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#宮舘涼太
クリオネ?
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#渡辺翔太
コアラと木の実
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「〇〇、しっかりして」
抱き上げられたまま、病院へ戻る。
目黒蓮の腕の中で、〇〇はぐったりとしていた。
処置室。
明るい光の中、ベッドに寝かされる。
「……足、見せるね」
看護師が優しく声をかける。
〇〇の足が、そっと持ち上げられる。
その瞬間ーー
「……っ」
蓮の呼吸が止まる。
足の裏は、ひどい状態だった。
小さな石で切れた無数の傷。
砂が入り込んで、赤く滲んでいる。
ところどころ皮がめくれて、歩くたびに擦れた跡。
「……なんでこんな……」
かすれた声。
「かなり無理して歩いてますね……」
看護師が静かに言う。
「転んだ跡もあります」
消毒が始まる。
「……っ、」
〇〇の体がびくっと反応する。
「痛いよね、ごめんね」
優しく声をかけながら、傷を洗う。
でもーー
〇〇は、声を出さない。
ただ、少しだけ眉を寄せるだけ。
その様子に、蓮は気づく。
「……痛いよな」
そっと、手を握る。
〇〇の指が、ぴくっと動く。
「……大丈夫」
小さな声。
でも、その手は――
ぎゅっと蓮を握り返した。
「……こわい方が、大きい」
その一言で、胸が締め付けられる。
「……いなくなるの、やだった」
記憶も、名前もないのに。
それでも――
「……探さなきゃって、思った」
涙が、ぽろっと落ちる。
蓮は、何も言えなくなる。
代わりに、手を強く握る。
「……もう大丈夫」
低く、優しく言う。
「ここにいる」
〇〇の呼吸が、少しずつ落ち着いていく。
消毒の痛みよりも、
心の不安の方が、ずっと大きかった。
「……」
〇〇は、ぼんやりと蓮を見る。
そしてーー
「離さないで……」
初めての“お願い”。
蓮の目が揺れる。
「……離さないよ」
迷いなく答える。
そのまま、ずっと手を握る。
処置が終わっても、
部屋に戻っても、
〇〇が眠るまで。
「……っ」
眠りにつく直前。
〇〇の唇が、かすかに動く。
「……れ……」
一瞬だけ。
「……れん……」
ほとんど、聞こえないぐらいの声。
でもーー
確かに、名前だった。
蓮の呼吸が止まる。
「……〇〇?」
でも、返事はない。
〇〇はもう、静かに眠っている。
まるで夢の中で思い出したみたいに。
蓮は、その手を握ったまま。
「……今、言ったよな」
涙が、静かに落ちる。
「ちゃんと……呼んだよな」
答えは返ってこない。
それでもいい。
確かに、届いた。
“消えてなかったもの” が。
静かな病室に、
ふたりの温もりだけが残っていた。
コメント
1件
ああ、もう、これ……胸がぎゅってなった……。「痛いより、こわい方が大きい」ってセリフ、重すぎるよ……。記憶も名前もないのに、それでも「いなくなるのが嫌だった」って思えるの、切ないけどすごく尊い。蓮が「離さない」って言うところ、そして〇〇が“れん”って呼んだ瞬間、こっちも涙出そうになった。傷の描写がリアルで、痛みが伝わってきたけど、それ以上に心のつながりが温かかった。ふたりの距離が確かに縮まった第九話、すごく好きです。