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屋根に打ち付ける雨音で僕は目を覚ました。あの日自殺を決意した日から何もしないまま2週間ほどが経ってしまった。
「ここままだとまずい。」
そう危機感を感じた僕は外に出ることにした。傘も持たず。薄暗い街の中はやはりこの雨模様なのでほとんど人がいない。なぜ外に出たか。それは死に場所を探すためだ。だからこの天気は僕にとってとても都合が良かった。だが稀にすれ違う人からは怪しまれるような目で見られた。しばらく歩いていると奥の方に海があるのを見つけた。僕は小走りで向かった。海岸から水中を見るとかなりの水深があり、1度沈んでしまえばもう戻って来れなさそうだ。体に巻きつける錘があればなんとかなるだろう。そう分かった途端、急に安心感が現れ僕は海岸沿いに腰掛け休むことにした。大きくため息を1つ吐く。
「どうしてこんな人生になってしまったんだろう。」
才能もないのにイラストレーターという不安定な仕事に就いてしまったからだろうか。いや僕の実力なら普通に働くことすら出来ないだろう。そもそも確実に僕の人生を狂わせたのはあの時だろう。
『水無月光彩(みなつきひかり)』
これは僕がイラストレーターを目指すきっかけになった人の名前だ。この人の絵を初めて見た瞬間今までにないほどの衝撃を受け、泥酔したかのように彼女の絵から絵を学び始めた。でも結局努力が実ることはなかった。僕は再び大きなため息を吐く。その瞬間僕は声をかけられた。