街中を歩く。それだけなのに、毎回緊張してしまうのは何故だろうか。
都会ではすぐ変な奴に絡まれる。
周りに気をつけながら歩くことが鍵となる。
[ちょっと君いいかな?]
振り返ると、警察がいる。冷や汗が背中を伝う。
[こういうものなんだけど、君、身分証とかある?]
〈ない…です。〉
[家はどこ?]
〈…ぁ…〉
困り果てて立ち尽くす。どんどん怪訝な表情になっていく警察官に慌てる。
『おらふくん!』
見覚えのある声と共に、腕を引っ張られ、大急ぎで走っていく。
〈おんりー⁉︎〉
『よかった…ちょうど買い物帰りで見つけられてよかったよ…』
袋の取っ手がつけられたポリ袋をこちらに見せてくる。
最近ではどうにも雨ばかりで星空が見られない。
そんな日ばかり続き、おんりーが消えるかもしれない日が刻一刻と近づいてくる。
残り10日。一体、どうすればこの子を救えるのか。
インターホンがなり、自分でドアスコープを覗く。
そこには、警察官が立っている。息が止まりそうになりながらも後退りする。
ガチャ、という音と共にドアが開く。そうだ、鍵、かけていない。
そう思った頃には遅く、もう警察は入ってきた。
[…君、雪宮蒼くんかな?]
おんりーが奥から出てきた。
ただ何処か様子がおかしく、息が詰まるような音と共に、君は倒れた。
ーーーーーー
五月蝿いサイレンを聴きながら君の手を握る。
[…何か最近で体調が優れないような事はありましたか?]
〈特には何も…〉
[…まぁ、貴方もじきに家に戻らないとですよ]
おんりー。君は、本当に消えてしまうの?
[…にしても、凄い雨だなぁ]
激しく打ち付けるような雨が降り続けている。
『…母さん…ごめん…救え…なくて…』
何かにうなされている。自分もうとうとしてしまう。
ーーーーーー
おんりーの記憶。父親と母親は離婚した。父親は、 暴力を振るってきた。
母親は、倒れて入院した。星空を見つめながら、母親の手を握る事しかできない自分に絶望を感じる。
医者に見守られて、安らかに眠る母。
ピー ーーーーーーーーーーー…
心拍数が途切れる。生きていることを示し、刻んでいた心臓は止まってしまった。
『母さん……ごめんっ…俺っ…母さんの事、救えなくてっ…』
泣きながら手をにぎっている君が見える。星空は、東京なのに 輝いていた。
ーーーーーー
大雨が降る音と救急車のサイレンが絶え間なく聴こえる。
投稿頻度終わってて申し訳ない()
コメント
1件
なんでかはわからないけど涙出てくる...