ここ数日、心臓が休まる瞬間がない。
兄貴も、日本も、優しく笑ってるのに、その笑顔の奥が怖い。
一緒にいても、安心できない。
まるで世界全体が、俺の知らないところで狂い始めているみたいだった。
朝。
登校途中、後ろから肩を叩かれた。
「フィン、おはよう」
スウェーデンだった。
「……兄貴、今日も学校まで?」
「うん。心配だからね」
「心配しすぎだって……」
言いかけた瞬間、スウェ兄が俺の手首を掴んだ。
冷たい指。強い力。
「……誰にも、触れさせたくないんだ」
低い声。耳元で囁くように。
「兄貴、やめろ」
「だって、僕以外の誰かに笑うのが嫌なんだよ。
ノルウェーにも、日本にも。
フィンの笑顔は僕だけのものだろ?」
——その瞬間、血の気が引いた。
兄貴の目は、完全俺をに弟として見ていなかった。
何か別のものを見ているような、気でも狂ったかのような瞳。
「……離せ」
「嫌だよ。フィンが僕から逃げるなんて、ありえない」
手首が痛い。
無理やり振りほどこうとしたそのとき——
「兄貴!フィンから離れろ!」
ノル兄の声がした。
気づけば、ノル兄が俺とスウェーデンの間に割って入っていた。
「兄貴、いい加減にしろよ!」
「邪魔しないでよ、ノルウェー。僕はフィンを守ってるだけだ」
「それは、守るって言わねぇよ!」
スウェーデンの表情が一瞬だけ崩れた。
その隙に俺はノル兄に腕を引かれて逃げ出した。
息が切れる。
角を曲がった先で、ようやく足を止めた。
「……兄貴、どうしちまったんだよ。」
「昔から、ちょっと危ないとこあったけどな。お前のことになると特に」
ノル兄は苦笑いして、俺の頭を撫でた。
「でも、もう大丈夫。俺が——」
その瞬間。
背後から聞こえた声が、すべてを凍らせた。
「……フィンランド君」
振り返ると、日本が立っていた。
制服の袖に何か黒い染み。
それが何なのか、確認するのが怖かった。
「え…日本?」
「フィン君、今のうちに離れてもらえますか?」
「は?」
日本の笑顔は変わらない。
でも、その瞳の奥には、冷たく光る何かが宿っていた。
「フィン君に手を出したのは貴方ですよね?残念ですが僕が処理させていただきます」
「処理って……おい、日本、まさか——」
「フィンランドを汚す人間は、この世界にいらないんですよ」
ノル兄が前に出ようとした瞬間、日本がポケットから何か光る物を取り出した。
それはカッターだった。
「やめろ!!」
叫びながら、俺は日本の腕を掴んだ。
日本の笑顔が、ゆっくりと崩れていく。
「フィンランド君、どうして止めるんです? 僕は、貴方のためにーー」
「俺はそんなこと望んでねぇ!!」
日本の手からカッターが落ちる。
金属音が地面を叩いた。
沈黙。
日本の表情が、少しずつ曇っていく。
「……申し訳ありません」
小さくそう呟いて、日本は走り去っていった。
俺とノル兄だけが、その場に取り残された。
風の音だけが響いている。
「……フィン」
ノルウェー兄さんの手が、そっと俺の背中に触れた。
「もう、誰もお前を傷つけさせねぇよ」
「……兄貴」
「俺が守る。ちゃんと、普通の形でな」
その言葉が、救いだった。
でも同時に、どこかで悟っていた。
——もう元の“普通”には戻れないってことを。
以上です。ちなみに皆さんは
🇸🇪×🇫🇮end
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🇯🇵×🇫🇮end
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コメントで教えて下さると幸いです
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