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???「雨花〜一緒に帰りましょ〜」???「うん!良いよ〜」
ここは、『トウヒガ学園』の教室。「雨花」は「桃時」に誘われ、一緒に帰るところ。
雨花「今日も今日とてサボりまくっちゃった〜なははは!」
桃時「ホントなんでこいつ進級できるんだろう」
雨花、桃時は通学路を歩く。
雨花「今日は何の教科だったの?」
桃時「あんたそれすら知らなかったの!?」
雨花「あははは!前にも言ったかもだけど、学校には真面目に行くつもりないからね〜」
桃時「あんたって奴は……今日は……」
バタン
桃時「ん?今何か音が……って!」
雨花「…………」
音の正体は……
桃時「お、女の子が雨花に抱きついてる……」
雨花「どうしたの?」
「…………」
女の子はひたすら雨花にしがみついている。
雨花「(まるで何かを恐れて必死に逃れようとしているような……)」
桃時「向こうから誰か来るわよ」
桃時のみる方向には、走っている男性が目に入った。
「あっ、いたいた!ようやく見つけた!ほら、早く帰るよ!」
「……嫌だ」
桃時「あの人、あなたのお父さん?」
「……うん」
雨花「…………」
女の子は明らかに男性を恐がっているようにみえる。
「毎日暴言吐いてくるの。すごく……恐いの」
「そ、そんなことしてないだろ?お姉さんたちを困らせるんじゃない。早く帰るよ」
「嫌だ……!嫌だ」
女の子はますます雨花にしがみつく。
桃時「あの、嫌がってますけど?」
「だから、それはあの子が勝手に言ってることで、暴言なんてそんな大したもの吐いてませんよ」
桃時「でも……」
「とにかく娘を返して下さい」
そして、男性が女の子に近づく瞬間、
「……お姉ちゃん?」
雨花「…………」
「何してるんです?」
雨花が女の子を男性から離したのだ。
雨花「さっきあなた「暴言なんてそんな大したもの吐いてませんよ」と言いましたよね?本当に暴言を吐いていないなら「暴言なんて吐いていませんよ」と言うはずです。でもあなたは「大したもの」という言葉を使った。つまり、何かしら言葉を口にしたということになります。その言葉がお子さんを傷つけたんじゃないんですか?」
「そんなの言いがかりです!たまたまそういう言い方をしてしまっただけです!僕は何もしてません!」
雨花「あなたが何もしてなくても、お子さんがこんなに恐がっていることには何か理由があるはずです。父親なら自分の子供が恐がっている様子に気づくべきなんじゃないですか?なのにあなたは気づいていない。あなたがちゃんとお子さんをみていなかった何よりの証拠です」
「お姉ちゃん……」
「……クソっ!勝手にしろ!」
男性は離れようとする。……女の子を置いて。
桃時「ちょっと……!!!!」
雨花「桃時ちゃん、この子お願い」
桃時「え、雨花あんた何する気?」
雨花「あなた、お母さん好き?」
「うん。好き」
雨花「分かった」
雨花は、父親に近づく、
「何だ!?まだ何か言いがかりを……」
雨花「あなた、ここまで無責任にお子さんを放棄する特権でも持ってるんですか?」
「は、はぁ?」
雨花「「勝手にしろ」と言われたら子供はどこに向かって歩けば良いんですか?そんな風に突き放されたら自分の進みたい道に進めなくなってしまうんですよ?それに「勝手にしろ」とおっしゃいますが、本当に勝手にさせてくれるんですか?本当にこちら側の意見通りにさせてくれるんですか?違いますよね?自分の思い通りにならないから腹が立って言ってしまった一時的なものですよね?無責任にすぎますよ。本当に。」
「うるせぇな。赤の他人がでしゃっばってんじゃねぇ!!」
雨花「そんなの家族も一緒です。家族なんて血が繋がってるだけの赤の他人です。だからこそお互いに自分たちの気持ちを知ろうとしなくちゃいけないんです。理解することは決してできませんが、知ろうとし続けることはできるはずです。あなたはそれをしなくちゃいけない」
「あんたみたいな子供に説教する権利があんのか?あぁ?」
雨花「その子供に説教されてるのはどちらですか?」
「おい、あんまり調子に乗ってんなよ?」
雨花「……あなたには何を言っても意味がないようですね。奥さんはいらっしゃいますか?」
「それがなんだよ」
雨花「奥さんに事情をお話すべきだと想いますので、連絡先を教えて下さい。もちろん、あなたの連絡先も」
「あぁ?……ちっ」
男性は、連絡先を教えると去っていってしまった。
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雨花「ただいま〜」
桃時「おかえり〜」
「大丈夫?」
雨花「うん!全然平気!」
桃時「どういうことになったの?」
雨花「あの人から奥さんとあの人の連絡先を貰ったから、連絡してみようと想う。でも、少なくとも今日は家に返す訳にはいかないから……桃時ちゃん?」
雨花は手を合わせて上目遣いで桃時をみつめる。
桃時「…………はぁ。まぁ仕方ないわね」
雨花「やったぁ!」
「どういうこと?」
雨花「この可愛い桃時ちゃんの……」
「「お家に泊まるってこと!」」
「え」
「「えぇぇぇぇ!?」」
「良いの?」
桃時「良くなかったら承諾するわけないでしょ?」
雨花「やった!やった!」
桃時「言っとくけど、あんたにも泊まってもらうわよ?」
雨花「うん!分かった!」
「お姉ちゃんたち……」
雨花・桃時「ん?」
「「ありがとう」」
桃時「別に良いわよ」
雨花「気にしないで〜!」
「えへへ!うん!」
こうして、雨花と女の子は桃時の家に泊まることになった。
【続く】