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別に次の日が休みというわけでもないのに、なぜか眠れなかった伊織。
ただでさえ低血圧で、貧血気味で、朝は弱いというのに一層会社に行くのがめんどくさくなる。
「おっは、よー」
いつものように軽アタックしてくる気恵(キエ)。
軽アタックなのにその日は吹き飛ばされ、倒れた。
「うお。え、汐田、ごめん。やり過ぎた?」
と心配になるほど。
「体重の乗ったいいアタックだ」
「…え?私の体重が重いって言いたいわけ?」
ゴゴゴゴという文字が背後に見えるほど静かな怒りを燃やす気恵。
いつも目つきが悪く、印象が悪く見られがちだが、今他の人が見たら通報待ったなしの目つきである。
「いや…。すまん」
いつもの伊織ではない様子に
「どしたん?」
と背後のゴゴゴゴの文字も消え、より一層心配になる気恵。
「寝不足」
「寝不足?」
コクンと頷く伊織。
「なにぃ〜?す、好きな女の子のことでも、か、考えてたんじゃないのぉ〜?」
と揶揄うように、でもどこかに期待を寄せて
でもあり得ないというように、口を尖らせてチラッっと横目で伊織を見る気恵。
伊織は開いているのか開いていないのか、わからない目で
「あぁ〜…」
前の日に現れたルビアの友達?の、ルビア曰く「天使」という女の子の顔を思い出し
「まあ…。そうかな」
と言った。
「…え」
「え」とも「へ」とも聞こえるような声を漏らし、立ち止まる気恵。
「嘘でしょ」
魂が抜けかける気恵。ちなみに伊織は低血圧、貧血に加えて寝不足で、全然あたまが働いておらず
「なにぃ〜?す、好きな女の子のことでも、か、考えてたんじゃないのぉ〜?」
という気恵の言葉をすべて理解し答えたわけではなく
「なにぃ〜?…ボヤァ〜…女の子のこと…ボヤァ〜…考えてた…ボヤァ〜…」
くらいの理解度で答えていた。魂の抜けかけた気恵と低血圧で貧血で寝不足の伊織という
RPGでいったら、全滅待ったなし、教会へ向かうべしな
デバフがかかりまくったパーティーが会社について入る。オフィスへ行くと明観(あみ)がすでにオフィスにいて
「おぉ。おはぁ〜…」
と伊織、気恵を見つけて挨拶したものの、その様相に
「どしたん」
と半笑い、半心配で声をかける。
「し、汐田が…」
「汐田が?汐田になにかされたん?」
相変わらず眠そうな目(まなこ)の明観。
「あぁ…。くそ眠い…」
自分のデスクに突っ伏す伊織。
「まあまあお姉さん。バッグ置いて、こちらでお話お伺いします」
と明観は魂が抜けかけた気恵のバッグを気恵の席のイスに置いて
お客様といろいろ話し合うためのスペースに行った。
「どしたん」
「汐田が…好きな人のこと考えてて眠れなかったって…」
「マジで?」
「マジで…」
明観がデスクに突っ伏している伊織の背中見る。
「へぇ〜。好きな人いるんだ」
眠そうな目でおもしろがる明観に、さらに魂が抜けかける気恵。
「ま。でも気恵の可能性もあるじゃん」
という明観の一言に少し魂が身体に戻る気恵。
「そ、そうかな?」
「うん。あり得るあり得る」
徐々に魂が身体に戻り始める。
「でもあんなんでも汐田、意外にモテるだろうしなぁ〜。
私らの前ではあんなでもお客様を前にしたらしっかりするし、お客様の前では爽やかだし。
顔もー…まあ、私のタイプではないけど良い方なんじゃない?
案外お客様に言い寄られて、汐田もその気になってたり」
戻り始めた魂がまた抜けていく。
「ふっ。気恵はおもろいな」
「遊ぶなよ!」
「すまんすまん」
と女子2人が戯れ合っていると
「おはよーございまーす」
とルビアが出勤してきた。お客様と話し合うスペースで
「お。ルビアくん、おはー」
「ルビアくんおはよう」
と明観と気恵が挨拶したので
「あ、お2人とも、おはようございます」
と挨拶をしてオフィスに入った。
「うわっ!伊織先輩がしっ、死んでる」
「…」
「返事がない。ただの屍のようだ」
「…」
ボケても返事をしない伊織に
「え。先輩マジで死んでないですよね?」
と社長を見るルビア。
「死んでない死んでない」
と社長が言うので、ルビアはいつも通り伊織の必需品、約1日の鉄分 飲むヨーグルトを伊織の顔の隣に置く。
「…。さん、きゅ」
「おぉ。釣れた」
「…先輩を魚みたいに言うなよ」
というところで
「おっはよーございまーす」
と元気のいい挨拶が聞こえてくる。
「あ…避難、避難…」
と伊織はルビアからもらった約1日分の鉄分 飲むヨーグルトを持って休憩スペースへ移動する。
「気恵が汐田に伝え」
というところで明観の口を塞ぐ気恵。
しかしオフィスから出てきた伊織は相変わらず低血圧、貧血に加えて寝不足で
意識を他に配る余裕もなく、引き寄せられるように休憩スペースへ。
「え。明観なに言おうとした?」
「え?気恵が話があるらしいから、放課後、校舎裏に来てって」
「高校生かよ」
「おっはよーお2人さん」
累愛(るあ)が爽やか笑顔で明観、気恵に挨拶する。
「おはー」
「おはよー」
「伊織は相変わらず、か」
と休憩スペースを見る累愛。オフィスに入る。
「おはようございます!」
社長に挨拶する。
「おはよう」
「ルビアくんもおはー」
「おはようございます!」
「ルビアくんは健康的だねぇ〜」
「そうですかね?」
「見なよあれ」
と顎で休憩スペースの伊織を指す。
「入社2日目からあれよ」
「1日目は違ったんですか?」
「うん。聞いたら1日目は気張ってたらしい」
「へぇ〜」
「んで、もう入社確定ってなったら気抜けてデスクでダウン。さすがにみんな心配したよね」
「だねぇ〜。あのときはみんな立ち上がって駆け寄ったもんねぇ〜」
社長も思い出す。
「したら伊織のやつ「寝させてください」って。アホか!って言って。ね?」
「まあ僕は「別にいいよぉ〜」と思ってたんだけどね」
「てか伊織キッカケで崩れたんだよなぁ〜。景馬(ケイマ)もスマホでゲームし出すし。
ま、尾内(オウチ)はまともだったけど。「なんだコイツら」って思ったわ。ま、それが今では」
累愛が休憩スペースのバーにあるような丸テーブルに、高めのイスに座って突っ伏す伊織と
お客様と話し合うスペースで、気恵にいろいろと教えながら、スマホでゲームをする明観と気恵を見て
「落ち着く光景になったなぁ〜」
と少しいい感じで言った累愛だが
「ちょっとアットホームすぎるけどね…」
と少し否定した。始業前に軽い朝礼とも呼べないものを行い
いつも通りの時間に、アットホームな不動産「オーライ おおらか不動産」が始まる。
営業トップの累愛はその日も複数人のお客様の内見の予定が入っていた。
明観も珍しく内見の予定があり、伊織も内見の予定があったので
その内見にルビアを同行させる予定だった。気恵だけは内見の予定がなかった。
伊織の内見予定は午後からだったので、午前中に内見へ行くお部屋の大家さん、オーナーさんに
「本日はよろしくお願いいたします」という旨の電話を改めてかけておく。
「小角決(おかけ)スゴいよね」
気恵がパソコンをいじりながら呟く。
「ん?あぁ。ま“愛”の力だろ」
と知りもしない累愛の好きなアイドル「愛嬌ファーストクラス」を思い浮かべる。
「なにがいいんだか」
「愛?」
と呟き、気恵の頭には微笑む伊織が思い浮かんだ。
ボフッっという音を立てて、煙が舞ったように顔を赤くさせる気恵。
「うわ。尾内先輩、顔赤っ」
というルビアの言葉に気恵を見る伊織。
「あぁ。たまにショートするんだよ」
と言って今一度パソコンに向かい合う伊織。
「ショート?」
「そ。たぶんこの会社で一番しっかりしてるけど、しっかりし過ぎてるが故にたまにショートするの。
仲良くなったときからたまには肩の力抜いたら?って言ってるんだけど、気張ったまま」
「ほお」
と伊織、ルビア、気恵で雑談しているとお昼休憩の時間に近づく。すると累愛からLIMEが届く。
累愛「悪い!昼休憩には帰れなそうだから、伊織、ルビアくんと食べて」
とのメッセージだった。スマホをデスクの上に置いたタイミングで明観がお客様を連れて帰ってきた。
朝、明観と気恵が話したり、スマホでゲームしていたりしたところで
次回の内見の打ち合わせをしている明観。
「昼先に行ってきて」
とパソコンに向かって言う伊織。
「…」
「…ん?汐田、誰に言ってる?社長?」
「んなわけあるか」
「私?」
「と景馬も」
「どしたの?」
「いや、累愛が内見押してるって言うから」
「なるほどね。じゃ、先に行ってくる」
「ん」
ということで明観がお客様との話し合いが終わり、オフィスへ帰ってきたので
気恵と明観は一足先にお昼ご飯を食べに外に出た。しばらくして
「伊織くんとルビアくんもお昼行っておいで。お客さん来たら僕が対応するから」
と社長が言ってくれたので、伊織とルビアもお昼ご飯を食べに行くことにした。
いつもの中華ファミレスに入り、注文を終える。
「伊織先輩」
「ん?」
「今日の夜少しでいいので、お時間、よろしくお願いしますね」
と言われ、ドリンクバーの飲み物の入ったグラスを置く伊織。
「それ」
「はい?」
「それが気になって、昨日全然寝れんかった」
「あ、それで今日、いつも以上に体調悪そうだったんですね」
「そう」
「軽く言っておくと、昨日職場に来たのがアルノ・シジェン・ワセエ」
「あの「なのだ」の子ね」
「ですです。あいつが天使です」
「…ふぅ〜…」
鼻から息を吐く伊織。
「でもう1人。水色の髪してるメガネがタズ・ウォーン・テシー。天使です」
「ふぅ〜…」
また鼻から息を吐く伊織。
「水の天使だっけ?」
「です。天使の輪が水なんで楽しみにしててください」
「楽しみに…。まあいいや」
「でもう1人、赤髪のやつがイルファー・ビー・アイ。悪魔です」
「なんだろうね…悪魔は安心するわ」
と悪魔に安心するという謎の感情が芽生えた伊織。お昼ご飯を食べて職場へ戻ると累愛が戻っており
「お。おかえりぃ〜」
と出迎えてくれた。
「ただいま」
「ただいま帰りました」
「いやぁ〜お客様が結構気に入った物件があって、たぶん次回の内見で決まると思うけど
その気に入った物件の周辺の散策してたら遅くなったわぁ〜」
と遅くなったのに嬉しそうな累愛。
「嬉しそうなこって」
「そりゃーそーよー。はやく多く決まればその分休めるしー?
休めるってなれば…あぁ…愛しの愛ファスちゃん(愛嬌ファーストクラスの愛称)」
と神に祈るように手を合わせて天井を見る累愛。
「誘わないでね」
「誘うわぁ〜。ファンが増えればメジャーへの道が開かれる」
「いいのか。オレみたいなニワカが足踏み入れても」
「伊織はいいよー。語りたがるタイプじゃないし。興味なくてもお金さえ落としてくれれば」
「オレに何の特がある」
「えぇ?オレがメジャーデビューに一役買ったんだぞ?って自慢できるじゃん」
「てかいいのか?メジャーデビューしたらニワカ増えるぞ」
という伊織の言葉に「あっ」っという顔をして
「え。そうじゃん。え。じゃあオレたち愛ライダー(愛嬌ファーストクラスのファンの愛称)は
なにを目指せばいいんだ?」
「知るかよ」
「え。伊織。そりゃないよ。現実突きつけて去るなんて悪魔みたいなことすんなよ」
悪魔はオレじゃなくこいつだ
と伊織はルビアに視線をやる。ルビアは「ん?」という表情。累愛は遅ればせながらお昼ご飯へ向かい
伊織とルビアはお客様を待って、お客様と一緒に内見へと向かった。まず1件目。
お客様のご要望に一番近い間取りや立地条件の物件。
「なるべく近くにコンビニエンスストアがあるといいということだったので
一応、1DL、お風呂トイレは別、そしてコンビニエンスストアなんですが
徒歩10分に足が出るか出ないかくらいのところに
ヘブン イン ヘブン(Heaven in Heaven)、シャイニーマート(Shiny Mart)があるのだ」
「のだ?」
鈴木様も
「の…のだ?」
ルビアも思わず声に出る。しかし伊織は接客用爽やか笑顔で説明を続ける。
「ハイトク(High Toku)もありましたが
ヘブン イン ヘブン、シャイニーマートと比べると少しだけ遠くになるのだ」
「のだ」
「のだ」
説明を終え、爽やか笑顔なのになぜか静寂で少し不安になる伊織。
「あぁ!あぁ、なるほどですね!」
鈴木様が「はっ!」っとなって喋り出す。
「お風呂場見てもいいですか?」
「もちろんでございます」
お風呂場へ移動するときにルビアが伊織に近寄って
「伊織先輩伊織先輩」
と小声で話しかける。
「ん?」
「語尾」
「語尾?」
「「なのだ」になってますよ」
「嘘つけ」
「ほんとですよ」
たしかに夜に会うという天使やら悪魔が頭の中を巡っていたことは事実であった。
「マジ?」
コクコク頷くルビア。
「…鈴木様も気づいてた?」
「はい。バッチリ」
額に手をあてる伊織。
「マジか…」
「大丈夫ですよ。ま「ハテナ?」とは思ってる感じでしたけど、見てる分には可愛かったですよ」
と笑顔で言うルビア。
「あぁ…どうもありがとう」
やってしまったからなのか爽やか笑顔がすごく恐い伊織。
「悪魔や…」
その後も2件目、3件目と内見をしていったのだが
「ここは鈴木様のご要望の駅徒歩15分圏内という条件は満たしていませんが
ヘブン イン ヘブン、シャイニーマートに加え
ハイトク、ミニッツトップ(Minutes Top)が徒歩10分圏内に存在するのだ」
とか
「ここは駅まで徒歩15分以内なんですが、大通り沿いに面しているのに加え、2階ということもあって
交通騒音、車両が行き交う音というのが少し気になると思うのだ」
と語尾の「のだ」がなかなか外れず、鈴木様と会社に戻って次回の打ち合わせをしているときも
「今日汐田さん可愛かったですね」
と鈴木様に言われる始末。
「あぁ…。すいません」
「いえいえ。しっかりされてる方っていう感じだったので、なんか親近感?湧きました」
という感じで打ち合わせは終了して笑顔の鈴木様を見送った。
ルビアはもちろん、伊織も笑顔で鈴木様を見送ったが、鈴木様がガラスがはめ込まれたドアから出て
ドアにはめ込まれたガラスからも姿が見えなくなった瞬間、伊織は死んだ表情になった。
しかもいつも以上に死んだ顔。なんなら「やっちまった」感が強いため
いつもよりは表情があるのかもしれないと思わせるほどである。
「し、汐田、どうしたん?」
気恵も思わず聞くほど。
「しくった」
「ん?」
「やらかした」
「やらかした?割には鈴木様?だっけ?めっちゃ笑顔で帰ってたじゃん」
「まあ…。鈴木様にはハマっただけだよ…」
説明されても相変わらず気恵には「?」だった。
「今日はマジで早く帰る」
伊織は頭の中の「天使や悪魔」のことを早く解決したかったので、早く帰りたかった。
その思いが口にも出てしまった。
「どしたん」
パソコンで仕事をしつつも、別のタブで放置ゲームをしている明観が聞く。
「女かぁ〜?」
と少し冗談混じりで、眠そうな目でニヤニヤしながら言う。その発言にビクッっとなる気恵。伊織は頭の中で
女…女…
と思いつつも、前日職場に現れたルビアのルームメイトの天使の顔を思い浮かべ
「…あぁ。女ではあるか」
と返事をした。
「…え」
「え」とも「へ」とも聞こえるような声を漏らす気恵。
「マジか」
眠そうな目で驚いている感は薄いが驚いている明観。
伊織は頭の中には相変わらず片目が隠れた独特の髪型で、語尾が「なのだ」の職場に来た天使が羽ばたいており
「…早く会いてぇ…」
そのモヤモヤを早く晴らしたいがあまり、つい口に出た。
「はや…く…会イ…タ…イ?」
あまりの発言に気恵がショートしたロボットみたいになり
プシュプシュ、プシュ〜っと煙を出し、煙に紛れて口からは魂が抜け出た。
「あ、尾内くん。尾内くんにお願いしてたリノベーションが済んだマンションの一室のページなんだけどー
すごくいいんだけど、もう少しだけ「リノベーション済み」ってのを強く見せたくて」
と言っている社長の言葉など1文字も入ってきていない。
「あれ?尾内くん?」
「社長ー。今ショートちゅー(中)」
と明観が社長に言う。
「ショート中?」
「あらあら。汐田。マジか」
明観は「やっちゃったな」というような顔で伊織のほうを見る。累愛がお客様と帰ってきて
「社長!お部屋決まりました!」
と笑顔でオフィスへ入ってきたものの、ショートして天を仰ぐ気恵や
パソコンに入り込むほどに熱中しながら仕事をする伊織
もはや仕事をせず、放置ゲームを別のタブでしながら、さらに別のタブでゲームをしている明観という状況に
「え。まだ営業時間中だよね?」
と戸惑うほどであった。営業時間が終わり
「お疲れっした」
と速攻で職場を出た伊織。
「あらあら。あんなに早く会いたい相手か」
「…汐田…会イ…タ、イ…相手?…」
ともう使い物にならない気恵の背中をポンポンと手で軽く叩いて
「呑み。付き合いまっせ」
ということで明観はショートした気恵ロボットを連れて飲みに行った。
「ルビアくん。伊織どしたの?あと尾内も」
といつもの同僚じゃないみんなに疑問を抱く累愛。
「あぁ…。たぶん自分のせいですね」
「え。ルビアくんのせい?」
「はい。昨日僕のルームメイトが来たじゃないですか」
「あぁ。あの癖強い子ね?」
「です。あいつが気になって仕方ないって感じかと…」
とルビアが言うと
「ほおぉ〜?伊織がねぇ〜?」
あの恋愛っ気のない伊織くんがねぇ〜?
とおもしろそうな匂いを嗅ぎつけた累愛。
「じゃ、僕もここで」
「うーす。お疲れー」
「お疲れ様です!」
と帰るルビアの一方、伊織は家に着いてスーツを脱ぎ、私服に着替えてルビアに
伊織「何時頃行ったらいい?」
とLIMEを送った。するとすぐにピンポーンとインターフォンが鳴ってインターフォンモニターを見ると
「先ぱーい」
と笑顔で手を振るルビアが映っていたので
「今から下行くわ」
と言って家を出た。