テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
💚視点
※長いです
長い上にLOVEな展開は一切ありません
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱
あの日の事は今も思い出す
個人仕事が終わり、次の仕事に向かう途中で
かかってきた1本の電話
「すみません
佐久間さんと連絡が取れなくて…
何か聞いていませんか?」
電話の相手はマネージャーだった
うちは人数が多いから複数を受け持つ事もざらにある
この時の俺は(とうとうやらかしたな)ぐらいにしか思っていなかった
6人時代のYouTube
佐久間寝坊事件は今も記憶に残っている
あれは面白かった
本人にしてみればかなり焦っただろうが
佐久間はショートスリーパーで、3、4時間の睡眠で充分だと豪語するが、朝起きられずに集合時間ギリギリにくる事も多い
睡眠時間が短時間で済むなら、時間にも余裕がありそうな気がするんだけどなぁ
「まだ寝てるんじゃない?」
「いえそれが、マンションまで来て何度も呼び出ししてるんですが、応答がなくて…」
スマホは勿論、エントランスからの呼び出しにも応じないと言う
「…倒れたりとか、してませんよね?」
心配そうな声色に少し胸がざわついた
Snow Man1の元気印
いつでもどこでも明るい佐久間
持病は花粉症ぐらいで、体の弱いイメージはないが、前に熱があると気付かないままレッスンに来て、練習中に倒れた事がある
SNSで発信する日常も、食生活や睡眠に関して心配になる事が多い
「こっちも連絡してみるよ」
「お願いします。もしもの時は管理人に相談してみようと思いますので」
「うん。心配だから、こっちにもLINEでいいから連絡して」
電話を切ってすぐに連絡してみるが、佐久間に繋がる事はなかった
取り敢えずメンバーのグループLINEの方にも一報を入れておく
《こっちにも連絡きたよー》
《うちも》
《寝てるんじゃない?》
《その可能性大》
仕事の都合上、連絡を返せるメンバーはすぐに返信をくれたが、みんな同じような想像しかしていない
そうだよな
寝坊じゃなかったら
スマホ忘れてマネージャーと行き違いになってるとか、だよな
その日はマネージャーからの連絡もなく、仕事の合間合間に連絡するも一向につながらず、佐久間のLINEにも既読はつかなかった
電話が繋がらない度に少しずつ不安が蓄積していき、その不安がはっきりと形になったのは次の日だった
仕事は午前中にある収録だけだったため、佐久間のマンションに様子を見に行こうかと考えていた矢先、事務所から連絡があった
時間を指定され、これるようなら来て欲しいと
昨日の佐久間の事だろうと思ったが、尋ねてもぼかされるだけで明確な返答もなく、向かう事にした
何か問題が起きただろう事は分かる
問題が起きたとしたら何だ?
恋愛関係は昔、問題になってから気をつけていたはずだし…身近な問題だと飲酒?
悪い予感がぐるぐると回る
飲酒問題やコンプライアンス違反など
今までうちの事務所からも謹慎や活動の休止になった事案が幾つもあった
売れれば売れるだけ
狙ってくるマスコミも多いのだから
身構えながら事務所に行き、そこで康二とめめにあった
康二は近くで撮影があり、なか抜け出来そうだったので来たと
めめは夜からドラマの撮影だと言う
「昨日、こっちにも佐久間くんの事で連絡あったんだけど。グループの方、気付かなくてごめん」
「いや、いいよ。連絡は皆にいったみたい」
「結局、どうなったの?」
「今日はやっぱさっくんの事なん?」
それぞれの顔が曇っていく
連絡が取れない事がこんなにも不安になるて、嫌な予感しかしなくて無意識に握った拳が震えた
「みんな」
エレベーターホールからふっかと照がきた
やはり表情は硬い
皆それぞれに個人仕事を抱えているから、急な呼び出しに全員が揃うのは難しく、来れたのは俺と照、ふっか、めめ、康二の5人
時間になり、代表で照が会議室のドアを叩く
「どうぞ」の声に、皆を見渡した照に頷き返した
中には滅多に顔を見ないお偉方とうちらを担当するマネージャーが数人いて、その表情の硬さから心臓がいやな音を立てる
中に入ると席に着くよう促され、皆か緊張した面持ちで席に着いた
「皆さんにも昨日連絡がいったと思いますが、佐久間さんとの連絡が未だについていません」
思わず声を出しそうになって、ぐっと堪える
連絡がつかなかったと言う事は…
「予定されていた仕事は体調不良という事にして、延期やうちのタレントが代役を勤めました。これは佐久間さんだけでなく、うちの信用問題にも関わってきます」
やはり、現場にも現れなかったのか
佐久間はどの仕事も1つ1つを大事にしていて、共演者やスタッフと親睦を深めるのもうまい
あの現場は楽しかった、とか
もっとうまく立ち回りたかった、とか色んな事を聞かせてくれる
そんな佐久間が何の連絡もなく行かないなんてありえない
「あの後、管理人の立ち会いのもと佐久間さんの自宅の方に入ったんですが、やはりいらっしゃらなくて。それでですね、こちら見てほしいんですけど」
昨日、俺たちに連絡してきたマネージャーが側にきて、スマホを差し出した
部屋を撮影してきたらしい
スクロールすると、部屋全体を写したもの数枚にソファに置かれたダウンジャケットや、テーブルの上に置かれた財布、スマホなどが写っている
「皆さんなら行かれた事もあるかと思いまして、何か変わった事など気付きませんか?」
「て言われてもなぁ…俺行ったん大分前やし」
康二がスクロールを繰り返し、何度も画面を食い入るように見てから、隣に渡す
「俺も康二と行ったのが最後だし。会うとしてもいつも外だからなぁ」
「俺も結構前だから。そう言えば猫ちゃんたちは?」
ツナやシャチたちの写真はない
関係ないからと撮らなかったんだろうか?
俺は尋ねながらめめにスマホを渡した、つもりがめめが取り落とし
「すいません」と慌てて拾い上げる
その手の甲に無数のみみず腫れが広がっているのに気付いて、俺はぎょっとした
ドラマ撮影中なのに大丈夫だろうか
「入った時には見かけませんでしたが、人の気配に気付いて隠れたのかもしれません」
確かに
俺も会わせてもらった時は滅茶苦茶警戒されて、遠くからじーっとこちらを伺っていたのを思い出す
動く度にビクッとされるから申し訳ない気分になるんだよね
本当は佐久間みたいに撫でまわしたいんだけど、あれだけ警戒されると可哀想で近付けなかった
「あの…おかしくないですか?」
一通り画面を見てから、めめが顔を上げる
「普段使ってる佐久間くんの財布やスマホが写ってるって」
それは俺も気付いてた
ただ財布は別にあるかもしれないし
スマホも、別に持っていた可能性も…て、思いたかった
言うなよ
言わないでよ
どんな状況だよ
今の現代人が、財布もスマホも持たないで外出って…
近所だって持ってくだろ
しんと静まり返る室内で
「その、不自然だと思えたのでお話を聞きたかったんです」
どこか言いにくそうにマネージャーは言葉を選ぶ
「その、佐久間さんに恋人とかいませんでしたか?その手の事でトラブルになっているとか」
ちらりと左右を見たが、俺は知らない、て康二は首を振り、めめは暗い瞳で自分の握った拳を見ている
「数年前のトラブル以降は聞いていません」
ふっかが言った
当時、佐久間には交際まではいかなかったが仲良くなった女性がいた
その女性のファンから殺人予告ともとれる書き込みがあり、一時は騒然としたものだ
あれに懲りたのか、そう言った話は
個人的にも聞かなくなった
「そうですか…
当時の事はこちらも真っ先に浮かんだんですが、今回は関係なさそうです
警察が介入すればもっと調べられますが…
先程もお話した通り、事が大きくなれば佐久間さんだけでなくグループにも、皆さんにも影響しますから、まずはこちらでも調査を行っている段階なので、プライベートに踏み込む事をご了承ください
それと…最近、佐久間さんの様子に変わったところはありませんでしたか?
何か深刻な悩みを抱えていそうだとか、悩みを聞いたなんて事は――――」
「ありません」
言いきる前に即答した
聞きたい事はわかる
自分から消息を経ったとしたら、その可能性が高いことも
沈黙が流れ、ふっかも照も一通りスマホの画面を見たあと、テーブルにそっと置いた
マネージャーの視線に首を振る
「皆さんも忙しいでしょうし、今日はここまでで。この後、佐久間さんのお母様立ち会いのもとでもう一度、自宅内を調べさせてもらうので、また情報は共有したいと思います
くれぐれも口外しないようお願いしますね
佐久間さんは体調不良の休業中なんですから」
退席を促され立ち上がるが、俺はすぐにマネージャーに声をかけた
「俺も行きます。佐久間のお母さんとは馴染みもあるので」
駄目だと言われてもついていくつもりだ
この後はフリーなんだから
「俺も。撮影まで時間あるんで」
めめもこそっと手を上げる
「俺も」
「じゃ、康二以外で」
全員でマネージャーを見ると、暫く見つめあい、根負けしたように「わかりました」と了承を得た
撮影に戻らなければいけない康二は寂しそうなしょぼん顔で、何か手掛かりがあってもなくても連絡するからと、その後、仕事に送り出した
✱.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.✱