『あーぁ、ひまひまひまーーっ!!』
そう言って不機嫌そうに、自身のふわふわとした耳をひょこひょこと動かしながら、猫又──遊魅 澪緒は暗い路地裏に腰掛け、尻尾を揺らしていた。
澪緒『最近いーひと居ないしなぁ…はーぁ、つまんない……の…?』
ぼんやりと、しかしむっとしながら人気の無い路地裏を眺めていると、澪緒の耳に、少し遠くから誰かが歩く足音が聞こえてきて。
澪緒『…めずらしいなぁ、ここに僕以外が来るのなんて…』
少しばかり警戒しながらも、どんな物好きなのか、と気になりそのまま見つめていると
『…おや、誰かいらっしゃるようだ』
相手も澪緒に気付いたのか、聞き心地の良い声を凛と響かせながら、礼儀正しい口調で一言発するとにこりと笑って。
その人物の容姿をよく見てみると、さらさらとした髪に整った顔、紅玉のような紅い瞳、さらに耳のタッセルピアスがゆらりと揺れて、澪緒の目を引いた。
澪緒は暗い路地裏と少し不釣り合いな人物に少々驚きつつも、ちょうどいーや、と思いながらにこっ、と可愛らしく微笑み
澪緒『あはっ、おにーさん誰ー?まっ、誰でもいーけど……僕と遊ばない?』
一言そう言った。
それを聞いて、謎の人物は少し不思議そうな顔をしたものの、すぐに先程と同じ笑顔でにこりと笑って
『へぇ…遊んでくれるんですか?いいですよ』
と。
澪緒『やったぁ♪じゃ、行こ行こ♡』
とてて、と近ずきくいくいっ、と謎の人物の袖を引っ張りながら尻尾を楽しげに揺らし、澪緒は(らっき〜)と心の中でこぼすのだった。
澪緒『僕の名前は澪緒って言うんだけど…へぇ、天利 湖玻さんって言うんだ、いい名前〜♪』
湖玻『ふふっ、褒められては照れてしまいますね…っと…おや、どうしましょう…』
名前を聞いてくるくると澪緒が笑い、少し照れたような素振りで湖玻が笑ったすぐ後に、困ったような声を出して湖玻がすっ、としゃがみこんで何かを探しだし。
澪緒『?なになに、どーしたの?』
湖玻『すみません…コンタクトを落としてしまったみたいで…』
澪緒『ありゃ、大変だぁ…ふふーん、仕方ないから僕も一緒に探してあげよう♪』
そう言って、澪緒もすっとしゃがみこみふんふーんと鼻歌を歌いながら探しだす。と、湖玻が静かに澪緒の後ろで立ち上がり、そっと近ずいたかと思うと───
湖玻『あはは、騙されやすいんですね?おチビさん♪』
そう、耳元で囁き。後ろから澪緒の首を軽くつかみ、床に押し倒し。
澪緒『ぅ、えっ…!?!?』
バランスを崩し、床に倒れ込むと同時に湖玻に背中をぐっ、と押さえつけられ、上に軽く乗られて。
澪緒『っ、なにすんの、離してよ…!』
湖玻『何って……遊んでくれるんでしょう?』
湖玻『イイコト…しましょ?』
怪しく、何処か妖艶に湖玻は微笑み、澪緒の耳元で再度囁いた。
コメント
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次のお話エッなのまぜまぜしてもよろしーですかね(*‘ω‘ *)?(((