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俺は一人っ子で、俺の家系は男が少なかったから…。みんなに可愛がられた。幼稚園の時、俺にはじめて従兄弟が出来た。母は、一人っ子で、父は2人兄弟。生まれてきたそいつもまた俺と同じ男だった。俺へ向けられていた愛情はやがてりうらに変わっていった。でも俺はりうらを恨むことは無かった。羨ましいと思ったことはあるが、俺にできた初めての弟だったのだから。歳を重ねる度に才能を発揮してゆくりうら。俺が持ってるはずのものを全部りうらが持っていった気がした。その度に、親戚に…親に『りうらは出来るのになんであんたが出来ないんだろうね。そんな簡単なことなのに』うちの家系はみんな頭も良くて、運動も出来る、人との繋がりも良くて、なんでも出来る家系だ。だからこそ出来損ないの俺は目立つ。こんな理不尽な世界を俺は何回も恨んだ。恨んで恨んで恨んで恨んだ。でもやっぱりりうらを恨むことは出来なかった。大事な…大事な弟…。
アレ?コレデイインダッケ?ダイジ?ダレガ?リウラガ?ホントウニ?ホントウニダイジダッタッケ?ジブンニイイキカセテルダケナノカモ。オレハリウラヲニクンデル。
「……!」
「…に!」
「にーに!」
「あ…」
「大丈夫?ぼーっとしてたよ?」
「あ…うん。」
「りうらってさ…。頭も良くて、運動もできて…友達とも仲良くていいよね。」
「俺なんか頭悪くて、運動もできないし、友達も居ない…。りうらをずるいって思うのは変かな…?」
「え…?」
なぜこんな事を言っている?りうら言っても変わらないはずなのに…どうして俺は泣きながらりうらにすがっているのだろう?
「に、にーに。泣かないでよ。どうしたの?俺で良かったら話聞くから。」
前まであんなに小さかったりうらは今では笑顔の素敵な青年になっている。
「りうらは…ずるいよ。なんでも出来て…俺ばっかり責め立てられる…。なんで俺じゃなきゃいけないの…。俺だって愛されたかった…。」
あぁ。俺はなんて馬鹿なんだ。りうらに嘆いたって何も変わりはしないのに。頭では分かっているのにことばは止まらない。つらつらと俺の長年の悩みが溢れて逃げてゆく。
「にーに…ごめんね。気づいてあげられなくて…りうらのせいで…にーにが苦しんでいたんだね…。」
そうやって顔を歪ませて話す君は誰よりも人を思っているように思えた。
「ごめんなさい。」
そう謝る君は、俯いて悲しそうにしていた。「りうらがどうして謝るの…?」
「だって、にーにの居場所…俺が奪っちゃったから。」
あぁ。りうらは優しいな。俺のためを考えて言ってくれる言葉が伝わってくる。
「(´˘`*)りうらありがとう」
「…。にーに本当にごめんなさい。」
「ううん。りうらは、悪くないよ。」
「でも…!」
「(´˘`*)」
「あ…。」
「うん。」
りうらは何かを悟ったように、俯いた。りうらがずるい。りうらだけ…。でも…憎めないし、恨めない。だってりうらは優しいから。りうらは俺の、悪魔でもあり天使でもある。りうらは良い奴だ。
さよなら…。良ければ宣伝してくれませんか?
コメント
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今度作品投稿するときに宣伝してもいいですか??