テラーノベル
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「 … 寒 」
寒冷な風がマチ針のように チクリと俺の身体を突き刺す。
ライトアップされたイルミネーション。
辺一面に降り積もった粉雪。
愛おしそうに身を寄せ合う男女。
東西南北、どこもかしこも冬景色。
本来なら俺も其方側だったと思うとぐちゃぐちゃな気持ちになる。
12月24日。
聖なる夜に恋人から無事フラレました。
理由は只一つ。アチラ側の浮気。
ノンケとか言ってた癖にやっぱり女が好きだったらしい。
散々金使わせて、散々躰重ねといて、
結局コレか。
これほど迄に心の底からしんでしまえと思わせた人は彼奴が初めて。
何でもかんでも俺の初めてを奪いやがって
… 別に俺もただ彼の躰を利用してただけ
お互いに愛してなんかなかったし、
『 藍 』
『 だいすき。 』
「 ぁ … 」
視界が反転したかと思うと 臀に強い衝撃が奔る
「 … いった、 」
街頭に重心を預け、少しずつ体を起こす
力なく立ち上がる姿を彼なら 生まれたての子鹿 と目を細めていただろうか
なんて今となっては忌々しき彼の微笑が
子供によく似た体温が
官能的なムスクの薫りが
脳裏を離れずにいる
「 さいあく、 」
5ヶ月と云う長いとも短いとも言い難いその月日を
桃色のフィルムに飾ってくれたことだけは感謝しよう。
それと数週間前、抱き合ったアナタから仄かにチョコレート風味の甘い薫りがした事も目を瞑っておきます。
じゃ、最期に一つだけ。
アナタのことが世界で一番大好きでした。
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