テラーノベル
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第二王子のクライヴ様の登場に合わせて近衛兵たちが王妃、第一王子のバナードを捕縛して退出させる。また父と継母と義妹も同じく退場を促されていた。
そんな中、ポツンと残る私への視線は凄まじい。
「国王陛下。アルドリッジ伯爵家には、特別な何かがあるのでしょうか?」
そこで第二王子のクライヴ様が挨拶を済ませた後、周囲に聞こえるように尋ねた。これも予定調和だったのか、国王陛下はパーティー会場を見渡して重々しく口を開いた。
「ふむ。王家に代々伝わる古文書が数年前の大火災によって燃えてしまったため、余も詳細は不明だが、四大貴族よりもアルドリッジ家の血筋を絶やすこと、貶めること、この地を離れるような蛮行を禁じると書かれていた」
(え……?)
「そして何代にも渡って王家を守護し、よき道に導いたともある。建国より様々な大恩をアルドリッジ家から受けているとも。今、隣国のサナティオ聖王国に原本の写しを届けて貰うように依頼をかけている。ディアンナ嬢が知らないのは、当主のみ知ることができる類いのものだからだ。故に彼女が知るのは成人の儀式の時」
(正式な爵位によって……アルドリッジ家の秘密が……分かるのね)
その言葉にグッと拳に力が入る。
「おそらくだが余も先代アルドリッジ当主、そしてディアンナ嬢を見ていると、《神々の加護》を強く持っている可能性が高いことが分かった。これはサナティオ聖王国の神官たちの調査によって齎されたものだ。神獣とは異なる祝福を持ち、能力を持つ者を厚く遇するのは、この国の未来のためでもある。それもあり此度の一件に聖王国側も協力的かつ、今後も友好的を示すため、神獣の世話係として数名の神官を派遣して貰うことが決定した」
(神官を!? それじゃあ……!)
その時、会場の扉がもう一度開き、白と紫の聖職衣に身を包んだ神官二人が入ってきた。神官はベールで顔を隠しているので年齢は分からないが、どちらも男性のようだ。そしてその後からアルフレッド様が正装姿で現れたのだ。
(アルフレッド様!?)
ゆっくりと歩きながらも、アルフレッド様は私の隣に並んでくれた。こそっと「遅くなってごめん」と囁く声が聞こえたが、駆けつけてくれたことが嬉しくてしょうがなかった。もし許されるのなら、このまま彼の胸に飛び込みたいほど、自分の体温が上昇するのを感じた。
「(噂が流れる中でアルフレッド様と陛下だけは味方でいてくださった。この方が国王で本当に良かった)陛下、身に余るお言葉、大変有難く存じます」
陛下の言葉に感動し、胸が温かくなる。
その後、挨拶はつつがなく終わり、パーティー会場に曲が流れ始めたことで雰囲気もがらりと変わった。
私とアルフレッド様は日和見主義だった貴族や、あからさまにご機嫌取りとして近づいてくる人たちに囲まれそうになる。
「アルフレッド様」
「──っ、ああ」
耳元で名前を呼んだだけなのに、なぜかアルフレッド様の頬が赤い。急いできたからだろうか。
たださすがは幼馴染みであり婚約者様だ。私の考えていることを察知して、私をダンスに誘ってくださった。実にスマートで、周囲に断りを入れてダンス会場へ足を運ぶ。タイミング良く曲が終わったところだ。
アルフレッド様とダンスをするのがなんだか久しぶりな気がして、凄くドキドキする。お互いに一礼をして、アルフレッド様に身を任せる。足さばきも、テンポもリードしてくれるので私はそれに身を委ねる。
(ああ、アルフレッド様とまたこんな風に踊れるなんて……!)
今まで周囲の刺すような視線や、噂話を耳にする度に心が折れそうになった。それでも今日ここの日まで耐えて良かったと、心から思えた。
「ディアンナ、心細い思いをさせてごめん。でも、これからはディアンナとの時間も今までのように確保する」
「うん」
「だから、婚約破棄は絶対にしないでほしい」
冗談っぽい口調ではなく、凄く真剣に私の顔を、瞳を見てアルフレッド様は口にする。好きな人にこんなにも情熱的に告白されたら、頷かない人はいないのではないだろうか。
そう思うほど、グッときた。
「もちろんです。婚約破棄は絶対にしません」
「よかった」
ホッとしたのかアルフレッド様は覆い被さるように私を抱きしめて、そのまま抱き上げてクルクルと回った。さすがは騎士様。
ドレスがふわりとして、その所作も美しく見えるように音楽に合わせて踊る。
その後は三曲も一緒に踊って、この時間を満喫した。
夢のような時間。そしてデミアラ王国で私たちが一緒に踊ったのは、これが最後となる。
この時、悪意と殺意が注がれていることに気付けなかった。
後日、国王陛下から王城に招待され、お茶会に参加することに。もし敵の目的に気付いていたら何かが違っていただろうか。
それとも、もう手遅れだったのだろうか。
コメント
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みぅです🤍🥀 第6話、読み終わりました…! アルフレッド様が駆けつけて、二人でダンスをするシーン、すごく胸が熱くなりました。周りの目に耐えてきたディアンナにとって、ようやく報われた瞬間ですよね。「遅くなってごめん」の囁きだけで泣きそうになります。でも最後の「悪意と殺意」の一文が怖すぎる…。この幸せが長く続かない予感がゾッとします。続きが気になって仕方ないです!