【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
小児科医青×天才外科医桃
麻酔科医赤さん
小児科の看護師水さん
水視点→青視点
「うっわすご…!」
多少の渋滞に巻き込まれながらも何とか辿り着いた旅館は、東京から少し離れてはいるけれど関東圏内の有名な温泉町にあった。
車を停めて目の前にしたその建物は、テレビやインターネットでしかなかなか見ることがないような佇まいだ。
…さすが天才外科医と小児科医。稼いでるだけある。
「新しくできたカジュアルなイタリアンレストラン行こう!」なんてうきうきしていた自分たちとは大違いの贅沢さだ。
そう言ったらいふくんは「…ほんまに高校生みたいやな、お前ら」と意味の分からない言葉を吐いて苦笑いを浮かべていた。
中に入ると、和モダンな内装が上品なロビー。
これまた品の良いスタッフがフロントにいて、場違いな気がして少し身を縮めてしまう。
これも大人ないふくんとないちゃんなら、チェックインする何気ないことすら様になるんだろうななんて思う。
いふくんたちが予約していたのは、その高級旅館の中でも少し離れに位置する一室だった。
2人で泊まるには広すぎる部屋。
客室露天風呂なんてものもしっかりとついていて、ドラマでしか見たことがないような豪華さに、我を忘れて子どものようにはしゃいでしまった。
食事は先に温泉を楽しんでからでも用意できると提案され、そのありがたい申し出を恐縮しながら受ける。
迷わず大浴場へ行く準備をし始めた僕を、いふくんは籐製の椅子に座ったまま不思議そうに見上げた。
「なに、そこの風呂入れへんの?」
室内からもガラス越しに見える、この部屋だけのための露天風呂を顎で指し示す。
それを目線で追ってから、「いやいやいや」とわざとらしく手を振って返した。
「さすがにそこまでは悪いじゃん? いふくんがないちゃんと一緒に入りたかったお風呂だもんね。さすがにねぇ?」
冗談めかして言ったけれど、割と本音だ。
ノリで無理矢理ついてきてしまったけれど、さすがにないちゃんを差し置いて全力で楽しむのは気が引ける。
食事は処分するのがもったいないからありがたくいただくとしても、室内の露天風呂は…ねぇ。
「……俺も行こ」
何を思ったのか、しばらく考えこんでいるように見えたけれど、いふくんはそう言って椅子から立ち上がった。
僕と同じように大浴場へ行く準備を始めるものだから、「え」と思わず目を見開く。
「いふくんはそこのお風呂入ればいいじゃん。一人でゆっくりと」
なんて言いはしたけれど、いふくんこそないちゃんと楽しもうと思っていた露天風呂に、1人で入ろうなんて気にはなれないのかもしれない。
「うるせ」なんて言ってべーっと舌を出したいふくんと並んで、部屋を出る。
別にいいけど、大浴場行ったってどうせいふくんて烏の行水じゃんね。
…という言葉だけは、飲み込んでおいた。
大浴場の檜風呂は風情あるだけでなく香りもいい。
リラックス効果もあるのか、湯に浸かっているだけでここ最近の疲れがじわじわと消え去っていく気がした。
風呂上りに部屋に用意された食事も、豪華で美味い。
いつもはそれほど飲まない日本酒も今日ばかりは進んでしまった。
だけど時折、「あぁこの刺身ないこに食わせたかったな」なんて思う。
食べることが大好きなないこが、旅館の料理に舌鼓を打つ姿は想像に難くない。
きっと満面の笑みで目をぎゅっと瞑り、「んまいー」なんて声を弾ませたことだろう。
「いふくん、これめっちゃおいしいね!」
それでも、今目の前にいるほとけが嬉しそうに食べるのが幾分か救いだった。
一人でこの2人分を食べてしまおうという当初の考えは、さすがに無理だし何より侘しかっただろうと思う。
「はいはい、良かったな」と苦笑いを浮かべて、俺は日本酒をぐいと呷った。
食事を終えてしばらくはくだらない話を交わして過ごしていたけれど、酒も入っていたせいか互いに早々に眠くなってしまった。
浴衣のまま、和室に並んだ布団にそれぞれ潜り込む。
「いふくん寝相悪いからなー。こっち来ないでね」なんてぶつぶつ言うものだから、「言うとくけどお前も寝相悪いからな」と応じてふんと鼻を鳴らした。
それから意識を手離すまではあっという間だった。
照明を落とした暗い部屋の中、きっとほとけよりも先に眠りに落ちてしまったと思う。
「…ん…?」
夜中、ふと目が覚めた瞬間があった。
何か物音がした気がしたけれど脳は覚醒しきらず、確認することもなく再び目を閉じる。
きっとほとけがトイレにでも起きたんだろう。
どうせすぐに戻ってくると思って再びうとうとし始めた時、予想通りあいつが戻ってくる気配がした。
そのまま隣の布団に入り、また並んで眠るだけ。
そう思っていたのに、自分の体にかけてある布団がめくられるのを感じた。そして中に入ってくる。
…寝ぼけたままトイレに行ったのか?
そして戻ってきた今も盛大に寝ぼけてるのか?
ちっと舌打ちをしようとした時、背中を向けていた俺にぴとりと体を寄せてくる。
ぎゅっとそのまま抱き着いてくるものだから、「ほとけ、お前なぁ…!」と声を上げてバッと後ろを振り返った。
「……」
振り向いた俺の目に映ったのは、暗い室内でも映えるピンク色。
予想していたような水色ではなかった。
思わず目を見開いて絶句する。
声を失った俺に向けて、ピンクの目が嬉しそうに細められた。
「まろ、お待たせ」
「…ない…」
紡ぎかけたその名は、最後まで口にできなかった。
ただそれよりも先にぶわりと沸いた感情を抑えきれずに、俺は目の前の細い体に手を伸ばしてぎゅっと強く抱きしめた。
(続)
コメント
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はっはっはっ.......😭😭😭‼️‼️‼️ やばい何時見ても好きですやっぱり🥹 良いですよそのまま直近してくる桃さん‼️可愛い‼️😭 お話知ってるからアレですけど協力性あり過ぎて好きです泣きました(u_u)
続き楽しみ!!!!!!!!!!
水さんと青さんの絡みも可愛いです…ご飯を食べながらも桃さんのことを考えているとことかもう堪らないですね…✨✨ そしてまさか布団の中にいるのが桃さんとは…、!!😳⁉️ 抱きしめる時の表現、ノベルなのに想像できます…😣💓