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かれこれ1時間以上北斗はひたすらアリスを抱いていた
肘掛け椅子が背中に当たって痛いけど、満足感にぼうっと酔いしれていた
どれだけ眠るアリスを眺めていても飽き足りなかった
彼女の細部のひとつひとつを見るたびに、新鮮な喜びを感じた
流れる液体のような茶色い髪の房が、北斗の腕に広がっている
そしてなにより普段のお嬢様顔で澄ました仮面を、脱いで無邪気に眠る顔が新鮮だった
もの言いたげな、やわらかい唇には、ひと目で心を射抜かれた
これほどしっかり彼女を抱いていながら。まだ彼女を求めているとはどういうことだろうか
アリスは赤子の手をひねるように、あるものを北斗から引き出した。それは彼が今まで誰にも示したことがない愛情と思いやりだった
アリスが毛布の下で、柔らかい脚を北斗の脚に無意識に絡ませてくると、北斗のモノは激しく反応し勃起した
なんてことだ
さっきどうしようもない切ない高まりを、彼女の手で収めてもらったばかりなのに
どういうわけかアリスはここまで譲歩しながらもなぜか優位な立場に立っているようだ
彼女を喜ばせることならなんでもしてしまいそうだ
彼女を組み敷いて無防備な体に、自分のモノを突き入れない様、歯をくいしばって耐えなくてはいけない。少なくとも自分の牧場に連れて帰り、結婚の誓いを済ませるまでは・・・
今は代わりに北斗は彼女の体にぴたりと寄り添い、柔らかなその感覚を楽しんだ
飛行機の振動と静かな乗客のガサゴソする気配を感じる
何にアリスに惹かれて、こんな行動をとっているのか、自分は今だに理解できずにいる
しかし彼女にキスをした瞬間、感電を起こしたようになり、彼女を自分のものにしたくなった
そしてグランドピアノの上で、彼女の美しいアソコを見た時も感電を起こしたあれは自分だけのものだ
茶色く細い彼女の髪の一房が鼻にかかり、柔らかな吐息が吐かれる度にはためいた
北斗はその毛束を後ろへ退けてやり、髪と同じ色の茶色いほっそりした眉を親指でなぞった
何が良くて彼女が自分の所へ来たのか、北斗はまだ理解できずにいる
金目当てでは当然ない、地位が高いとか優れた容姿にも、魅力を感じていないのは間違いない。北斗はそのどちらでもないからだ
冒険を求めているのだろうか、しかし冒険はいずれ退屈になるものだ。その時にはすべてが新鮮味を失いありふれたものとなる
彼女が平坦な牧場の生活に飽きて、もとの生活に戻りたくなった時・・・・
そうなった時に自分には彼女を引き止める魅力はない
北斗は大きくため息をついた
アリスが心から自分と結婚したがっているとは思えない
彼女はあまりにも世間知らずだ
いつ彼女の家族が取り戻しにくるかもしれないし、彼女が涙ながらに実家に帰らせてくれと懇願するかもしれない
牧場の毎日は思ったより厳しい
不安はつきない
でももし・・・・それでも彼女が自分と一緒にいたいと言ってくれれば・・・
北斗はギュっと眠る彼女を抱きしめた
絶対幸せにする・・・ああしてみせるとも・・・
でも彼女にどうしてやったらいいかわからない、自分が持っているものをすべて差し出してもいい
もしも彼女に「月を取ってこい」と言われれば、どうにか叶えようと考える自分がいるのが恐ろしい
だから・・・・
どうか・・・
北斗はチュッとアリスのおでこにキスをした
:*゚..:。:. .:*゚:.。
そう願い、飛行機のエンジン音と振動に揺られながら眠りについた