バイト終わり。いつもの照の部屋。
「よし、今日は俺が勝つ!」
「言っとくけど、昨日も俺の圧勝だったけど?」
「うるさい、今日は本気出すから」
あの大雨の日から、しばらく経つが俺たちの関係はあまり変わっていなかった。
唯一変わったことといえば、
「……照?」
「ん……あ、ごめん」
「おい、真剣にやれよ」
「……いや、翔太の横顔見てた」
不意打ちに翔太の心臓が跳ねる。
「な、なにそれ」
「……ちょっと、したい」
気づけばコントローラーが床に転がり、二人の距離が近づいて。
唇が触れる。
「……」
「……」
数秒後、離れると翔太は耳まで真っ赤にして笑う。
もう今までに何度もキスを交わしていた。
ふと、翔太が息を整えながら言う。
「なぁ……俺ら、もういい加減友達じゃないよな」
「……そうだな」
照はしばらく黙ったまま、何かを決意したように翔太の手を握った。
「翔太……俺、ずっと言いたかった」
「……ん?」
真剣な瞳で見つめながら、照は言葉を吐き出す。
「俺は翔太が好きだ。これからも隣にいたい。俺が守るし、絶対大切にする。だから……翔太は、俺に……大切にされてください」
静かな部屋に、その真っ直ぐな声が響いた。
翔太は一瞬固まって、それから耳まで赤くなる。
「……それ……プロポーズ?」
「ち、違う!告白だよ!」
「“守る”とか“俺に大切にされて”とか、俺初めて言われた…」
「でも!」
笑いながらも、翔太の胸の奥は熱くて仕方がなかった。
「…嬉しい。照にそう言ってもらえるの、すげぇ嬉しい」
「……じゃあ」
「うん、俺も好き。大好き。だから、守られるのも、大切にされるのも、全部俺だけね?」
首を傾げながら少し上目遣いに顔を覗き込む翔太はかわいくて綺麗で、心臓がギュッとなった。
ふたりはどちらからともなく抱きしめ合い小さく笑った。
「ありがとう、照。これからもよろしく」
「翔太!!大好き!!」
その夜、友達以上恋人未満の関係はやっと終わり、二人はお互いの想いを確かめ合った。
まるでプロポーズのような、真剣で不器用で、でも最高に幸せな告白で。
コメント
6件
読んでいただきありがとうございます。ついつい爛れた関係にしてしまう癖を押し込めて、書きました。
大切にされてください好きすぎるわ💛💙
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