テラーノベル
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第9話
―侑視点―
小さい頃の記憶はホント最悪だった。
俺は物心着いた時から両親に虐待されていた。
虐待されてた理由?そんなもん知らんわ
俺が邪魔だったのか。ただのストレス発散か。
それか俺の愛し方がわからなかったんやないか?
当たり前のように殴られて蹴られ苦しめられた。
包丁で刺されたり切られたり、たばこを押しつけたりすることもあった。
腕にはいまだ両親に何回も包丁で切りつけられたあとが痛々しく残っている。
殴るとき、いつも理不尽な理由だった。
泣けばうるさい目障りだと
笑えば気持ち悪い笑うなと
何もしなければ親孝行できないのかと
俺の両親はそんな人だった。
俺はとにかく両親を怒らせないように必死だった。
怒らさせたときの虐待はホント酷い。
たとえ気を失ったとしても腹を蹴って無理矢理起こさせまたぶん殴る。
両親の気が済むまで永遠に続く。
だから、怒らせたくなかった。
殴られても泣かないようにして
両親の前では笑わないようにして
言うことは何でも聞くようにした
俺は両親の傀儡に過ぎなかった。
いつしか泣き方も笑い方も忘れた。
喜びも悲しみもなくなっていた。
覚えていたのは人を怒らせないようにする事と何でも我慢すればいいという事だけ。
おかげで学校でも俺は1人だった。
俺の居場所はどこにもなかった。
虐待は中学まで続いた。
俺はいつものように殴られてた。
抵抗することもなく自身の身を守ることもなく、ただただされるがままに殴られていた。
いっそのこと殺して欲しかったからだ。
中途半端で終わらず、俺が動かなくなるまで殴り続け殺して欲しかった。
そうすれば全て終わるかと思った。
楽になれるかと思った。
でもそうなることもなく、殴り終わると俺はクローゼットに閉じ込められた。
視界にいるだけでも不快だと言われた。
クローゼットから出たらまた殴られる。
そう思い、俺は両親がクローゼットを開けるまで静かにじっと待っていた。
しばらくするとなんだか外が騒がしくなっていた。
「誰だお前!!」「何しに来た!!」
父親がそう言っていた。
すると次の間、父親の悲鳴が聞こえた。
でも、父親の悲鳴はすぐに消えた。
次に母親の声が聞こえた。
「いや!!やめて!!」「殺さないで!!」
助けを呼ぶ声だった。
数分間、母親の悲鳴が部屋に響いていた。
けど、声はだんだんと弱くなり消えていた。
母親の悲鳴が聞こえなくなるまで俺はクローゼットの隅にいた。
何が起きてるかわからず、とりあえずことがおさまるまで身を縮めて隠れていようと思った。
けど、外で何が起きてるか気になる。
少しだけと思い、俺は扉の隙間から部屋の様子を覗いた。
覗いた先には人が立っていた。
母親でも父親でもなかった。
知らない少年だった。多分、俺と同じくらい。
彼は全身血まみれだった。
手にはナイフを持ち真っ赤に染まっていた。
彼の視線は下を向いていた。
俺は彼の視線の先を見ると母親の死体があった。
その奥には父親の死体もある。
彼はその死体を喰っていた。
むしゃむしゃ。ぐちゃぐちゃ。
部屋に不快な音が響き渡った。
俺はずっとそんな光景を見ていた。
俺を苦しめてきた奴らが彼によって壊されていく。
俺を縛り続けた奴らがいなくなっていく。
嬉しかった。
やっと悪夢から解放される。
もう我慢しなくてもいいんだ。
何もかも全部彼のおかげだ。
彼のおかげで俺は救われた。
その瞬間、彼は俺にとってヒーローとなった。
それと同時に俺は彼に恋してしまった。
彼は両親の一部を喰い残し去っていった。
その後は警察が来たり事情聴取だったり色々と面倒だった。
けど、俺は彼のことで頭がいっぱいだ。
彼は一体何者なんだろう。
名前なんていうんだろう。
何で人間なんか喰べていたんだろう。
彼について知りたい。
彼にもう一度会いたい。
彼に会ってありがとうと伝えたい。
そして、この気持ちを伝えたい。
そんなことで頭がいっぱいだった。
俺はすぐに彼について調べた。
何年かかってもいい。
彼に会えればなんでもいいんだ。
寝る間も惜しんで彼について調べた。
調べている中、俺は一人の男に出会った。
その男は彼と同じく人を喰っていた。
男を見つけた瞬間、俺は彼の仲間だと思い嬉しくなった。
男はすぐ俺を殺そうとしたが、あまりにも俺が怖がらないためつまらなくなったのか殺すのをやめた。
俺はすぐに男に彼のことを聞いた。
そこで鬼人の存在を知った。
やっと彼のことを聞けた。
彼について初めて聞けた。
それだけでも俺は嬉しかった。
もっと、もっと彼について知りたい。
その後も鬼人について知りたいことがあれば男のもとに行き色々聞いていた。
彼についてひとつでも多く知りたかったから。
そして、調べているうちにもう一つ知ったことがあった。
彼についてではなく、俺について。
それは俺が鬼人の子だったことだ。
鬼人の子と言っても俺は普通の人間だし、両親も人間だ。
鬼人から生まれる子は絶対に鬼人だ。
だったら何故俺は鬼人の子だったのか。
そんな理に反するものがひとつだけあった。
生まれた鬼人が双子だった場合、 一人は鬼人として生まれ、そしてもう一人は人間として生まれる。
俺はその片割れ。
これが真実だった。
どうやら俺の両親は本当の両親ではなかったようだ。
だから、虐待をしていたのかもな。
本当の子でもなく、ましてや鬼の子なんだから。
この事は両親の遺品を整理していたときに出てきた書物でわかった。
俺の両親の一族は昔から鬼人の配下だったらしい。
配下は鬼人に肉を提供したり後始末を手伝う。
それが仕事だ。
そしてそんな仕事のうちの一つ。
人間で生まれた双子を育てること。
そして、鬼人として生まれた双子に一切近づけてはならない。
「鬼人の双子は一緒にいてはいけない」
鬼人にはそういう掟がある。
そうする理由もちゃんとある。
双子が生まれた場合、鬼人として生まれた子が人間として生まれた子の匂いを嗅いでしまうと衝動的にその子を喰いたくなってしまうのだ。
他にも一度匂いを嗅ぐとその片割れ以外の人間は全員まずく感じてしまうらしい。
中には何も喰べられなくなり死んでしまう鬼人もいる。
成長するにつれその匂いは濃くなっていく。
だから成長前の赤子のうちに双子は引き離される。
双子を引き離さなければ、人間の子は喰われ鬼人の子は何も喰えなくなり死に至る。
そう書いてあった。
となると俺には双子の兄弟がいることになる。
資料にはその片割れの名前が書いてあった。
「治」
それが俺の片割れの名前だった。
兄弟が誰なのかはわからないがもしかしたら俺の両親を殺してくれた彼がそうなのかもしれない。
まぁ、そんな都合が良いことはないか。
けど、そうだったら嬉しいな。
年月は過ぎ、高校生になった。
今でも彼には会えなかった。
でもその分俺の愛は日に日に積もっていった。
高校の入学式。
突然の出来事だった。
入学式に彼がいたんだ。両親を喰ったあの少年。
まだ他人の空似かもしれないし確証はなかった。
でも我慢してるわけにもいかない。
俺は急いで彼のクラスと名前を調べた。
彼は同じ学年で名前は、
「治」
それが彼の名は治だった。
片割れの名前と一緒。
その瞬間、俺は喜びに満ち溢れた。
俺の片割れと両親を殺してくれた人は同じ人だったんだ。
ずっと探してた俺の好きな人を見つけたんだ。
俺はすぐ治と仲良くなった。
やっと会えた。会えたんだ。
やっとこの時が来たんだ。
頭が狂いそうなほどこの時を待っていた。
おさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむおさむ
俺の目には治しか映っていなかった。
もし本当に俺の考えが正しかったら治はすぐに俺のことを喰べてくるだろう。
俺に匂いはわからないが、治は匂いに耐えられずに喰べにくるだろうなと思っていた。
けど、いつまで経っても治は俺を喰いには来なかった。
やはり他人のそらにだったのかと思った。
でもあの日の夜。
治は人間を喰っていた。
やはり治は鬼人であっていた。
俺の目は間違っていなかった。
治は俺の片割れであり、愛してる人だったんだ。
ここまでが俺の過去。
俺が恋した人を探す物語だ。
コメント
4件
むふっふへっ最高だぜ
んっふふ侑、治に依存してるのいいな好き‼️‼️‼️え、どうやったらこんな神作が生まれるんですか͡° ͜ ʖ ͡° )今回もすきすぎる!相変わらず早くてめっちゃうれしすぎる笑もーほんと読んでて楽しい🥰 やっぱ双子だよね😎😎てか偽両親(?)ちょっとね追い討ちかけてくるわ👊👊👊依存が好きすぎてほんとに愛してる🫶🫶🫶🫶 見終わったばっかだけど早く続きみたい‼️まってるね🥰︎💕