テラーノベル
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「どうしたらこんなミスができるんだ! このバカ女が!」
課長の怒声がオフィス中に響き渡った瞬間、顔がトマトみたいに真っ赤に染まった。
次の瞬間、血の気が引いてナスみたいに青白くなる。分厚い書類の束が頭上から降り注ぎ、デスクに叩きつけられる。
バンッ! という音と同時に、私の体がビクンと跳ね上がった。喉がカラカラに乾き、耳鳴りがキーンと鳴り響く。心臓の音がうるさくて、視界がぐらぐら揺れる。
……あぁ、またやった。
背中に突き刺さる同僚たちの失笑と、同情混じりの視線が、針のように痛い。床に散らばった書類を拾おうと手を伸ばした瞬間、課長の冷たい声が追い打ちをかけた。
「今月で三度目だぞ。お前みたいな無能は、うちの会社に必要ないんだよ」
指先が震える。
涙がにじみそうになるのを必死で堪えながら、私は思った。
――もう、限界。この会社で、こんな毎日を繰り返すのは。
化粧室の個室で、必死に涙を拭っていると、外からガヤガヤと複数の足音と笑い声が近づいてきた。慌ててトイレットペーパーを握りしめ、ドアから少し離れて息を殺す。
「ねえ、聞いた? 佐々森さん、今日もまた大ミスしたんだって」
「マジで? あの人ホント使えないよね。毎回毎回同じミスしてるし」
「ボソボソ何言ってるかわかんないしさ。声も小さくて聞き取りにくいし」
「暗いし地味だし、存在感ゼロじゃん。なんでまだ会社にいるんだろうね」
女性たちの声は容赦なく尖り、笑い混じりに次々と刺さってくる。手厳しい言葉が個室の薄い壁を簡単に突き破り、私の胸に深く突き刺さった。また、涙がじわっと滲んでくる。唇を噛みしめても、肩が小刻みに震えて止まらない。
「……もう、嫌だ」
心の中で何度も繰り返した言葉が、喉の奥で熱い塊になって詰まる。外の笑い声が遠ざかっていくのを待って、私はゆっくりと息を吐いた。でも、今日だけは違った。この屈辱を、ただ泣いて流すだけじゃ終わらせない。私は唇を強く噛んだ。
レモン
ふわねこカラメル
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