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「…で、一体どんな方法があるというの?」



腕を組みながら半信半疑…いや、ほぼ何か変なことでもするのではと疑っている様子のイルーラさんがヴェスティガさんに急かすようにその詳細について尋ねる。



「未来視の魔眼の能力についてだが、お主の認識だと『視界内の未来、数秒先を確実に視ることが出来る』という感じではないか?」


「ええ、まあそんな感じだけど…」



イルーラさんがそのように答える。

それを聞いたヴェスティガさんは何やら不敵な笑みを浮かべた。



「いやいや、それは完全に正しい認識とは言えんな」


「何、喧嘩でも売ってるわけ?」



彼女の中で疑惑の念が徐々に怒りの念に変わっていく様子をこの会議室にいる全員が感じ取っていた。俺はイルーラさんが怒って依頼の参加を取り消すなんて言い出さないかとヒヤヒヤしながらこの場を見守っているしかできない。


初対面で彼女のことを良く知らないのに彼女をなだめることなんてできるはずもない。



「お主の認識は未来視の魔眼の能力の一側面でしかないのじゃよ」


「一側面…?」


「その通り。わしの研究によってお主の魔眼は『魔眼が認識し得た魔力の流れをもとにその先の未来を予測する』というものだと判明したのじゃ。お主の認識が一側面しか捉えられなかったのは、普通の方法じゃと『魔眼で認識した視界内の魔力の流れをもとにその数秒先を算出する』ぐらいしかできないからなのじゃよ。なんせもっと先の未来を視ようとすればさらに多くの魔力が必要となるからの」



何だかそう聞くと未来視の魔眼の能力がスーパーコンピュータの予測演算みたいだな。まあ俺以外には誰にも伝わらない例えだろうけど。



「…つまりは多くの魔力があれば遥か先の未来まで視ることが出来るということ?」


「ああそうじゃ。もちろん先の未来になればなるほど不確定性が増してゆくからのう…わしの推測じゃと信頼可能な未来としては限界は約半年が限度じゃろう」




半年も先が見えるのであればおそらく奴の攻めてくる場所の手がかりが何か掴めるだろう。ぜひともヴェスティガさんが言うその方法を試したいところだが、一つ懸念がある。



「ヴェスティガさん、その方法ですけど例え魔力をより多く用意できたとしてもイルーラさんの負担が大きすぎるのでは…?」



俺は素直に懸念点をヴェスティガさんに伝えることにした。

もしもそのことが見落とされているのであれば大変なことになってしまうからだ。



「そうよ、そんな遥か未来を視れるほどの膨大な魔力なんて扱いきれないわよ。それに彼の言う通り、そんなことしたらほぼ確実に私の魔脈が壊れてしまうじゃない」




イルーラさんは再び顔をしかめてヴェスティガさんを睨みつける。



「まあ、落ち着けイルーラよ。確かに必要な魔力を集めた状態でなら未来視の魔眼で半年先を視ることが出来る。しかし用意した魔力をイルーラだけで処理するとなるとお主の言う通り魔脈はその処理に耐え切れずに再起不能までに壊れてしまうだろうな」



それを聞いたイルーラさんは私を犠牲にするつもりなのかと怒りをあらわにしてヴェスティガさんに向けて魔法を放とうとしていた。俺たちは慌ててその攻撃を制止するためにイルーラさんの元へと駆け寄った。


だがしかしイルーラさんがそこまで怒るのは無理もない。

俺もそうなってしまうのであればやりたくない。



「だからそう焦るなと言っておるじゃろ!わしは言ったはずじゃぞ『イルーラだけで処理するとなると』と。もとよりそんな危険なことをするわけなかろうて」


「では、何か他に方法があるのですか?」



俺はヴェスティガさんの意外な言葉にすぐさま反応した。

イルーラさんの負担が大幅に減らせる方法があるのであればぜひとも協力したい。



「もちろんだとも、それも簡単な話じゃよ。一人がキツいなら複数人で制御すればいい。それに魔力の扱いならそこに適任がおるじゃろ」


「適任…?」



そう言ったヴェスティガさんは視線をセレナの方へと向けた。

なるほど、セレナの真性の魔眼を頼ろうという訳か。



「セレナ嬢、あなたの魔眼があればおそらくイルーラに負担なく魔力を制御することが可能だとわしは見ておるのです」


「私の魔眼、ですか」



セレナは急に自分に話が振られたことで少し驚いたような表情をしていたが、少し間をおいてすぐに真っ直ぐな目をヴェスティガさんに向けた。



「わ、私の魔眼で出来ることであればぜひ協力させてください!」


「それはありがたい。さて、どうだイルーラ?」



セレナの返事を聞いたヴェスティガさんは改めてイルーラさんに協力の意思を確認する。するとイルーラさんはセレナとヴェスティガさんを交互に見た後にため息をついた。



「はぁ、まあ私の負担がないのであればやるけれども…」


「ああ、セレナ嬢の魔眼があればお主の魔脈にかかる負担は最小限になるじゃろう。もちろん魔脈が壊れることもない」



ヴェスティガさんの最後の一言でイルーラさんは協力をすることを決めたみたいだ。この二人の持つ魔眼のおかげで犠牲を出さないという希望が見えてきた気がする。



「それで次は大量の魔力が必要になるのじゃが…」


「それに関しては私も協力できるだろう」


「僕も協力します!」



俺とグランドマスターはここぞとばかりに協力を申し出る。

おそらく俺たちが協力できるところはここぐらいだろうから。



「俺も協力しようじゃないか!」


「いや、お主は繊細な魔力のコントロールなんて出来んじゃろ。複数人で魔力を供給するには全員が息を合わせて一定量の供給を保ち続ける必要がある。じゃからお主には向かん」



おぉ…ストレートな拒絶。

少しガーディスさんが可哀想…かな。


ヴェスティガさんの火の玉ストレートの言葉を聞いたガーディスさんは「そうか」と一言呟いてせっかく勢いよく立ち上がったのにゆっくりと再び座ることになっていた。





「セラピィも協力する!」



するとセラピィも両手を上げて協力を申し出た。

少し心配だがセラピィにも手伝えることはあるのだろうか?



「もちろん神化精霊のお主にもやってほしいことがあるからのう。ぜひとも協力して欲しい」


「うんっ!もちろん!!」



手伝えることがあると聞いてセラピィは嬉しそうにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねていた。セラピィに出来ることとは何だろうと少し親心のような、心配な気持ちが浮かび上がってくる。


しかしイルーラさんがヴェスティガさんに「神化精霊様の扱いは丁重にな!」と念入りに注意していたからおそらく心配する必要はないのだろう。



「それでは早速準備を始めるとしようか。実行予定日はおおよそ3日後じゃ。それまでわしが全ての指揮を執るからしっかりとついてくるように」



会議室にいる全員が大きくうなずく。

いや、一人以外…



そうして俺たちはヴェスティガさんの指示にしたがって未来視を行うための準備を急いで進めていくことになった。


その間ガーディスさんはギルドの職員と共に荷物運びに精を出すことでなんとか貢献しようとしていた。


うん、いい人だな。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~願ったスキルより女神様からもらった称号がチートすぎて無双します~

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