テラーノベル
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それからというもの、グループ仕事の時間が、俺にとってなんとも居心地の悪いものになっていった。佐久間なんか明らかに俺を避けてるし…。どれだけ共感性が高いんだよ。
一方の阿部ちゃんは、努めて明るく、何事もなかったように健気に俺に接しようとしてくれていて、これはこれで胸が痛んだ。
そして他メンバーはこのことに一切触れようとしない…。そのわかりやすい態度こそがやりづらいわ!!!と頭を掻きむしりたくなるような状況がしばらく続いている。
そんなある日。
トイレから戻って来るときに、明らかに待ち伏せをしていた阿部ちゃんに捕まった。
どうしよう…気まずい。
💚「翔太。俺にチャンスをくれない?」
💙「ち、ちゃんす…?」
💚「うん。俺とデートしてほしい。それでもダメならきっぱり諦めるから…」
阿部ちゃんは夢中になってて気づいてないみたいだけど、今、俺、壁ドンされてる。
阿部ちゃんの真剣な目が俺を見つめている。あの真面目な阿部ちゃんに口説かれているという事実が、否応なしに俺の胸をドキドキさせていた。
いやいやいや…どうしたよ、俺?
しっかりしろ。
OKするまで解放してくれそうになかったのと、ほんの少しだけ阿部ちゃんとのデートに興味が湧いて、俺は言った。
💙「い、一度だけなら…」
こうして、俺たちの初デートが決まった。
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