テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#さのじん
自分夢の中
230
2,737
コメント
3件

光のさのさんと闇のそのしゅんが泣けるほどよかったです、、ありがとうございます、、、めっちゃくちゃ好きな作品です😭応援してます
ああああ…あまりの良さに言葉を失ってしまいました…このままさのじんが拗らせて闇堕ちそのじんエンドもいいなぁ…と1話を読んだ時は思いましたが今回の話でさのじんがくっついてあまりの尊さに携帯を置いて拍手しておりました。
いやあああああああ第3話やばすぎた😭💦💦 仁人のフラッシュバック、あの日の記憶がドッと押し寄せるシーン、読んでるこっちまで息が止まるかと思った…。勇人に「俺が好きだ」って言われて、やっと届いた安堵の涙、もう一緒に泣いたよ…。 でも最後に誰か見てたの気になるんだけど!?!?!?次話が待ちきれない⋆♡ あんこさん、尊すぎて暴れそう!!
スタッフとの打ち合わせの後、自販機の横のベンチで、控え室での出来事を思い返していた。
幸い、普段使われないこの場所は、誰にも邪魔されず落ち着いて考え事をするには最適な場所だった。
あの時、舜太に触られると思った瞬間、一瞬襲った、恐怖に似た感情はなんだったのか。なぜ、体が硬直してしまったのか。
はぁ、と息を吐く。
最近仕事を詰めすぎているのかもしれない。この間はついに記憶を無くした。別に泥酔したわけでもないのに、前にメンバーで集まった時の夜の記憶がすっぽり抜けてしまっているのだ。
もう一度、さっきの舜太の顔を思い出す。
「っ…」
再び襲う恐怖心。
俺は思わず前屈みになり、両腕で小刻みに震え出した自分の体を包んだ。
「なんで…?」
わからない。
メンバーにこんな感情抱くなんて最低じゃないか。
今までもしんどい時はそれなりにあったはずだ。
耐えろ、耐えろ、、
今回だって乗り越えられるはずだ。
でも何を…?どうやって…?
…勇人
ふと、一人のメンバーの顔が浮かぶ。
情けないことに、リーダーである前に一人の人間である自分が頼る先は決まってアイツだ。
会いたい、と思った。
この訳の分からない自分の反応も、記憶がなくなるほどストレスを抱えているのかもしれない今の状況も、心配ないって笑い飛ばしてほしい。
思えば思うほど、体の震えが止まらなくなってしまい、情けなさから目頭が熱くなり始めた時だった。
「仁人!?」
下を向いていたところに、頭上から声をかけられた。
顔を勢いよく上げた拍子に、目から涙が溢れる。
目の前には、肩で息をする勇人が立っていた。
「っ…は、やと…?」
なんでここに?とか、もう撮影の時間?とか、言うべきことがいろいろと頭の中を駆け巡っていったが、一つも言葉にはならなかった。
「泣いてんのか…?」
やべ、見られたか。しっかり見られたよな。タイミングわりぃよお前、でも自分でも抑えられないんだよ。
誤魔化すように、また顔を下に向けようとしたのに、その後の勇人の言葉でそれは叶わなかった。
「舜太から聞いた、あの日のこと…」
ゆっくり
勇人の目を見つめ返す。
なんだ?何を言うつもりだ?
舜太? あの日?
「無理矢理…、、だったことも、、」
なに? なんの話?
無理矢理…?
「今日の撮影、無理しなくていいから。舜太と、その…会いたくなければ編集でなんとでもなるし…」
「あ、勇人…?な、なんのこと言ってるの?」
困惑気味の俺を置いてけぼりにしていた勇人は、そこでやっと話すのをやめた。
やっぱり、、と小さく呟いた。
「お前、覚えてないんだな」
覚えてない…?
俺ははっとする。
舜太、あの日、無理矢理、覚えてない、、
さっきまで自分の抱えていた不安の原因を、勇人は知っている?
「お、俺…なにかあったの…?なんか変なんだよ、、舜太の顔が、、あの目に見られると怖いんだ…」
あぁ、ついに言ってしまった…
もう最低だよな俺
こんなリーダーでごめん舜太…
「覚えてないなら、無理に思い出すなよ」
勇人が辛そうに顔をしかめる。
なんでお前がそんな顔するの?
俺に何があったの?
あの日っていつのこと?
あぁ、俺の記憶がないことを知ってるってことは、メンバーで最後に集まった日のことか。
あの日なにしたっけ?
メンバーで集まってYoutubeの撮影をしたんだよな?
舜太?
あ、舜太にダンスのことで相談されたんだっけ。
どんな相談だったっけ?相談…だったか?本当に…??
無理矢理……
無理矢理……?
「…っ!!うっ…!」
勇人の言葉に導かれるように開かれた記憶の扉
突然のフラッシュバック
同時に吐き気が込み上げてきて、しかし胃の中はからっぽでえづきだけが漏れていった。
「仁人っ!?」
手で口を押さえる。
勇人の焦った声が聞こえる。
吐けないのに止まらない衝動。
そうだ
あの日
俺は舜太に襲われたんだ。
「いやだぁ…やめっ、やめて…っ!」
「ごめんね仁ちゃん、、っ!」
「やだっ、やだぁっ…あ、ぅあっ…」
「俺のこと、見てっ…?」
「ほんと、おねが、…ま、待って…あっ、ぁあっ…、ぃやっ、ゃだ…お願いだから…っ!」
涙で歪んだ天井と、雄の目をした舜太を視界の端で捉えていた。
助けて。助けて。
「…っ、はやっ、とぉ…」
体に刻まれる衝撃に耐えながら、口からは自然とアイツの名前が漏れていた。
「仁人っ、ごめん!ごめん…っ!」
意識が引き戻される。
謝罪の言葉を口にしながら、勇人が俺の肩を掴んだ。
瞬間、あの日の感触が蘇り、俺は大きく肩を跳ねさせて恐怖で体を固めた。
勇人は目を見開き、俺の反応に、眉間に皺を寄せる。
「…怖いの?」
きっと今、酷い顔をしている。
頬に一筋、熱く濡れた感触。
吐き気と恐怖とで呼吸が乱れる。
さっきまで、勇人に会いたいと思ってたのに。
こんな反応、本意じゃないのに。
勇人はその様子を見て、辛そうに目を細めた。
次の瞬間、今度は向かい合う形で両肩を掴まれた。
「っ…!」
「俺は…、違うだろ…?」
切ない眼差し。
真っ直ぐに瞳を見られて、俺の視線も自然と勇人に向かう。
カチッと瞳が合った。
逸らせない。
そうだ。
違う。
勇人は違う。
あの日、あの時、求めていた温もりだ。
何度も、俺は頷いて見せた。
勇人はぐっと肩を掴む手に力を込めた。
じんわりと伝わる熱に、緊張していた心が解かれていく。
安心が広がるのと同時に、涙腺が緩み、次から次へと涙が溢れ出した。
それまで堰き止めていた想いが、一気に込み上がってきて、俺は感情を吐露した。
「俺…リーダー失格、だよな…っ、舜太が、あんなになるまで、気付けなかったもん…」
俺のことを抱きながら、舜太はずっと謝っていた。
どれくらい、彼は一人で、あんな気持ちを抱えていたんだろう。もっと前に気づいてやれなかったのか。気づけたとして、自分はその想いに応えることができたのか?
胸が苦しくなる。でも…
「あんなこと、されても…俺、舜太のこと、嫌いになれな、いんだ…」
勇人の顔が険しくなった。
あぁ…
苦しそうな表情の中に、あの日の舜太と同じ熱を見つけてしまった。
舜太に、無理矢理こじ開けられた心の蓋は開いたまま。
今なら、自分の気持ちにも、勇人の感情にも気づけてしまう。
勇人の熱に浮かされて、きっと、俺の目も、今、同じ熱を宿している。
こんな状況で言う俺は、ずるい。
「勇人…俺、忘れたい…」
「…っ」
勇人が息を飲むのがわかった。
同時に、焦がれるような目で見つめられて、俺はこの場から逃げ出したくなる。
あぁ、やっぱり怖い。
これまでの関係ではなくなる。
辛い時も嬉しい時も、どんな時も隣にいた。勇人の隣にはいつだって俺がいた。
これからは…?
自分で言ったくせに、不安で瞳が揺れてしまう。
本能的に、体を離そうと力を入れた瞬間。
勇人の熱い息をすぐ近くで感じた。
「ふっ…ん、ぁ…っ」
大きな唇に包まれて、俺は身を震わせた。
「は…っ、ぁ…、っ…」
「…っ、仁人…」
俺の名前を呼ぶ声が、耳を、頭を、心臓を駆け巡る。
今までで一番近い距離。
それでもなお、二人の隙間を埋めるように、勇人は腕を回して、俺を閉じ込めた。
想像以上に強い力に、俺は少しの恐怖と、いい得ぬ快楽を感じて、頭が痺れるのに身を任せる。
「勇人…っ」
俺の声に、勇人がうっすら目を開ける。
あの日、届くことない名前を、ずっと呼び続けていた自分。
やっと、やっと、届いた。
安堵から、涙が止まらない。
好きだ、
好きだ、
ずっと隣にいたい
「ん…は、やと…」
「…っ、ごめん、こんな時に、俺…」
名残惜しそうに、糸を引いて熱が離される。
「仁人…、ちゃんと言わせて…」
勇人は、俺を抱きしめたまま、苦しそうな表情のままで、見つめてくる。
濡れた目で見つめ返すと、より一層眉を寄せて、泣きそうな表情を見せる。
勇人は、一瞬目を逸らして、ふぅっと息を吐いた。そして意を決したように、口を開く。
「俺…あいつから話聞かされた時、頭真っ白になったんだよ…、あいつと…お前が?って。ほんとに何も考えられなくなって」
勇人の頭が、項垂れて俺の肩に乗る。
髪がふわりと頬を撫でた。
「それで、気づいた…メンバー同士だからとか、…無理矢理だからとかじゃなくて、いや、もちろんそれもあるんだけど」
「俺、仁人が取られたことに焦ったんだって」
耳元で響いた声に、俺は息を詰まらせた。
「仁人が好きだ…、誰にも取られたくない」
「んっ…」
勇人の息に反応して、甘い声が漏れてしまった。
一瞬、勇人の体に力が入った。
「俺も…」
なんとか絞り出した声は、しかし再び、勇人の口に飲まれていった。
ベンチが二人分の熱を受けて温度を上げていく。
目を閉じながら、俺は勇人からの想いを受け止めた。
長年、連れ添ってきたこの気持ち。
なかなか気づいてやれなくてごめん。
俺だけじゃない。
勇人も。…舜太も。
こんなにも狂おしいほどの気持ちを抱えてたことにようやく気づいた。
もう逃げられない。
逃げるつもりもない。
あの日の記憶を塗り替えるように。
今まで見過ごしてきた感情をぶつけ合うように。
俺は勇人との口付けに溺れた。
遠くから、二人の様子を見ていた人物は、静かにその場を立ち去った。