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お互いに黙ったまま、お酒を飲む時間だけが過ぎて行く。
ふと視線を感じて、グラスから目を上げると、
濃く茶色い瞳が、じっとこちらを見つめていた。
「……。……君は、私のことはどう思っているんだろうか?」
不意に切り出された言葉に、息を呑んだ。
「……どうって……」
もし本当の気持ちを話したらどうなるんだろうと、今度こそ別れを告げられてしまうんだろうかと……。
そう思うと、心を決めたにも関わらず、生きた心地もしなかった。
それほどまでに彼のことが好きなんだと、改めて思い知らされて、涙が滲みそうになる。
「……私は、ただの雇われ運転手ですから……」
涙をこらえて、それだけを口にする。あえて運転手の立場を自分に言い聞かせることで、たとえ彼から何を言われようと傷つかないようにした。
「違う。君は、雇われ運転手なんかじゃない」
「えっ……」
「……違うから、そんな風に思わないでくれ」
彼の手が伸びて、ふっと慈しむように私の頬に触れた。
「……君は、私にとっては、それ以上の存在だ」
彼が告げたことに、信じられない思いでまさかと口をつぐんだ。