む雑食であるからして、気が向けば他のものも執筆するかもしれない。マァ期待せず。
それでは、ここまでご覧くださりありがとうございました。
コメント
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コミハン感謝…!!圧倒的感謝…!!