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ピリリリリ…アラームの音が部屋に響く。「ん…」僕は目をこすりながら起きる。「うっ…寒っ…」僕は手早く制服を着ると朝食をサッと食べて家を出る。電車に乗るとかなり混んでいた。つり革につかまりながら本を読んでいると不意に電車がブレーキをかける。「きゃっ…」後ろの人が背中にもたれかかる。僕は「大丈夫?」と聞く。よく見ると彼女は白杖を持っていた。おそらく目が見えないのだろう。「ご…ごめんなさい急にもたれかかってしまって…」何やらとてもオドオド話す彼女、今気付いたが、どうやら同じ学校の人らしい。学年も同じ、でもこんな子いたかな?ちょっとした疑問を持ってしばらく電車にゆられていると学校の近くの駅に着く。その時背中をトントンとつっつかれた。後ろを見るとさっきの子がいた。「どうしたの?」僕は聞く。すると彼女はまたオドオドしながら「あ…あの…よかったらいっ…一緒に学校行ってく…くれませんか…?」と言った。僕は「え…?あ~いいよ?全然」と応える。すると彼女の顔が少し明るくなる。「じ…じゃあ…行きましょうか…」彼女は白杖で周りを探りながら歩く。だが、とてもフラフラ歩いていてなにか怖い。あまりにも気になるので僕は彼女と腕を組む。「え…!?あっ…そっ…その…」彼女はとても恥ずかしそうに声を震わせた。「嫌だった?」僕が聞くと彼女は首を大きくふる「い…いえ!嫌じゃないです…!あ…あの…ありがとう…ございます…!」彼女はそう言うと腕を組む力を少し強くした。僕はそれに気付いていないフリをして歩く。「そういえば…君名前は?」僕が聞くと彼女はまたオドオドしながら話し始める。「えっと…名前ですか…ひっ…柊 周です…」「柊さんでいいかな?」僕が聞くと柊さんはコクリと頷いた。学校につくまでの間、他愛もない話をしていた。その後、彼女が転校生であり、隣の席ということを知った。しばらくして昼休み、彼女はクラスメイトに囲まれていた。まぁ転校初日だしあたりまえか…と思いつつ頬杖を付き外を見る。夏の日差しがとても眩しかった。その中で少し不思議なものがある。桜だ。この学校の桜は年から年中咲いている。で、そこにはとあるウワサがある。それは桜の木の下で告白すると必ずOKがもらえるよくある話だ。まぁ…よくやる人がいて全てOKされてるからウワサは真実なんだろう。ぼーっとして予鈴を待っていると肩をつつかれた。僕は後ろを見る。柊さんがいた。「どうしたの?」僕は聞く。すると彼女は少し俯いて「あ…あの…よかったらき…教科書読んで教えてくれなかな…?」僕は「いいよ」とだけ答える。授業が始まると僕は柊さんに黒板の字と教科書の内容をなるべくわかりやすく教える。彼女はそれを必死に聞き取り、ノートにその内容を書いていく。「ど…どうかな?ミミズののたくったみたいな字だけど…」確かにあまり読みやすい字ではないけれど字からは彼女の頑張りが見えた。「大丈夫!とってもいい字だよ」と僕は彼女に伝えた。彼女はとてもうれしそうな顔で「あ…ありがとう…!」と答えた。そんな感じで1日が終わった。荷物を持って校門へ行くと何か脅すような声が聞こえた。声のする方へ行ってみると柊さんがクラスメイトの1軍女子に囲まれていた。「ねぇ~柊?お金、借してくんない?」とリーダー格の一人が言う。「えっ…?いや…その…」柊さんはとても混乱してオドオドして壁に追いやられていた。「さっきからボソボソうぜぇんだよ!」一人が柊さんに殴りかかる。「待て!」僕は声を上げて女子たちを静止する。「あ!新海君!」女子たちが僕の方に寄ってくる。「ん?なに?新海君そいつのことかばうの?」女子たちが僕に聞く。「当たり前だ!女の子に手を上げるなんて最低だぞ!」僕は語気を強くして言う。すると女子たちは「チッ」と舌打ちをして帰っていった。僕が帰ろうとすると柊さんが「あ……あの!」と僕を呼び止める。「さっきはありがとう……!」彼女の顔は夕日に染まって真っ赤だった僕はそれを見ると何故か気恥ずかしくなり顔を背ける。「いや、大した事はしてないよ」と言い残し僕らは駅へ向かった。