私はそれでもいい

1タンジー

【世界平和】

なんで大人はみんなこうなのだろう。パパとママの痴話喧嘩は、いつの間にかおかしなことになっていた。毎朝起きると、リビングはしっちゃかめっちゃかになっていて、「あぁ、昨日の夜もか」と思いながら片付ける。もう分かりきっている事実なのに、2人は必死で隠そうとする。5年前、知らないフリをして聞いたことがある。「ねえママ、なんでリビングがこんなになってるの？」母は驚きもせず、優しい顔でこう言った。「昨日の夜ね、パパと一緒に探し物をしてたの。どこにも見当たらなくて、じゃあいっか！ってそのまま寝ただけなの。凪ちゃんは心配しなくて大丈夫だからね。」「何探してたの？」私がこう言うと母は誤魔化して、私の機嫌取りのために必ずお菓子を買ってくれる。本当のことを教えてくれないのが悪いことなのかどうなのか、その時の私には分からず、ただお菓子をもらうことでモヤモヤを晴らした気になっていたのかもしれない。 世界平和について母に話したことがある。もう3年前の話だが。母はこう言った。「誰も傷つかないで、みんなが幸せだって思えるのが世界平和なのよ。」その時私はどんな顔をしていたのかずっと思い出せない。人間には好き嫌いがあってどちらもないと人類は滅びる。そんなことをどこかの学者が言っていた気がする。みんながみんな幸せなんてありえない。不可能だ。でも、みんなが幸せになれる方法が、私には一つ思い浮かぶ。悪者も偽善者も口だけの奴もみんなみんなあぶりだせる方法を。パパとママは置いといて、大人は嫌いだ。だから私は世界平和を始めた。