テラーノベル
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#sxxn
麗華

1,211
243
side:💚
おかあさん
おかあさん……?
まって
ねぇ!
いかないで!!
ひとりにしないで!!!
________!
______ん!
すちさん!
💚「はぁッ………!!」
いつもとは少し違う目覚め方をした
反響する声を手繰り寄せて目を覚ますと周囲がチカチカと白く飛ぶ
だんだんと、霞む視界の焦点が合っていく
視界に飛び込んできたのは白い天井ではなく、柔らかな水色の髪だった
🩵「あっ……!すち兄…!大丈夫?聞こえる?こさめだよ!」
拍子抜けするほどの眩い声が耳に染み渡る
咄嗟に邪険した態度を取ろうとしたが顔の筋肉がうまく働かない
💚「……うん、大丈夫、」
あれ、声が出にくいな
絞り出すような掠れた自分の声に驚く
ふと周りを見渡すと、首元まで丁寧に布団が掛けられ優しく包み込まれていた
ガチャッ
そのとき、ドアが開き足音が重なった
1人、またひとりと義兄弟らが連なっている
先頭のなつさんが迷いのない足取りでベッド脇まで近づいてきた
今にも泣きそうな、八の字に垂れた眉でこちらを覗く
💚「えと、なつさん?どうされま……うおっ」
言い終わる前に大きな影に包み込まれた
どこか懐かしくて、優しい温もりでふわりと包み込まれる
❤️「ばかやろうっ……!」
❤️「グスッ……ごめんッ………!!」
💚「へ……?」
耳元でなつさんの震える声が落ちてくる
なんでそんな顔をするのだろうか
俺が謝る必要はあっても、謝られるなんておかしい
💛「あの、大丈夫ですか?痛いところはないですか?」
💚「えっと…?」
刺すような不快感も、冷ややかな視線もそこにはない
なんだか慣れない空気感に疑問符が頭上に並ぶ
💚「あ……あの、なんで皆さんここに?」
混乱して言葉を詰まらせる俺の手をらんさんがそっと大きな手で包み込んだ
そのまま同じ目線まで顔を下げ、桜色に火照った瞳でまっすぐに見つめてくる
🩷「すちさん、あなたは昨夜、ここで倒れたんです」
💚「……俺が、?」
🩷「ええ、……すみません。衣服が汚れていたので、着替えさせようと脱がしました。その際にお体のものを…見てしまいました」
らんさんの言葉が紡がれた途端、脳が急速に回転を早める
あんな汚い体を見られたの?
どうしよう、どう言い訳をしようか、
いや、そもそもこの人達に話す義理はない
まだ隠し通せる
拒絶して、また嫌味な態度を取ればいつも通りに戻れる
いつも通りに戻れる……?
錯綜した脳内を断ち切るように、なつさんが顔を近付ける
❤️「少しだけ、少しでいいから、傷のこと…教えて下さい…ッ!」
懇願するような強い眼差しに逃げ場を塞がれたような心地がして息が止まる
言ったらどうなってしまうんだろう
父にばれてしまったら……
俺に全てを告白する勇気なんて、到底持ち合わせてはいない
けれど、真っ直ぐな眼差しを向けられて、この気持ち悪い身体を見られて、どうすることもできなかった
少し息をひそめ、切り取れる一部分だけを小さく絞り出すことにした
💚「……学校で、少しうまくいっていなくて。ほんとに、それだけなんです」
❤️「それだけって……っ、そんな訳ないだろ!?」
なつさんが堪らず声を荒げ、らんさんが制するように手を開く
🩷「上手くいっていないのはクラスの方ですか?」
💚「……ほんとに、大丈夫なので。お気になさらないで…」
僕が言葉を終えるか終えないかのうちに身体が強い衝撃に包まれた
先程よりもずっと強い力で、なつさんが抱きついてきたのだ
暖かく、猛るような熱に圧倒されながらも不思議と安心感を覚える
❤️「なんでッ……!」
肩を竦めたらんさんが俺の真横に膝をついき、空気を吸い込んだ
しかし、紡がれた言葉は意外なものだった
🩷「すちさん、厚かましいお願いですが…俺達と兄弟になりませんか?」
💚「……え?」
🩷「すみません、唐突すぎますね」
想像の斜め上どころでは済まない切り込み方に先程よりも多量の疑問符が浮かぶ
当惑した俺に対して、既に決心しているようならんさんは言葉を続けた
🩷「俺達は今まで貴方との対立を選んでいました。ですが同時に、貴方は心優しい方だと皆気付いたんです」
💚「え、いや……その、」
🩷「今まですみませんでした。こちらも警戒心の強い子ばかりで……無理にとは言えませんが、どうでしょうか?」
力強く輝くひとひらの春を詰め込んだような瞳に全て吸い込まれそうだった
どういうつもりなのだろうか
何を企んでいる?
この汚い体に同情でも湧いたのだろうか
すると、次第にみことさんやこさめさんも近くまで寄ってきた
🩵「俺、もっとすち兄と仲良くなりたい!」
💛「ぅ俺も!俺知ってるんよ、よくリビングで寝ちゃった俺らに毛布かけてくれるん、あれすち兄やろ!?」
💚「いや…、べつに……」
しどろもどろになる俺を遮るように緋色の視線に絡め取られた
❤️「そんな体のあんた、もう1人にさせておけねぇんだよ!」
今、目の前に糸が垂れている
きっとこれを掴んで登れば、手に入る
ずっと、ずっと、ずっと恋焦がれてきたもの
望んではいけないと腹の奥深くまで沈め込んだもの
彼らを見る度に、羨望の眼差しを投げたもの
この糸を掴めば、“帰る場所”に辿り着ける
だが、そんなことが許されるのだろうか
今の言動からして彼らはもう許してくれているのだろう
しかし、この冷戦の原因は間違いなく俺だ
それにまた裏切られるかもしれない
こんな音色のように澄んでいる彼らに見限られたら、辛くて堪らないだろう
🩵「あ、いきなりごめんなさい。汗すごいけど大丈夫?こさが拭くねっ!」
💚「ッあ、」
差し出された手を、痛めつける手へとみるみる脳が誤認していく
💚パシンッ
あ、どうしよう振り叩いてしまった
まって、違うんです、
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
やめて、殴らないで……!
💚「ヒューッハッハッ……ゴホッコボッゲホッ」
🩵「!?」
嫌だ、こんなところ見られたくない
それなのに息を吸っても吐き出しても苦しみが増大していく
気管支を通り過ぎる空気がヤスリのようで喉奥がズキズキと痛む
とまれッ、とまれッ、とまれッ!
💚「ゲホゲホッヒューッヒューッハアッッッゲホッ」
🩷「こさめどいて!」
🩷「すちさん聞こえる?俺に呼吸を合わせて!!」
💚コクコク
🩷「すーはー」
💚「ガッハゲホ…すーゴホッゴホッヒューッゲホッ」
🩷「すーはー」
💚「すーゴホッコボッ…はー」
🩷「すーはー」
💚「ゲホッ…すーはー」
🩷「どうですか、落ち着きましたか?」
💚「…ぁい、ありがとうございました」
🩵「すち兄ごめんなさい、大丈夫?」
💚「いえ、こちらこそすみません」
🩷「返答を急かしてしまい、すみません。こちらに都合が良すぎましたよね、このことは忘れて……?」
咄嗟にらんさんの袖を掴んでしまった
自分でもなぜこんなことをしたのか分からない
父のこと、学校でのことや色々、関係値が高くなれば必然的に隠し切れなくなる
……ひとつはもう告白してしまったけれど
それでも、どうしても手を伸ばしたくなってしまった
呆然と遠くから見やるだけだった、燦然たる彼らの絆
今を逃したら、もしかすると一生巡り会えないかもしれない
そう思ったら動かずにはいられなかった
💚「あの、もし…良ければ……、お願いします」
しんと静まった空気に居た堪れなくなり、そっと面をあげる
そこには、酷く煌めいた双子の顔があった
💛「ほんまに?やったぁ!」
🩵「すち兄ありがとおぉ!!」
🩷「えっと、本当に良いんですか?」
💚「はい、ご迷惑でなければ…」
❤️「んな訳あるか」
❤️「つーか敬語やめねぇ?……兄弟なんだろ⸝⸝」
💛「あ!なつ兄照れてる!笑」
❤️「うるせぇよ!⸝⸝」
見惚れていた旋律の渦中は想像以上に優しいぬくもりで満ちていた
なんて贅沢な場所にいるんだろう
💚ポロポロ
🩷「えぇどしたの、なにかしちゃった?」
ふと頬を伝った雫をガシガシとカーディガンの袖で拭われる
💚「い、痛いです…、」ポロポロ
🩵「あー!らん兄が泣かせたー!!」
🩷「えーうそうそ、ごめんじゃんー!許してぇー!」
その夜は酔いしれる程に優雅な調べに、ただただ幸福を噛み締めることしかできなかった
すみません15話程度では終わらないかもしれません。なんて可哀想な読者様達でしょうか。すちくんが苦しむところを綿密に記載した結果、内容は増量していないのに果てしなく長いという地獄。皆さんが憐れでなりません。
さて、らんらんは何を企んでいるのでしょうか。すちくんの運命は如何に。
今回もご覧いただきありがとうございました🙇🏻♀️
コメント
7件
ありがとうございます!!
いえいえ地獄ではなく天国ですよ感謝
更新ありがとうございます🙇♀️ 今回もとっても見入ってしまいました!みんな仲良く慣れて終わるハッピーエンドが(´。・v・。`)イイナァ 続き待ってます🍀*゜