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⚡ 第五章:戦場の覚醒、想像を絶する少女の力(修正版)出立:過保護な二人の不安
曇天の早朝。初めての壁外調査に臨むサクラは、リヴァイ班の一員として隊列に加わっていた。彼女の周りを固めるリヴァイとエルヴィンの表情は、戦闘への決意以上に、サクラへの不安と心配で曇っていた。
「サクラ。いいか、少しでも危険を感じたら、即座に俺の馬の傍へ。決して前に出るな」リヴァイがサクラの馬の側まで寄り、強く念を押す。
「サクラ、君の安全が最優先だ。君の知識は唯一無二だが、戦闘は私たちの仕事だ。君は未来のために生き残らなければならない」エルヴィンもまた、カリスマ的な表情の裏で、過剰なほどサクラを案じていた。
(私は、彼らの『お姫様』じゃないのに…)
サクラは、訓練で力をつけている自覚があったが、二人の重い庇護の言葉に、わずかな苛立ちを覚えていた。
突入:予期せぬ戦場の覚醒
壁外へ出た隊列は、すぐに巨人と遭遇した。
「巨人だ!奇行種が右翼から接近!」
エルヴィンは即座に指示を出す。「隊形を維持しろ!右翼の処理はリヴァイ班!」
リヴァイ班が展開する中、隊列の中央から少し離れた位置に、不気味な笑みを浮かべた大型の奇行種が出現した。
「団長、そちらは危険です!」副官が叫ぶ。
「動くな!私とリヴァイが向かう!」エルヴィンとリヴァイが立体機動装置の展開準備を始めた、その一瞬。
【サクラの覚醒】
彼らの指示を待たず、サクラが動いた。
サクラの150cmの小さな体が、一瞬にして馬の鞍から飛び上がった。立体機動装置のガスが噴射される。その噴射音は、他の兵士のものよりも、異常なほど鋭く、速かった。
「サクラ!戻れ!」リヴァイの叫びが空を切る。
「君は何をしているんだ!」エルヴィンは驚愕に目を見開いた。
しかし、サクラの動きは、彼らの呼びかけを完全に無視した。
サクラの起動は、リヴァイのそれよりも更に低空で、機敏で、予測不能な軌道を描いた。彼女は、大型奇行種の死角である背中へ、地面スレスレの速度で接近した。
サクラの動きには、訓練で培われた技術に加えて、転生前の知識と、まるで体がそれを記憶していたかのような本能的な動きが加わっていた。
彼女のブレードが抜かれる。
――キィン!ザシュッ!
ブレードは、巨人のうなじを驚くほど深く、正確に削ぎ切った。
その切れ味は、まるでリヴァイの流麗さと、常人を超越したスピードを併せ持っているかのようだった。大型奇行種は、一瞬の苦悶の表情すら浮かべることなく、ドサリと崩れ落ちた。
英雄たちの驚愕
その光景を目撃したリヴァイとエルヴィンは、その場に立ち尽くし、完全に言葉を失っていた。
「あれは…なんだ…?」リヴァイの冷徹な表情に、初めて動揺と困惑の色が浮かんだ。
彼は、サクラの訓練中の動きを常にチェックしていた。確かに優秀ではあったが、あれほどまでに**「人類最強」に匹敵する、いや、それを凌駕するかもしれない**凄まじい殺戮のオーラは、一切感じられなかったはずだ。
「リヴァイ…君が見た通りだ」エルヴィンは、馬の上でサクラが戻ってくるのを見つめた。彼の青い瞳は、ただ驚いているというよりも、目の前の現象を理解しようと、極度に集中していた。
サクラが何事もなかったかのように、馬の上に戻ってくる。顔色一つ変えていない。
「兵士長、団長。ごめんなさい。指示を破りました」サクラは謝罪したが、その声には、微塵の恐怖も震えもなかった。
リヴァイはサクラの顔を掴み、強く問い詰めた。
「お前…今の動きはどこで身につけた。なぜ、あんな無謀な真似を…!」
サクラは冷静に答えた。「無謀ではありません。あの奇行種は、次に馬上の兵士を狙う軌道でした。そして、私なら間に合うと確信しました」
その自信に満ちた返答は、リヴァイとエルヴィンがサクラに対して抱いていた「守るべきか弱き少女」というイメージを、一瞬にして打ち砕いた。
エルヴィンは静かに、しかし、抑えきれない興奮を込めて呟いた。
「サクラ…君は、我々の想像を遥かに超えた**『力』**を持っている。それは、転生前の知識とは関係なく…君自身の本能と、才能だ」
彼らは、自分たちが必死に庇護し、大切に守ろうとしていた少女が、実は自分たちをも凌駕するかもしれない、底知れない才能を秘めた存在であったことを悟った。
その時、二人のサクラに対する感情は、「溺愛」から、「畏怖」と「戦略的興奮」へと、大きく変貌した。彼らの庇護の膜は剥がされ、サクラは真の意味で、この戦場の**『英雄』**として、二人の前に立ち上がったのだった。