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「テスト合計何点だった?俺は489点。」
「498点。」
いつもこんな競いの会話から始まる中学生の1日。
綾香(あやか)はいつも俺の上を行った。
成績も点数も技術も武術も完璧と言える程
全てを上回ってくる。
そんな彼女が憎かった。
彼女はいつも会話をすぐ終わらせたそうにしてくる。質問をしたら回答を言ってすぐ終わり。
会話のドッヂボールではなく野球だ。
そんな彼女だからこそ俺は1つだけ彼女の上に行ける。
「大輝(たいき)!放課後公園でサッカーしようぜ!」
「おう。そのまま直で行くわ。」
「おっけー、他の奴らも来るからな!」
それは人間関係だった。
彼女は机に向かってボーッとしてポツンと座っているだけ。休み時間も、授業中も。
でも授業成績はいいから挙手などの学びでは普通の人のように感じる。
放課後俺たちは公園の広場でサッカーを蹴り回していた。
遊んでいる中、とある俺の友達がふざけて勢いよくサッカーをぶっ飛ばし、人に向かって飛んで言った。
「危ない!」と言った時には遅かった。
背後からボールが迫り来ているのに避けれるはずがない。
と思った瞬間、首と体をフッと右に傾けて避けた。
「すげぇ…」
一同全員がこの言葉を放った。
蹴っ飛ばされたサッカーボールは避けた人の前に池があってそこの中心まっしぐらにポチャリと浮かんだ。
「…」
避けた人がこちらを睨んできた…
どこかで見たことがあるような気がする。
とくに目が似ている。あの人を見ていないかのような冷たい目。
綾香に似ていた。
でも容姿が違う。髪型、服装、装飾、
一体ここで何をしてたのか疑問に思った。
「俺が直接謝ってくるからお前ら先に帰ってくれ。バレないようにな。」
俺と綾香のような人と1対1になるように仕向け、俺は綾香の方へと向かった。
「なぁ…もしかして綾香か…?人違いだったらすんません」
「…」
やっぱり似ている。この苦しい静けさも。どことなくじゃない、感覚で分かる。
すると突然彼女は俺を避けて走った。
「おい!?一体どうしたってんだよ!?俺何もしてないだろ?? 」
(足はっや─)
瞬く間に俺と綾香の距離が倍倍になってきている
角を曲がった所で見失った。
(負けた)
また負けてしまった。
彼女に勝ない。
なんで?
どうして?
必死に俺は努力してきたのに、必死にこれまで徹底してきた。
なのに、越される。
この壁は一体…何が原因なんだ…?
前から通行人が来たので彼女がどっちに行ったか聞いてみることにした。
「すみません。さっき女の人があっちへ走っていきませんでしたか?」
「はて…?どうじゃったかの…」
「えーっと…髪がロングで、服装は全身黒で目立つと思うんです。」
「うーむ…」
「誰か通りませんでした..?」
「探し物はもしかしたらすでにあるのかもしれんぞ。」
そういって通行人は去っていった。
「?」
どういうこと??
「ねぇ…」
肩をポンと触られたのでつい
「うわッ!!」
と大きな声を出してしまった。
「い…いつから後ろに..?」
「さっきいた。」
「それで、何の用。」
「急に逃げ出すから…追いかけただけなんだけど…」
「そう..ごめんなさい。」
「なんで逃げ出したの?」
「…言えない。」
「そ..そう、か。てか、ここどこ?俺追いかけるのに集中してて分かんないんだよ…」
「こっち来て。」
辺りはブロック塀の狭い通路で十字路が何個もある。
迷いの森か?という程構造が複雑。
「ここで一休みしましょ。」
「え…ここ..どこ…??」
目の前には超が付くほどの豪邸が建っていた。
でも…来んな場所あったか..?
「ここが私の家」
「お邪魔したら迷惑になりそうなんだが…」
「別にいいよ、家族はいない。」
「え?」
「みんな仕事で家には私1人。でもメイドさんが居るから大丈夫。」
「メイドって…マジかよ…」
想像をはるかに超えた話の内容で頭の中が小学4年生まで巻き戻ったかのようだった。
「広いから離れないで。」
「あぁ、すまん。」
「ここで休めるから。自由にしてって。」
「ありがと。」
俺の友達全員ここに来させればよかったー!!
と後悔している途中。
なんで全員帰らせたんだ俺は。
でも俺独り占めしてるからいいか。
「こんな家に住んでるって一体親何してる人なんだよ??」
「知らない。何も教えてくれない。」
「あー…なるほどね…」
部屋にある大きなアナログ時計が
チク…タク…チク…タク
と1秒を刻む音を感じられる。
それほど静かで、気まずい。
そんな俺の心の表れか、雨がザーザー降ってきた。
「うわ…結構降ってきたな…、そろそろ帰ってもいいか?雨だけど走って帰るわ。」
「うん。」
「じゃ…また..学校..でな。」
「うん。」
入口の大きな扉を開けて雨に打たれる庭を見ていると
入口の扉の開く音がした…
その場で倒れ…頭だけ雨に打たれた…