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「……先生が、好きです……」
そのたった一言が、深く胸に響いて届く。
「ああ嬉しいですね……ただ好きと言われることが、こんなにも嬉しいだなんて……」
これまで何気なく口にしてきたはずの『好き』の二文字が、彼女の口から伝えられるととても特別なことのように感じられた。
「好きという台詞など、今までは軽く口にできるとも思っていたのに……」
こんなにも饒舌に、自分の思いを語ることなどなかったのにと感じながら、
「……好きと伝えられるだけで、これほど心を動かされるなど……」
戸惑いを隠すこともできないままで話し続けた。
「……先生からも、言ってほしい……」
彼女から、そう告げられて、
「……私も、あなたが好きです」
口にすると、あたたかな気持ちに胸が満たされて行くようだった。
「……好きです…あなたのことが……」
繰り返して、より強くその身を抱き締めた……。
「……好きになんて、ならないとも思ってたのに……」
彼女の呟きに、過ぎた日々が思い起こされる。
「……私が、本気で好きになった女性は、あなたが初めてなので……」
誰も好きになどならないと思っていたのは、私も同じだったと感じつつ、
「なので、初めて本気になった人を、私は好きにしかさせませんので」
胸に広がる幸せな思いを閉じ込めようとして、多少の強がりを口にした。
彼女の身体を腕に抱き留めて、口づけを深めると、愛おしさが胸に迫り、
冬の寒空の下、私はこれ以上なく胸が熱く高ぶるのを感じていた──。