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ビーッっと音が鳴った。
ナースコールの音だった。
ふと桃の方を見たら息が荒く痛むのか顔を顰めていた桃がいた。
「桃ッ?!」
痛む身体と入らない力で無理してナースコール押して疲れてしまったんだろう。
意識がある桃が少しだけ顔を上げてこちらに微笑んだ。それは“ごめん“と謝ってるように感じた。
俺はこれが最後になると何となく悟ってしまって。他人の目ももう気にならない、感情とかどうでもいい。だから最後に贈り物を渡してもいい?
微かなリップ音が鳴って、
桃から“感謝“と“愛情“の感情を受け取ったところで桃の意識が途絶えた。
到着した医者には明日が最後だと話してくれた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
どうしようもなく無力感に囚われた。それでも最後は桃の隣にいるっていつの日だったか忘れたけど約束したから。
「桃。俺に感情を与えてくれてありがと。」
「桃。俺に幸せをありがとう」
「幸せで溢れてたんだ。」
「桃は幸せだった?」
「……また、会えるかな。」
「また…逢ってもいいかな?」
不安定になる心電図が終わりを告げているようだった。
桃は目覚めない。きっと、今日はずっと寝た桃を見ていなきゃいけないんだ。
赫や翠、黈に瑞は病室の外にいる。
何故か俺だけを中に入れた。
これだけ言ったらみんなにも会ってね。桃。
「また逢いに行くから、逢いしてる。 」
扉を開けて、赫達にも入ってもらうよう声をかけて、不安定な心電図の音が部屋に響く。
「…なぁ俺らこのまま居ていいのか?」
赫が聞いたが俺は桃のことよく知ってるからさ
「…桃はさ寂しがり屋だから、みんながいた方が落ち着くよ。」
そう言うと納得したように黙った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
手を握って1人じゃないよ、なんて心に言い聞かせてた。声をかけてあげるべきなんだろうけど。それが出来なかったのは桃が静かにこちらを見ていたから。
「ッ桃…?」
微かに痛む身体で苦しいはずの手を軽く握り返してくれた。
それが嬉しくて、それが最後だと悟って大粒の涙をみんなの前で零してしまった。
「桃ッ…ッ…」
何度も名前を呼んだ。
「ッ桃…」
抑えきれない涙が桃の体に零れてしまった。
体に触れたと同時、全てが終わる音が聞こえた。ビーッという音が病室内に鳴り響いた。
桃が目を閉じていた。
嘘だよ。
俺まだ桃に話したいことあってッ。
俺まだ桃としたいことあってッ。
信じきれない想いを唾と一緒に飲み込んで、桃の手を少し強く握って。
「好きだよ。」
桃の手に1粒2粒と大きな雫がこぼれ落ちた。
何も返ってこない言葉。
少しづつ冷えていく身体。
それでも俺は。
「また、逢いに行くから。」
そう言ってももに別れを告げた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「紫~こっち!」
「…うん。」
桃がいた病室は看護師さんが片付けると言っていた。
未だに桃がいない世界を信じたくはなかった。
でもいつかきっと逢いに行くから。
この病院に来ることも多分もうない。
「…ばいばい。」
そう言って桃の居ない病室を出て、みんなのいる出口の方に向かってる途中、看護師さんに止められた。
「これッ…ッ…桃さんからって。」
一枚の紙を渡された。
「それでは…。」
一礼をして去っていく看護師さん。
俺の手に残された一枚の紙が。
開いて見てみると手紙だった。
紫へ。
好きだよ。ずっと。
いつか俺の事を忘れていくのかもしれない。
それでも俺は大丈夫。紫は今を幸せに。
赫も翠ももちろん。瑞も黈も優しい人だから。
まぁ瑞は確かに感情が読めなくて苦手かもしれないけど。無理しないで、我慢しなくて大丈夫。紫の周りには頼れるいい人沢山いるから。
だから笑って、俺の事はもう気にせず生きてね
また逢えたらいいね。
みんなに伝えといて。“ありがとう“って。
いろいろ世話になって迷惑かけちゃったけど、楽しかったから。
じゃ紫。今までありがとう。これからを楽しんで。幸せで。 逢いしてる___。
桃より。
いつもより少し乱暴な字だった。きっと弱った身体で、弱った手で頑張ってくれたんだろう。
「紫~?」
赫が心配そうに呼ぶので駆け寄って“ごめん“と笑って応えた。
また逢えるってきっと、想いは同じだから。
俺はもう大丈夫だよ。桃。
━━━━━━━<個人連絡>━━━━━━━
完結になります。
ありがとうございました。
先日この物語を見返したところ、保存が出来ておらず、抜けているのに投稿しているところを見かけました。気づくの遅れて申し訳ないです。ただその部分の内容は覚えて居ないので、後ほど頑張って次の話に続くように訂正しておきます。
こちらの垢ではノベルのみの投稿となりますのでまた案が出ましたら投稿します。
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沢山の反応ありがとうございました。