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古びたたたずまい。
いかにも老舗を匂わせる店の雰囲気は、様々な客を引き寄せる。
だが、店内に入れるのは高校生だけ。
その理由は………
聞かないでほしい。
そんな店の店主は、僕―――
《猫羽宰(ねこはつかさ)》。
この店の名前が「猫本屋」なのも、
ボクの名前の「猫」が由来している。
そして、ボクの代わりに店番を務める猫―《キチ》。
キチはボクの一番の相棒だ。
今日も朝起きると、一番にカウンター席で寝転がっていた。
「キチ、今日もまたお客さん、来るとええな」
「にゃお〜ん!」
「へ、来ないわけないってか?」
「一人も来なかった日もあるやないか」
「シャア!」
「はは、かわええなぁ」
「キチはずっと俺のもんやで!」
そんなことを呟きながら、店の準備を始める。
隣にいるキチはお利口さん。
棚から、ちょうど欲しかった飲み物を持ってきてくれた。
「お、キチやるやん」
「流石俺の相棒!」
「にゃあ!」
ボクは飲み物を軽く口に含んでから、今度はお金の整理を始めた。
―――この店は、キチの不思議な魔力によって成り立っている。
勿論ボクも、ただの一般庶民ではないけど。
そしてそんなボクらが集い、一年ほど前にこの店を開いた。
この外装なのは、ボクがレトロ好きだったから。
そして本屋なのは、キチがよく本を読んでいるからだ。
ボクらは不思議な力に満ちている。
………え?
ボクらの正体が知りたいって?
しょうがないなぁ、教えてあげようか。
特別にだよ、特別に。
君にだけ教えてあげる。
…………おっと、お客さんが来た。
最優先事項はお客さんへの対応だ。
ボクはここら辺でバックに下がる。
ここからはキチの出番だからね。
しばらくしたら、教えてあげるよ。
ボクらの正体―――
ふふふっ。