テラーノベル
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翌朝、病室には静かな光が差し込んでいた。
カーテンの隙間から差し込む光が、ゆっくりとベッドの上を照らしていく。
どこか穏やかで、何も起きていないような朝だった。
看護師がいつものように様子を見に来ると、彼女はすでに動いていなかった。
最初はただ眠っているように見えた。
だが、呼吸の気配がないことに気づくまで、そう時間はかからなかった。
名前を呼んでも、返事はない。
そっと手に触れる。
冷たかった。
そこに確かにあったはずの温もりは、もうどこにもなかった。
看護師は静かに息をのみ、現実を受け入れるしかなかった。
——夜のうちに、彼女は息を引き取っていた。
まるで、誰かを待っていたかのように。
その日、彼はいつも通り学校へ向かった。
教室のざわめき、黒板の音、変わらない日常。
何も知らないまま、時間は流れていく。
それでも、どこか落ち着かなかった。
ふと、ポケットの中のスマホが気になる。
画面を開く。
アプリの通知。
それは、BeRealのものだった。
「今日の写真を撮ろう」という、いつも通りの通知。
彼は何気なく、カメラを起動する。
周りの風景。
何も変わらない、ありふれた教室。
シャッターを押す。
そのまま、投稿画面を見つめる。
ほんの少し迷ってから、彼は彼女の名前を探す。
いつもなら、そこにあるはずの名前。
トークも、投稿も、当たり前のように繋がっていたはずの相手。
しかし、彼女のアカウントには——
まだ、既読も、反応もついていない。
何も返ってこない画面。
それが、やけに引っかかった。
その小さな違和感を抱えたまま、放課後を迎える。
彼は自然と、足を病院へ向けていた。
——行かなければならない気がした。
理由は分からない。
けれど、胸の奥がざわついていた。
病院に着き、受付へ向かおうとしたそのとき——
「……あの」
背後から、静かに声がかけられた。
振り返ると、彼女の親が立っていた。
その表情を見た瞬間、胸の奥が冷たくなる。
何かが起きている。
はっきりと、そう感じた。
言葉が出ないまま、時間だけが過ぎていく。
「……あの子は」
母親が、震える声で口を開いた。
一度、言葉を飲み込むように息を整え——
そして、静かに告げた。
「……亡くなりました」
#切ない