ウチは夢野秘密子。超高校級のマジシャンなのじゃ。そして今、ウチは他の「超高校級」の才能を持っておる連中15名と一緒に、この才囚学園に監禁されている。監禁、なんて物騒なジョークだと思うじゃろ?それがそうもいかない。ウチ達はこの学園でコロシアイをさせられているのじゃ。
1度目と2度目の殺し合いで、「超高校級のピアニスト」赤松楓、「超高校級の???」の天海蘭太郎、「超高校級のメイド」東条斬美、「超高校級のテニス選手」星竜馬が死んだ。今考えるだけでも身震いがするわい。
「ゆーめのちゃん!今日もアジの開きみたいな顔でなんか考えてるね!もしかしてエロいこととか?」
げ。面倒なやつが現れてしまった。今はウチが説明をしとるのに。
この男は「超高校級の総統」王馬小吉。一見すると、小柄でほんっっとにちょっっとだけイケメンじゃが、こやつはめちゃめちゃにうるさくて面倒臭い。
「…って、誰が食卓の定番メニューじゃ!」
こやつは、本当にいっつもいっつもウチをバカにしてきおる!腹が立つのじゃ!じゃが、最近対処法を覚えてきたんじゃ。
「転子ぉぉぉ!!王馬がおるぅぅ!!」
こうして男嫌いの「超高校級の合気道家」茶柱転子を呼び出すことじゃ!にしし、これには王馬も近いうちにウチをバカにしなくなるじゃろ…!
3回目の事件が起こった。ウチの友達の転子とアンジーが何者かに殺されたのじゃ。息の詰まる思いで証拠を集めようとするにも、それ以上の辛さが込み上がってきて上手く進められない。許せない。ウチの大事な友人をこんな目にあわせおって…!
犯人は、「超高校級の民俗学者」真宮寺是清じゃった。ウチがもっと早くからこいつをどうにかしていれば、2人は死ななかったんじゃなかろうか。あまりの不甲斐なさに涙が込み上げたが、その気持ちに栓をしようとした。はずじゃったのに。
「自分につく嘘はよくないと思うよ?」
王馬がそうウチに言ったんじゃ。きっとそれが、ウチにとって一番かけてほしい言葉じゃったんだろうな。ウチは泣いた。ずーっと泣き続けたのじゃ。
ウチはそれから、2人の分も生きられるよう、明るく振る舞うようになったのじゃ。じゃが…。心の中のぽっかりと空いた穴が塞がらないのじゃ。いつ、どこで、誰にこの命を奪われるのかもわからない。こんな疑い、友人に向けたくもない。死ぬのが、怖い。何度も死体を見て、ウチもああなることが怖くなったのじゃ。
「誰かに殺されるくらいなら…。」
ウチは、校内にあった太くて一番硬い縄を持ってきて、輪っかを使った。
「あと、殺人じゃと思われたら大変じゃし、あらかじめ密室にしとくか…。」
ドアを内側から固定し、外からは決して開かないようにする。準備はOKじゃ。わっかに首を通して、足元にある椅子を蹴飛ばす。
「…夢野ちゃん?」
ドアの外から王馬の声が聞こえた。ウチを見るなり、王馬のものと思えないような顔でこちらを見て駆け寄ってきた。
「夢野ちゃん⁉︎何やってんだよ!」
固定されたドアの仕掛けを無理やり壊して入ってくる。その仕掛け、結構大変だったんじゃぞ?王馬はウチの首からロープを外し、ウチをふわっと運ぶ。ああ、これがお姫様抱っこというやつなのか…。
意識がはっきりとして目を覚ました時、王馬はウチに一足早く気づいた。そしてウチにこういった。
「何やってんだよバカ野郎!」
次回に続く
コメント
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めっちゃ好きです‼️