俺はアップルティをベンチに置いて、立ち上がった。かつて城壁の上に立ったときのように。振り返ると、プナールの小さな頭は下にあり、赤ショート崩れの髪が風に揺れていた。月明かりに照らされるその様子が妙に印象的に思える。
そのときだった。とても重大なことに気がついた、
「どうかしたの、」
今俺は、城壁の上からプナールを導いているということに。
「ね、」
しかもその城壁ってやつは、彼女自身が作り上げていることも、見て取れる。
「ねえ、固まっちゃって」
プナールはアップルティーをベンチの上に置いて、立ちあがった。
「本当にどうしちゃったのよ」
彼女のブロンド色の額の生え際、くせっ毛の流れが見える。息を吸い込むと、肺が震えた。吐きだすと、口を開いた。
目を瞑った。