駅前の居酒屋。
暖簾をくぐると、賑やかな笑い声と焼き鳥の香ばしい匂いが漂ってきた。
「わ、すごい……こういうお店、久しぶりです!」
目を輝かせる華に、律は思わず口元を緩める。
テーブル席に腰を下ろすと、店員がビールとカクテルを運んできた。
華は迷わずカクテルを手に取り、勢いよく口をつける。
「ん〜っ! おいしいっ!」
にこにこと笑う姿に、律は少し呆れたようにグラスを傾けた。
「桜坂さん、飛ばしすぎないでくださいよ」
「だ、大丈夫ですって! 私、お酒強いんですから!」
そう豪語していたはずが――数十分後には、華の頬はりんごのように真っ赤になっていた。
「……ぜんっぜん、強くないじゃないですか」
律は小さくため息をつき、グラスを置いた。
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