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定期テストまであと1週間
だからと言って学校の空気が変わるわけでもなく、部活がない事をいいことに男子は「今日どこで集まるー?」、女子は「今日はプリクラ撮りに行こ!」、そういう声も多くなる。
一方、灯というと、母親と目が合えば「勉強は大丈夫なんでしょうね?」と言われなくても分かってしまうくらいである。
(あと1週間か…なんで1日目に苦手な化学と情報があるんだろう…。化学はさすがに点取らないとなぁ…。)
1学期のテストの頃は父親が単身赴任前でいたから「まぁ、2年生の最初のテストなんだから、平均を取れただけすごいじゃないか!僕なんか高校時代は…」
とまぁ、丸くおさまったのだが、今回はそうはいかないだろう。
そう考えながら灯は昼休みに食べたお弁当の片付けをする。
美英は図書委員の仕事があり、いつもは2人で食べているこの時間がいつもより寂しく感じた。
テキパキとお弁当の片付けをしていると、「水城さん」と誰かに話しかけられた。
(…?)
どこかで聞いたことがあるような声。
灯は振り返るが、そこにはクラスにいたような、いなかったような男子生徒が立っていた。
灯はしばらくぽかんとしていたが、はっと思い出した。
(あっ、えっと、確か男子の方の学級委員の…)
灯はなんとか思い出そうとするが名前が出てこない。
「あはは、お互い喋るのは初めましてだね。僕は朝倉。水城さんと同じ文化祭のルーム担当係だよ」
そういって少年は少し恥ずかしがるように言い、メガネを掛け直した。
朝倉朝倉朝倉…あっ、そういえば学級委員にアサクラソウって名前の人がいたっけ。2学期なのに名前と顔がまだ一致しないなんて…。あっ、それよりも…。
「えっと、朝倉くん?でいいのかな。その、文化祭の係って…?」
「そうだよね。僕もすっかり忘れてたんだけど、今回のテストが終わったら文化祭に向けて企画を考えたりするらしいから、顔合わせだけでもしとこうかなって思ったんだ」
そういえば1学期の委員会決めで期間限定だからって理由で選んだっけ…。忘れてた。
「そっか。教えてくれてありがとう。」
「うん。委員会のときはよろしくね。お互いテスト頑張ろう!」
そう言って朝倉という名の少年は自席へ戻り学級日誌らしきものを書き始めた。
灯のクラスではめずらしく、優しく穏やかな男子と聞いていたけど本当のようだ。あっ、だから女子ウケもいいってみはが言ってたような…。
「へぇ〜、灯って委員会入ってたんだぁ」
…。
「アカリ…」
いきなり話しかけられるとさすがにびっくりするよ。なんか慣れて来たけど。
「やっほお灯。珍しく男子と話してたから気になって来ちゃった」
「べつに、委員会のことを知らせに来てくれただけだよ。」
「いやぁ、でもまさか、灯が委員会に入っていたとは驚きだよ!部活に入ってないから委員会も入ってなさそうだなーんて思ってたのに!」
なぜ満面の笑みで言う。あとちょっと馬鹿にしてない?
「それよりアカリ、今学校だからあんまり長く話すと変な人だと思われちゃうんだけど…」
「それはだいじょぶだよ!きっと、少し変な独り言だと思われるくらいだよ」
(それはそれでやばい人なんじゃ…)
「いやまぁとにかく、学校にいる時はあんまり話しかけないで。あっ、べつに嫌いとかじゃないからね!1人でいる時は別だからっ…」
「あははっ!そんなこと思ってるわけないじゃん! でも1人の時はいいんだぁ?やっぱり灯って私のことが好きなんだね!ふふっ」
「ま、まぁそういうこと…」
灯が慌てて答えていると
「あーかりん!」と肩をポンと叩かれる。
「わっ⁉︎あっ、えっと!委員会お疲れ様っ!」
「ん?何を慌ててるんだい?」
美英はキョトンとして灯を見つめる。
(あっ、アカリと話してたことは知らないみたい。)
「あっいやっ別に…?それよりさ!準備したら移動しよ!たしか次は3階の数学室に行かなきゃだよねっ」
「あっ、そうだったね!さっすがあかりん、頼りになるわあ〜。準備するから待ってて!」
そう言って、美英は廊下へ出た。ガチャンとロッカーを開ける音が聞こえた。
…よかった、何とかなった。
ふと振り返ると教室の隅でにやにやと笑っているアカリがいる。
なんか恥ずかしい。
アカリは手をひらひらと振ると教室の窓へするりと入っていなくなってしまった。
はぁ、にしても、テストで疲れるのにさらに文化祭の準備があるなんて。やっぱり選挙管理員とかの方が楽だったかな…。いや、いまさらどうこうできるわけじゃないし、あの朝倉くん?がいればなんとかなりそうだな。まずはテストに集中しなきゃ。
そう心の中でつぶやき、頑張ろうと言う気持ちを胸に、灯は小さく片手でガッツポーズをした。
あっ、でも委員会があるってことは帰りが遅くなるかもしれないってことかな?いや、流石に委員会なんだから帰りが遅くなってもお母さんは許してくれるだろう。うん。大丈夫。
そしてもう一度、さっきより念入りに
「大丈夫」
と、小さな声で呟いた。
アウラウラ
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琉姫
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