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「ローレン!」
授業も終わり、今は昼休みだ。
今日は昼食を食べる気が起きず、教室で寝ていたグリフィンドール生のローレン・イロアス。
少し長い赤色の髪の毛を後ろで結んでいる。
前髪も長く片目が時より隠れる。
そんな彼の目の前に立って名前を呼ぶのはグリフィンドール生のアクシア・クローネだ。
ローレンは机に伏せている顔を上げてアクシアを見る。
「アクシアじゃん。どしたん?」
黒髪に青い目をしているアクシアはキラキラと目を輝かせている。
「今年のクィディッチ誰が選手になるかな!」
クィディッチとは寮対抗のスポーツ大会である。
ほうきに乗り、金色の玉を捕まえるまで相手のゴールにボールを入れるスポーツだ。
寮対抗で行われるため、寮の中で優秀な生徒が選手に選ばれる。
そのクィディッチがもう少しで開かれるのだ。
「やっぱり明那先輩かな?去年も出てたし、明那先輩がいるとチームの盛り上がり方が違うよねぇ。」
アクシアは手で顎を撫でる。
「あ!剣持先輩とか?」
次々に先輩の名前をあげていくアクシア。
「ね!ローレンは誰が選手になると思う?」
突然の質問にローレンは一瞬戸惑う。
しかし、すぐに答えを出す。
「…俺とお前。」
ローレンは自分を指差したあとにアクシアを指差した。
予想外の答えに目をぱちくりさせるアクシア。
「えぇ!俺ら?!」
やっと理解したかのように驚くアクシア。
「俺らだって、飛行技術は他の奴らより優れてるだろ。それに……先輩への媚びを忘れずにやっていただろ!」
机から立ち上がりガッツポーズをするローレン。
確かにローレンとアクシアの飛行技術と運動神経の良さは他の生徒よりも上だ。
先輩方とも仲が良い。
チームワークが必要になるクィディッチではコミュニケーション能力は重要である。
「た、確かに。」
納得したかのように真面目な顔をするアクシア。
そんなアクシアを見てローレンは続けて言う。
「寮の代表として選手になるなんて凄くね?それに強い奴らと闘いたいじゃん。」
スリザリンでは叶、葛葉は毎年選手として出ている。
叶の統率力は全校生徒の中でも上位である。
葛葉との相性も良く、最凶最悪コンビだ。
レイブンクローでは選手としてではないが黛が後ろで動いている。
分析力に富んだ黛は選手の傾向を把握することで、相手の嫌な闘い方を考えるのが上手い。
ハッフルパフは特別強い選手が多いわけではないが、可愛い見た目の割にはパワーや技術を持った女子が多い。
グリフィンドールでも毎年優秀な選手を出している。
毎年出ている選手もいるが、優秀な選手なら初めてでも出している。
それならローレンやアクシアにも可能性はあるのだ。
「俺はぜってぇ、クィディッチに出る。」
ローレンはさっきまで寝ていたとは思えないやる気に満ちた目をしている。
そんなローレンを見て一層目を輝かせるアクシア。
「俺だって!絶対出るから!」
アクシアは拳を握りローレンの前に出す。
ローレンは勢いよく拳と拳を合わせる。
その数週間後、クィディッチの選手が選ばれた。
そこにアクシアとローレンの名前があったのは、また別の話。