翌日、ルゲールとシェーンが元気にはね遊んでいると、王国にオスがやってきました。ここらでは最強のオスで、名前はグレイトン。しかし、結婚しようと思うがマーヤはもう子持ち。気も立っており、なかなか近づくことができません。
子育て中のメスに結婚してもらう方法はただ一つ。子どもを殺すか追い出すこと。
グレイトンは殺すのではなく、追い出すことに決めました。体が自分より少し小さいので、体力もうかわない追い出すことにするのです。追い出すに必要な条件は、怪我をさせること。だからグレイトンは先に子供らのところへ行きました。目の前に現れたのはルゲール。ルゲールとグレイトンはしばしにらみ合いをしたあと、一騎打ちが始まりました。ルゲールにとって初めての争い。とても不利な状況です。牙をむき出しにして唸って襲いかかっても年上のグレイトンには効かない様子。グレイトンは鋭く大きな爪でルゲールの肩を引き裂きました。ルゲールは王国を離れるしかありませんでした。次にグレイトンは次男、シェーンの元へ。シェーンにとっても初めての争い。しかも相手は年上のオス。シェーンは威嚇するグレイトンが怖くなったのか少しずつ後ずさりを始めました。しかし、ここで引いてしまうと将来、子孫が残せないかもしれません。だからじりっと前に進み出ました。そして戦いは始まりました。シェーンも必死に戦いましたが、グレイトンが振り下ろした右前足がシェーンの背中に命中しました。シェーンは王国を追われました。グレイトンは堂々とした足取りでマーヤの元へ急ぎました。
マーヤは突然やってきたオス、グレイトンに驚いたようでした。しかし、子どもは王国を追われており、結婚するしかありませんでした。
結婚し、マーヤは妊娠しました。しかし、いつまで経っても王国を去りません。マーヤの王国の中に、「ヘレヴァラク」という一番大きな池があり、そこでのんびり水に浸かっています。通常、オスは結婚(交尾)を済ませるとすんなり王国を離れます。しかし、グレイトンは王国を離れず、マーヤのそばにずっといます。そして毛づくろいもしてあげます。シェーンとルゲールと追い出した埋め合わせなのでしょうか。
マーヤの母から受け継いだ王国は広く豊か。だからマーヤの王国に住まわせてもらいます。マーヤも嫌がらず、そっと受け入れます。







