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⚠️フライギ
戦争賛美、政治的意図なし。
「やあ。久しぶりだね、イギリス」
胡散臭い顔でこちらに近づいて来た彼はフランス。 お得意の笑顔を貼り付けて、私の隣に腰下ろす。
嗚呼、なんて酷い事を…
私の優雅なティータイムの、邪魔をするだなんて。
「不法侵入ですよ、フランス。」
「まぁまぁいいじゃないかそれくらい」
あら、この方は暑さで頭がおかしくなってしまったのでしょうか…かわいそうに。
それとも彼は、不法侵入していいわけが無い。というごく当たり前の事が、理解できないのでしょうか?
もしくは、彼の所では不法侵入が当たり前だと?
…いいえ、考えるのはよしましょう。
馬鹿が移りそうだ
「そ、れ、よ、り、も!聞いてくれよイギリス!先月僕の国で画期的な発明が__」
今日も今日とて始まりました彼の自慢大会。過去に私も乗っかって、自国の自慢話をあれやこれやとしていましたが……馬鹿馬鹿しくなって最近はしてないですね。
取り敢えず、彼の口に出すこと全てが鼻につくのでここは一旦止めさせましょう。
「あーはいはい、生憎私には貴方の自慢話に付き合う暇なんてないんです。話すならもっと簡潔に。もしくは別の話題にしてください」
「別の話なら良いのかい?なら__!」
ふぅ……これでようやく一息つける。
外からは穏やかな風が吹き、鳥のさえずりが聞こえます。部屋には重厚感のある紅茶の良い香りが立ち込め、うるさい雑音…いえ、自然音ということにしましょう。
嗚呼なんて優雅。
昔、他国の公爵と、砂糖たっぷりのお茶請けを頂いた時のことを思い出します。
整然と整えられた薔薇園でのティーパーティ。庭の中央に置かれた小さなテーブルと、彫刻が施された美しい椅子。ゆっくりと、しかし確実に進みゆくあの時間。
嗚呼、あの時は本当に良かった。
「ねえイギリス聞いてるの??」
「えぇ。屋敷の鳥が騒々しい声で起こしてくる話ですよね」
「どこをどう切り取ったらそうなるんだよ……だから__」
んーー、思い出したらなんだか甘いお菓子が食べたくなってきました。
そういえば、その公爵とその後も何度かお茶会をしました。
私がいちばん印象に残っているのはあのお菓子を食べた時。名前は確か__
タルトタタン……
アップルパイと同じでしょうと思って食べた分、驚いてしまったことを覚えています。
林檎の甘みと酸味の組み合わせ、それから砂糖を焦がしたほろ苦い味わい。
それはそれは紅茶とのマリアージュが最高で__ゔうん、この国の前でこんな言葉を使ってしまうだなんて、私としたことが……
「その時に君がーー」
「フランス、」
「おぉ、なんだいイギリス?」
「手土産もなしに来るだなんて、礼儀がなってないんじゃありませんか?」
「………今更!?でも君いつも「要りません!」って言うじゃない?だから今日は持ってきてないんだ。…ごめんよ?」
「………そうですか…そう…全く貴方は使えないですね」
ほんと、本当に有り得ない。
……けれどこれも、私の意地が招いた結果…ですか、そうですか…せっかく食べたい気分になったというのに
「い、イギリス!?ごめんねっ、来月は必ず持ってくるから!……ね、お願いだから、そんな悲しそうな顔をしないで…?」
「悲しそうな顔なんかしてませんっ!この馬鹿ッ!馬鹿蛙!!」
「……ごめんねイギリス…、
悲しませるつもりはなかったんだよ。」
えぇ、えぇ分かっていますとも!貴方にそんな気無かったって事くらい!!
でも悲しいんですもの!貴方が居なくなった後、静かに食べるあの時間が好きなんですからッ!
「フランス……罪滅ぼしに、甘いケーキを作りなさい 」
その後私達は食材の調達をしに出かけ、調理を始めました。
作ってもらうのは…そう、例のお菓子、タルトタタンです。
「砂糖をたっぷり使った甘い林檎が食べたい。」私がそう言うと、礼儀のない彼は
「タルトタタンこそ、素材の味を行かさなくっちゃ。」
そう言って私を止めました。
せっかく新しく砂糖の袋を開けたというのに…
けれども不思議なもので、気がつくと砂糖、バター、林檎の、甘くて優しい香りが私の鼻腔と心を満たします。
嗚呼なんでしょう、この気持ち。なんだか落ち着きます…
「フランス…」
「なあに?イギリス」
「………いいえ、なんでもありません」
頭がぼんやりとして、地に足が付いていないような感覚がします。
私はこの香りに、酔ってしまったのでしょうか?
「フランス、」
「なあに?」
まるで甘い香りに誘われた蜂のようで…
なんて
とんでもない免罪符を心の内で唱えつつ、一歩、また一歩と彼の方へと足を進める。
広がる香りに狭まる距離。
…早まる鼓動
懐かしい。これほどまでに心動いたのは、何十年ぶりだろうか。
「イギリス?」
「いい香りですね、フランス。一口食べても?」
「………はあ、もう食べる気満々じゃないか。いつの間にフォークを手に取ったんだい?」
「あら、無意識でした。」
別に、食い意地が張っているとか、そういう訳ではありません。ただ、味見は大切でしょう?「本当に味見したの?」と、ヒトから頻繁に聞かれるくらいですし。
「いいよ。君の可愛さに免じて許してあげようじゃないか。フォーク貸して?」
「……私のどこが可愛いんですか…目が腐ってるんじゃないですか?頭の病院探しましょうか?」
「あはは、切れ味バッチリだね……
はい、これでいいかな?」
そうして私の手には、飴色に輝く熱々の林檎が渡されました。
たった1口分でも分かる、濃厚な甘みと酸味の良い香り。
そんな香りを、私は思い切り口に含む。
「ん〜!ふふっ、」
ほっぺが落ちるとはまさにこの事!
口の中が幸せでいっぱいで、思わず笑がこぼれてしまいます!
…だからこそ嫌いになれない。
この香りも、この味も、彼の事も。
カラメルのように苦い思い出。
でも、砂糖のように甘い思い出。
「イギリス、林檎を敷くから手伝って欲しいな」
「それなら私にもできます!お任せ下さい!」
好きが詰まった、大切な思い出。
だから
だから私は、覚えておくのです。
「完成〜〜!いやーー疲れた!めーーーーーっちゃ疲れた!!」
「お疲れ様です、フランス。さぁ早く出来たてを_」
「君、今日はなんだかがめついね??まあそんな所も天使みたいに可愛いけれど」
オーブンの前を陣取っていた私は、フランスの気の抜けた声よりも先にお皿とカトラリーをキッチンカウンターに並べました。
決してがめついのではありません。
食い意地が張っている訳でもありません。
「早く切り分けなさい。」
「はいはい、今分けるからね」
それからノロノロとしたフランスの切り分けが終わり、私達はリビングの机に座り直します。
先程とは違い、暖かいケーキと、それにピッタリの紅茶が並んだ、賑やかなテーブルになりました。
「では頂きましょうか」
「ねぇイギリス」
ようやく食べれると思ったのになんなんだ此奴は__
「なんですか?」
「本来ならばここに、薔薇でも飾りたいところだったなと思ってね。」
「薔薇…」
「ふふ、覚えているかい?」
………。
えぇ、覚えていますとも。
あの味も、あの香りも、あの景色も…それから
貴方の言葉も…
「忘れられるわけ…ないでしょう」
「貴方、私にとんでもないことを言ったんですよ?」
「あの時は駄目でも、今ならどうかな。
もう一度言ってもいいかい?今度は君の本心で答えて欲しいからさ。」
『好きだよ、イギリス。誰よりも、どんなものよりも。 』
「ふふっ… 貴方ってば何年経っても馬鹿ですね。それよりもほら、冷めてしまう前に早く食べましょう?紅茶も冷めてしまいます。」
「嘘、ここで話逸らす事あるの?」
「ではいただきます。」
「えっ無視!?」
……んふふっ、美味しい。
私の大好きな、思い出の味。どのお店にも並んでない、貴方だけの大切な味。
「次は手土産を忘れないことですね、フランス?」
「………それはまた来てもいいって事?」
「さぁどうでしょう?」
ですがやはり、タルトタタンは甘すぎますね。
こうして心までもが、甘く解けてしまうのですから__
コメント
3件
ふぁぁぁ!フライギも尊すぎます!! ほんとに食べちゃいたいです(?)
好きです!!!!!! ぶっ刺さりました… 細かい描写が凄くてイギリスの気持ちがなんか凄くて…(語彙力 尊かったですありがとうございました…… †┌┘墓└┐†
読了しました🌙 イギリスとフランスのやり取り、本当に可愛いですね。表面上はツンツンしてるけど、タルトタタンの香りに誘われて距離が縮まっていく感じとか、紅茶と林檎の甘い思い出に浸る姿がすごく好きです。「好きが詰まった大切な思い出」って言葉、じんわりきました。 フランスが不器用ながらもケーキ作ってくれるところ、イギリスが素直になれないのに心は甘く溶けちゃう感じ…尊いです。続きも気になります🤍
しつがいきんぐだむ
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ミモザ 1週間メイド化
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