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こちらは今年も裏山に竜胆があちらこちらで咲いて散歩の楽しい季節になってきています。
しばらく会えていないけど元気にしていますか。
大学進学おめでとう、どんな些細なことでも吸収して自分の知識にできるmfのことだから
大学でも人一倍学んで充実した日々を過ごせると信じています。
そうそう、入学祝いをお父さんに渡しています。mfの使いたいように使ってもらって構いません。
お父さんから伝わっていると思いますが、病気が見つかったので入院になりしばらくこちらへ帰ってこれません。
そこでmfにお願いがあるのです。それはある小さな友達のことです。
最近私には山から来る可愛らしい友達ができたのでmfにも紹介したいのですがこちらに来る予定はありますか?
素直な良い子なのですが見た目の珍しさや美しさから、悪い人間に狙われているようです。
うちの山へ無断で罠が仕掛けられることは以前からあったのですが、最近は特に酷く、見つけ次第解体はしているのですがなかなか追いついていません。
賢いmfになら何か良いアイデアが浮かぶのではないかと思い筆をとりました。
一度こちらに来てその友達に会ってほしいと思っています。
突然のお願いで申し訳ないですが、何となくmfとその子は仲良くなれそうな気がしています。
どうか私の友達を一緒に守ってください。
短い手紙を読み終えた後、すぐに浮かんだのはdnの顔だった。
『アルビノで赤と青のオッドアイの珍しい姿…どう考えてもdnのことだろ。dnやばい奴に狙われてんのか…』
そういえば俺たちが初めて出会ったのもdnが罠にかかっていたことがきっかけだった。犯人はどこかでdnを見つけて自分のものにしようとした?無断で人の山に罠を仕掛けて、しかも最近はその件数が増えているという。犯人の本気が窺い知れるようで汗がじっとりと滲んできた。嫌な気分のまま封筒を机に置くとコトっと封筒の中の何かが当たった音がする。不思議に思い封筒をひっくり返すと小さなカギが出てきて首をひねった。
「なんだこれ、鍵?」
「ん?…あぁ、それ離れの倉庫の鍵じゃないかな。おじいちゃんが使ってたの見たことあるよ」
「そうなんだ…ちょっと見てきていい?」
「ああ、気をつけてな」
父さんに許可をとり気持ち早足で倉庫に向かう。じいちゃんは一体俺に何を見せようとしているのだろう?
離れにある倉庫の扉には南京錠がかかっていたけど先ほどの鍵であっさりと開錠できた。重い扉をこじ開けて中を確認したが暗くてよく見えないから俺は扉を全開にしスマホのライトで中を見回した。埃が光に反射してきらきらしている。俺は恐る恐る倉庫に足を踏み入れてあちこちにライトを当てた。しばらくそうしていると奥の角にギラリと強く光を反射するものを見つけたのでゆっくりと近づく。
「な、んだこれ…」
それは夥しい量の解体された害獣用の罠だった。
コメント
2件
手紙から伝わるおじいちゃんの優しさと聡明さ…ずっと守ってくれてたんですね、感謝しかない…! そして、この後は果物デートかと思いきや、何やら不穏な気配が…!! 続きを楽しみにしてます!