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【意味がわかると〇〇な話】
「購入……完了っと!」
世界中のいたるところで、 今日も『広告』が目に入る。
街中、駅、テレビ、そしてネットの中にまで。もはや逃げ場はない。
そんな中、ボクが今とった行動は——
『プレミアム会員』への加入だった。
普段使っている某動画サイト。
気になる動画を再生しようものなら、すぐさま『奴ら』が襲いかかる。
「広告なげー……」
鬱陶しい。実に鬱陶しい。
それは、きっとボクだけが思っていることではないだろう。
だが今日、日頃の鬱憤はすべて消える。
というか——もう消えた。
なぜなら、ボクは“プレミアム会員”だからだ。
月額で広告が一切流れなくなる、あの憧れの機能。
……いや、ちょっと待て。
ボク、まだ学生なんですけど!?
学生に月額って、けっこうキツくない!?
じゃあ、なぜ買ったのかって?
ふふふ……まぁ笑うほどのことでもない。
実は“お試し期間”というやつを使っているだけだ。
『お試し期間』——つまり、その名の通りお試しになられるご期間だ。(なぜ敬語)
そう、みなまで言わせるな。
無料なんだよ。むーりょーお!
広告が流れないって、それはもう授業の始まりの挨拶をスキップしてるようなもんだ。(終わりも然り)
「よし、早速ためそ」
朝方。寝ぼけたまま、眼鏡もかけずにスマホを眺める。
いつも見ているチャンネルの動画を再生した
——その時だった。
ベッドにうつ伏せになりながら画面を見ていると、
何か白いものが左から右へとスッと流れたのだ。
「は?」
画面いっぱいに広がったその“白い広告”は、ボクの視界の前で止まり、
次の瞬間、画面全体が真っ白になった。
「は? バグってんのか?広告流れてんじゃん…」
いつもなら広告明けに出てくるお目当てのインフルエンサーが出てこない。
まだプレミアム機能が反映されていないのか?
というか——画面が、白い。
「一旦アプリ落とすか」
焦るな焦るなw
こういうときは再起動。それが基本。
……ついでに深呼吸? いや、それはいらん。
画面をタップして再起動しようとした——その瞬間。
「え? 指が……?」
指が見えない。
いや、よく見るとスマホ自体もぼんやりしている。
視界全体が、白く染まっていた。
まだ寝ぼけてる?
漫画で言うなら、今のボクの目は“3”の形をしているに違いない。
眠たい目を擦ろうと、左手をスマホから離す。
その時だった。
左手に——何かが当たった。
「ん? なんやぁ?」
反射的に、その“何か”を指でなぞる。
ざらっとした、やわらかい感触。
ボクの眠気が、少しずつ引いていく。
視界がハッキリしてきて——そして、気づいた。
「あ」
……そういうことか。
「なぁ〜んだ〜、おまえかぁ〜♡」
ボクが触っていたのは、“白い広告”そのものだった。
視界いっぱいに広がるそれは——
「おはよー、みーちゃん」
白猫のみーちゃんだ。
ボクはみーちゃんの頭をなでた。
その瞬間、心の中までふわっと明るくなる。
——こんな“癒される広告”も、悪くないかもな。
終わり