お腹すいた
結局、この子は何者なのか。神とか言っているけど、神とは何なのか。何故腕が透けているのか。
おんりーの前に座って、腕の透けている部分を触る。感触はあった。
『んん…』
と声を漏らしながらが覚めるおんりー。そして
『どうかした…?』
と寝ぼけた小さな声で訊いてくる。
〈いや、どうしたも何も…この腕って…〉
ハッとしたおんりーは腕を隠す。消え入りそうな声で
『…今、腕…見た?』
と訊かれる。こちらを見つめる瞳は、震えていた。
〈…ごめん〉
小さな声で謝ると、泣きそうな顔をしてこちら側を見つめてくる。
『…おらふっ…くん…おれっ…きえちゃうのかなぁ…』
〈なんでそんな事言うん…絶対、おんりーは消えない…いや、離さない‼︎〉
『ありがとっ…』
ーーーーーー
自分の腕が透けていることに気がついたのは1年前。昔は少し透けているだけだったが、今では手首辺りから肘辺りまで透けている。
一年前のあの日は、満月だった。そして、夢を見たんだ。
「君は…満月の日に産まれ、満月の日に朽ちるんだよ。」
優しい顔で、でも悲しそうに、寂しそうに、ドズルさんに言われた。
満月。今年は、中秋の名月なら9月18日11時34分だ。だから、きっとこの時間に消えるんだろうな。
ーーーーーー
スマホを見ると、日付は8月27日。あと22日で、消えるかもしれないのだ。
〈おんりー…〉
思わずギュッと抱く。
〈絶対離さないから。〉
『…うん!』
目に涙を溜めながら、君は笑ってくれた。この笑顔を、守りたい。
コメント
1件
わぁ、僕の誕生日のすぐ前だぁ おんりーさんが消えるのが誕生日プレゼントなのはいやだなぁ〜