「私ね。」
2人を握ったまま、目を瞑って口を開く。
「ここがどこだか分かるんだ。」
ここは、3人で創った街。元は何もない湖。
私たちはこの淋しい湖を仲間に迎え入れた。時には大きな魚を入れたり、水を抜かれたり。そして3人でまたこの湖を蘇らせて。
風が吹いても、大雨があっても、雷が鳴っても、私たちの過ごした日々の思い出は変わらない。
「私、君たちのこと忘れてた。」
心の底から、涙があふれる。涙は風で流されて、星くずになって消える。
「でも、絆は忘れられなかったみたい。」
ふわふわと揺れる気配たちは、徐々に形を失っていく。それでも赤い糸は楽しそうに踊る。
「花畑。湖。ここは天国と現世の狭間なんでしょう?」
2人はゆらっと大きく揺れる。
私は今、死ぬか生きるかの選択を迫られている。
天国の象徴の花畑。現世での思い出であり、現世への道の湖。
そして、君たちは私を呼んでいる。
2人の気配に、満月と湖の水。やけに目立つ緑色やエメラルドグリーン、青緑。この世界は緑色と水色のものが多かった。それは、君たちを表しているんだよね。
「全部、思い出した。」
何があったのかも、全部。
コメント
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湖...!! もしやこれからなにがあったのか明かされるんですかね...? 何気に2人の名前も1回も出てきてないですし...