コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……今まで、何度も言う機会はあったのに、言えなくてすまなかった」
グラスに僅かに残っていたワインをひと息に飲み干すと、
「ずっと言えずにいた、『私は、君を……』の後を、聞いてもらえるだろうか」
彼が、抑えたもの静かなトーンで語って、「……はい」と、頷いた。
「私は、君を……。……君を、好きなんだ」
切なげに掠れた彼の声が、胸の奥に沁み入っていく。
「……。……本当に」
それだけしか言えないでいると、
「目を、閉じて……」
低く囁きかけられて、言われるがままに瞼を綴じた──。